◇ヨーヨー・マ
ヨーヨー・マ/ベートーヴェン: チェロ・ソナタ全曲 (tower.jp)
◇シュタルケル
ヤーノシュ・シュタルケル/ベートーヴェン: チェロ・ソナタ集 (tower.jp)
◇ロストロポーヴィチ
ロストロポーヴィチ/ベートーヴェン:チェロ・ソナタ全集 (tower.jp)
◇カザルス
パブロ・カザルス/ベートーヴェン チェロソナタ集 (tower.jp)
◇フルニエ
フルニエ53才、グルダ29才の名演記録 (amazon.co.jp)
フルニエは若き日よりその才能が認められ、1940年代初頭より、当時の最高のプレイヤー、ヴァイオリンのシゲティ、ピアノのシュナーベルとの三重奏の一員となった。彼自身、30才頃から教鞭をとるなど教育者としても生涯活動した。
さて、本盤はそのフルニエ50才代の油ののりきった円熟期の録音だが、ピアノのグルダはいまだ20才代の昇竜時代。フルニエがグルダの能力を認めて2度目のベートーヴェン全集を収録したこと自体、話題性十分であった。録音は1959年6月23~28日にかけて一気にウィーン、ムジークフェラインの小ホール(ブラームス・ザール)で行われた。
大好きな第3番から聴く。一切の瑕疵、破綻のない完全主義者フルニエに、素晴らしい抒情性をたたえた、これも完璧指向のグルダがときに寄り添い、ときに挑んでいるような緊張感に満ちた演奏である。グルダの若き凜々しきピアニズムを、フルニエ「先生」が実にうまく際立たせているような場面も想像でき、そうした点でも大いに楽しめる。
独特の緊張感、清新たる見事な成果 (amazon.co.jp)
構えてベートーヴェンを聴くのではなく、自然体で心に浸みてくるような響き、フルニエの演奏にはそうした品位と落ち着いた風情がある。一方で、若きグルダのピアノは緻密でボキャブラリーが豊富だ。よくぞ、ここまでベートーヴェンのテキストを音にできるなあと感心する位、真面目で誠実な演奏ぶり(後の自由奔放ぶりが嘘のような)である。異質とも思える演奏スタイルなのだが、それが独特の緊張感を醸成し清新たる見事な成果を上げている。
一方で、フルニエの風情と深き解釈が同質的に一番マッチしているのはケンプとのコンビネーションかも知れない。大家同士が(言葉ではなく)自分の得手の楽器をもって存分にベートーヴェンの偉大さを語り合っているようなデュオである。どちらを選ぶかはリスナーの好み如何と言えよう。
<収録情報>
・チェロ・ソナタ第1番~第5番
・『マカベウスのユダ』の主題による12の変奏曲
・『魔笛』の主題による7つの変奏曲、同12の変奏曲
ピエール・フルニエ(vc)
フリードリヒ・グルダ(p)
録音時期:1959年6月23-28日(ステレオ)
→ Pierre Fournier / Masterpieces for Cello にて聴取
フルニエの旧録音 上質な演奏スタイル (amazon.co.jp)
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