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グリーグ&シューマンのピアノ協奏曲集は、パッケージ販売の定番。演奏時間や音楽の雰囲気でシナジー効果が高いからであろう。しかし、両曲ともに天下の名演というのはなかなか難しい。
小生は、リヒテルとマタチッチのユニークな組み合わせによる1枚 グリーグ & シューマン: ピアノ協奏曲(クラシック・マスターズ) がお気に入りだが、このリパッティ盤も別のテイストで得難い演奏。シューマンの第2楽章を聴くと、ゆっくりとしたテンポのなか、リパッティの凛とした抒情性をクリアに浮き彫りにし、これをシルキーに包み込むようなカラヤンの追走に惚れ惚れする。その一方、同じフィルハーモニー管を振っての1年違いの収録なのに、グリークでは、リパッティの至芸はかわらないが、ガリエラの音づくりは、甘ったるく雑味があるように感じてしまう。安普請の書割りといっては失礼かも知れないが、カラヤンとの差は歴然。
☛ 今日の気分は リパッティ Dinu Lipatti
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リヒテルは強烈な個性のピアニストである一方、集中力あふれる堅牢な演奏スタイルは、当時のソビエト連邦の象徴だったハンマーにたとえられた。あらゆる演目で駄作といったものがないのは、当時のソ連の鉄の政治体制を反映したような完璧性ともイメージの共有がある。音楽、音楽家といえども、否、それが人びとの心をぎゅっと掴む作用をもっている以上、むしろそれゆえに時代が反映されている。
このリヒテルvsマタチッチ共演は特異の名演。リヒテルのハンマーのような屈強さ、マタチッチの無骨といった表面的な印象を超えて、迫力満点のグリーグでは思わぬ抒情性にはっと心がぐらつく。その一方、たっぷりの哀愁のシューマンの底にはとぐろを巻く強い情念が疼く。しかし、こうした意表を衝くスリリングさの先に、どちらもとびっきりに心を籠めた真の「音楽」を感じる。
→ Icon: Sviatoslav Richter にて聴取
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シューマン/ピアノ協奏曲: ミトロプーロス:/ニューヨーク・フィル(1948年)は録音は古いが名演。ミケランジェリのクリスタルな硬質の美は他に代えがたい。併録のさらに録音は劣悪ながら演奏はグリーグも同様(CD10)
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上記にもガリエラ/フィルハーモニア管で、グリーグ(1957年4月)、シューマン(1957年5月)が所収されているが、このバックはあまり評価していないので、アラウ晩年の下記が良いと思う。アラウ老境の境地をデイヴィス/ボストン響が見事に際立たせている。
グリーグ&シューマン:ピアノ協奏曲
アラウ | 2015
もう1枚は悩むところ。ルビンシュタインの大人ぶり、ルプーも実に凄いし、ツィマーマンも若々しくて良い。でもオーケストラとのバランスを重視すると、この2曲についてもカラヤンはやはり頭一つ抜けている。リパッティ、ツィマーマンに加えて、下記もある。グリーグの抒情性をここまで掌のなかで育んでいるように表現できることに驚くだろう。
グリーグ:ピアノ協奏曲 シューマン:ピアノ協奏曲
ギーゼキング(ワルター), グリーグ他
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