クナッパーツブッシュ 自在の技
1949年8月30日、ザルツブルク音楽祭でのライヴ録音。雑音こそすくないものの、収録音域がせまく第4楽章のフィナーレなどもっとよい録音で聴ければなあとの感じをいだくリスナーもいるだろう。しかし、演奏そのものは質は高く一聴に値するものである。
第1楽章、冒頭の短い「原始霧」から第3主題までの長い呈示部で、クナッパーツブッシュは、まるで自然にハミングするように朗々と歌っていく。その抒情性は優しく心地よい。豊かな詠奏は、第2楽章 アダージョのいわゆる「ワーグナーのための葬送」で頂点をむかえ静かな感動を醸成する。
第3楽章のスケルツォは、力感があり明るい曲想に転じるが、この変わり舞台を見るかのような明暗のコントラストのつけ方こそクナッパーツブッシュの自在の技という気がする。第4楽章、コラールふうの旋律で、ふたたび弦のハミングは厚みをもって再開され、いっそうの感情表出ののち、速度を落としてのコーダからブルックナーにしては短い終結部までは、ある意味、すっきりとした運行である。録音の制約からあくまで直観ながら、ライヴ演奏であり、クナッパーツブッシュは、ここではウィーン・フィルらしい柔かく豊かな響きを存分に生かしているのではないかとの想像がはたらく。

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