火曜日, 2月 08, 2022

海(ドビュッシー) 名盤5点  La Mer

 


本曲は、はっきりと標題を掲げているのでいわゆる交響詩かといえば、否、ソナタ形式こそとらないが、一定の「形式を遵守する」点で、むしろ交響曲的であるともいわれる。ここで採用されているのは、当時、フランスで流行した循環形式であると指摘されるが、聴いていて、たとえばフランク:交響曲などとは異質な印象である。むしろ、シェーンベルク的な肌合いのほうが強いようにも思う。聴きやすいようで、実はその構造は難解であり、したがって、ここから受ける感動の質も、一般の曲とは違う。そのあたりの解析ではブーレーズ盤が一番のヒントをくれる(以下では掲げていないが、マルケヴィッチ、シノーポリなども同種、分析的といえる)かもしれない)。

一方、デュトワはドビュッシー音楽の最良の美しさを自然に、絶妙に引き出している。そこにはデュトワ流の技法があるのだが、それは表には出ない名シェフの隠し味のようだ。デュトワが”美しさ”のエッセンスを見せるとしたら、小澤征爾は、ベイヌム同様、トリッキーな”楽しさ”を垣間見せてくれる。

モントゥー、ミュンシュはいずれもフランス音楽の巨匠、泰斗だが、思い切りの良さが身上。わかりやすく親しみやすいが、いまの緻密な演奏スタイルからは、大御所時代ゆえの産物との見方もあろう。最後に余談だが、トスカニーニ追悼演奏会では、「海」はミュンシュ、モントゥーはエニグマを振ったが、ワルターの「英雄」も、そして「海」もモントゥーは得意としていたので、3人が揃って、どんな会話をしたかは興味深い。


ブーレーズ

ピエール・ブーレーズ/コンダクツ・ドビュッシー<完全生産限定盤> (tower.jp)

織工Ⅲ: ブーレーズ ベルリオーズとドビュッシー (shokkou3.blogspot.com)


デュトワ

シャルル・デュトワ/ドビュッシー:交響詩≪海≫ 牧神の午後への前奏曲、夜想曲 他 (tower.jp)

織工Ⅲ: デュトワ Dutoit (shokkou3.blogspot.com)


ベイヌム

エドゥアルト・ファン・ベイヌム/ドビュッシー&ラヴェル - 管弦楽曲集 (tower.jp)

織工Ⅲ: ベイヌムの芸術 (shokkou3.blogspot.com)


モントゥー

Amazon | La Mer / Les Preludes | Monteux | 輸入盤 | ミュージック

織工Ⅲ: モントゥー 往年の名指揮者 (shokkou3.blogspot.com)


ミュンシュ

シャルル・ミュンシュ/ ドビュッシー:海&イベール:寄港地ほか(tower.jp)

ミュンシュ、ボストン・サウンドの至芸 (amazon.co.jp)


(参考)

トスカニーニ・メモリアル・コンサート<初回限定盤> (tower.jp)

クラウディオ・アバド/Claude Debussy "La Mer" Edition (tower.jp)


👉 織工Ⅲ: 名盤5点 シリーズ (shokkou3.blogspot.com)

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