カラヤンがLP化したことで人口に膾炙するようになった曲がある。交響組曲『シェエラザード』もその一つと思う。それ以前にも、大御所モントゥー/ロンドン響(1957年)や鬼才マルケヴィチ/ロンドン響(1962年)があったのだが、このカラヤン盤は、発売当初、そのジャケットの格好良さ、録音の鮮烈さ、スタイリッシュな音楽的魅力から大変な反響を呼んだ。小生も小遣いをはたいて購入し、いまも大切にもっている。その後、本曲はヴァイオリンの咽び泣くような独奏(コンマスの技量の見せ所)と木管楽器、金管楽器の華麗な響きから、オーケストラの妙技を味わう名曲として人気を博し、小澤征爾/ボストン響(1977年)、コンドラシン/コンセルトヘボウ管(1979年)、プレヴィン/ウィーン・フィル(1981年)などの組み合わせでリリースが続くことになる。
その先駆けとでもいうべき本盤を久しぶりに聴く。カラヤン/ベルリン・フィルの全盛期の最良の成果(1967年1月26-31日、ベルリン、イエス・キリスト教会にて収録)。カラヤンの抜群の切れ味、ベルリン・フィルのアンサンブルの見事さに加えて、ミシェル・シュヴァルベの音には特有の艶と色気がある。大胆なリズム感、変幻自在な音の饗宴、内燃する気迫、迷いのない思い切りのよい快速な運行。この洗練と凝縮の音楽にはいまもいささかの古さも感じない。
シェエラザード
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