金曜日, 1月 21, 2022

グールドの名盤


 










グールドでは、Glenn Gould Remastered - The Complete Columbia Album Collection

というCD80枚を超える大BOXがでている(SONY:GOULD (nextftp.com)も参照)

このうち12点についてのコメントはかつて以下に記した。


グールド、孤独と思索ー創造的な成果 (amazon.co.jp)

グールドの集大成。孤独癖、摂食障害、心気症ゆえコンサートから遠ざかり、いまならインターネットでつながっただろうが、当時はリスナーにTV、ラジオを通じて直接語りかけた天才ピアニスト。以下は関心の向くまま、ご参考まで。ほかにも多くの優れた音源があるが彼のメインロードの一部はカヴァーしていると思う。


【周到にくみたてられたバッハ選集】

【天啓というべき1枚】

【バッハへの最良の道標】

【平均律、敬虔な感動】

【真摯な完成度へのこだわり】
バッハ:パルティータ(全曲) (fc2.com)


【ベートーヴェンへの厳しい対峙】

【グールドVSカラヤン】

【グールドVSストコフスキー】


【聴き手の心への最良のサプリメント】

【グールド&シュワルツコップ】

【明確で愉悦的】

【孤独、思索を愛した創造的な成果】
(2016年10月1日)

上記から5年以上がたつが、この間もグールドは折節聴いている。小生の好みは
進歩がないのだろう、あまりかわっていない。

しかし、やはりバッハ、それもグールドの初期から中期
にかけての5つの録音(再掲)は群を抜いていると思う。


今回、なんども耳を傾けたのが、小プレリュードと小フーガ集であるが、
以下はその雑駁な感想。これだけ単独で聴く限りは、依然高い水準は疑う
余地がないけれど、初期から中期にかけてのグールドの録音からみれば、
そこには精神力でもテクニックでも、やや翳りがあると感じる。


グールドの晩年の録音。1曲1曲、精魂をこめて・・・という姿勢にはいささかの揺るぎはないが、
たとえば、若き日のパルティータ集 Glenn Gould Plays Bach: 6 Partitas  における覇気、
剃刀のような切れ味は影をひそめ、その一方、ときに落ち着きと諦観が垣間見える。

以下にBWV順のリストを示すが、「平均律」集 
The Well-Tempered Clavier, Books I & II  
のように、これまで時間をかけても粘り強く全曲収録を目指す“拘りのグールド流”は、本曲集
では彼の死と共に残念ながら未完で終わる。ゴルトベルク変奏曲の再録音よりも、本曲集の完
成を聴きたかったというのは一リスナーの我が儘だろうが、悲しき遺作という言葉とともに耳
を傾けた。

<収録情報>
◆前奏曲、その他 BWV 895~961(不連続)  
・前奏曲とフーガ イ短調BWV 895  
・前奏曲とフゲッタ BWV 899     ☆
・前奏曲とフゲッタ ホ短調 BWV 900
・前奏曲とフゲッタ BWV 902     ☆
・9つの小前奏曲より 
(1)第1番ハ長調 BWV 924
(2)第4番ヘ長調 BWV 927
(3)第3番ニ長調 BWV 926
(4)第2番ニ長調 BWV 925
(5)第5番ヘ長調 BWV 928
(6)第7番ト短調 BWV 930
・6つの小前奏曲 BWV 933-938    ☆
・フーガ ハ長調BWV 952 
・フーガ ハ長調 BWV 953 
・フゲッタ ハ短調BWV 961 

<録音時点>
☆ 1979年10月10日
それ以外 1980年1月10日、11日、2月2日

<参考:以下は別音源>
半音階幻想曲ニ短調BWV903
幻想曲(とフーガ)ハ短調BWV906
幻想曲ト短調BWV917
幻想曲ハ短調BWV919
アルビノーニの主題によるフーガBWV 946
2022年1月20日)

また、晩年のグールドを知るうえでの”異端のアルバム”シルヴァー・ジュビリー
・アルバムも掲げておこう。但し、購入はお奨めできない。


2枚組[第1部] [第2部]の大変ユニークなアルバム。[第1部]ではグールドの珍しい演目
を耳にすることができ、これはこれで楽しめる(★4とした)。
一方、[第2部](評価保留)はあくまでもディープなファン向けで、グールドの音楽を
“聴く”のではなく“知る”ためのロング・インタビュー(討論)集である(小生は1989年
国内盤を保有。そのブックレットは55頁におよび、9人の登壇者の全発言の翻訳が掲載
されている。話題は雑談風にあちこち飛んで多岐にわたるが、グールド自身の発言は一
部であり、延々とつづく凡長なる議論は聞くのも読むのも忍耐を要し、“グールドの思い”
とは別に、とても一般リスナー向けとはいえないだろう。なお、増補された本集では“売
り”を増やすためか「イタリア協奏曲」とラジオ寸劇「批評家特別対決」が加えられている)。

[第1部]では、前半は古典的な名曲が、後半は現代の作品、歌曲の伴奏、交響曲ピアノ版の
一部が紹介されるが、その中間におかれているのがグールド作曲の一種の「冗談音楽」で
ある。これがいきなり開始されると驚愕するが、さらに終わったあと、後半のスクリャー
ビン(小生はこれが一番、胸に響く)との不連続にもう一度、驚かされるという”二重の趣向”
となっている。

<収録情報>
[第1部]
・ D.スカルラッティ:
 ソナタ ニ長調K 430(L 463)、ソナタ ニ短調K 9(L 413)、ソナタ ト長調K 13(L 486)
・ C.P.E.バッハ:ヴュルテンベルク・ソナタ第1番 イ短調 Wq.49の1(H.30)

・グールド:フーガを書いてごらんなさい
エリザベス・ベンソン=ギイ(ソプラノ)、アニタ・ダリアン(メゾ・ソプラノ)、チャールズ・
ブレッスラー(テノール)、ドナルド・グラム(バス)、ジュリアード弦楽四重奏団、ヴラディミ
ール・ゴルシュマン(指揮)

・スクリャービン:2つの小品 作品57
・R.シュトラウス:オフィーリアの歌 作品67 エリーザベト・シュヴァルツコップ(ソプラノ)
・ベートーヴェン/リスト:交響曲第6番ヘ長調 作品68「田園」~第1楽章

[第2部]
グレン・グールド・ファンタジー~インタビュー
出演:グレン・グールド、マーガレット・パチュ、マルタ・ホルタヴァニ、シオドア・スラッツ、
サー・ナイジェル・トゥウィット=ソーンウェイト、カールハインツ・クロップヴァイザー、
ダンカン・ヘイグ=ギネス、バイロン・ロシター、キャシー・マッカレル
2022年1月19日)

最後に、これから効率的にグールドの名演に接したい向きには以下をお奨めしたい。

0 件のコメント: