金曜日, 10月 23, 2026

Mahler: Die 10 Symphonien

 


マーラー演奏の新境地

シノーポリのマーラーは、ワルターやクレンペラーのようなマーラー直伝流とも、バーンスタインやテンシュテットなどにみられる、マーラーの各曲にどのような思いを込めるのかといった、いわば“主意主義”的なアプローチとも異なる。

作品を研究し、徹底的に構成要素を分解したのち再構築したかのような演奏で、「音の素材」を変化させて表現する、いわば“分析的”演奏スタイルとでもいうべきものと思う。

一方、表現ぶりは大胆で曖昧さはない。激しいダイナミズムと腺病質なリリシズムがときに交錯するが、全体としての統一感は保たれている。どの曲もこうした流儀は一貫しているが、特に第1番、第5番および第9番において、この傾向を強く感じる。

マーラーの交響曲は現代音楽の秀でた先駆といった解釈がその背景にあるのではないかと思う。この点では、ロスバウトはシノーポリの良き先生であるかも知れない。本全集でシノーポリは、いままでにない斬新なるマーラー像を提示しており、シャイーなどの後進指揮者にあたえた影響は大きいだろう。


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