◇ストコフスキー
ストコフスキーの先駆性は、やはり端倪すべからざるものである。1956年にロサンジェルス・フィルを振っての録音は、本国イギリスを除けば、メジャーな演奏として実に早い。かつ、初期ステレオの収録は、いかにも音響工学に感度の高かった彼らしいともいえる。
・ホルスト:組曲惑星Op.32
ストコフスキー/ロサンジェルス・フィル
ロジェ・ワーグナー合唱団
録音時期:1956年9月
録音方式:ステレオ
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◇オーマンディ
オーマンディ/フィラデルフィア管の演奏は1975年。フィラデルフィア・サウンドで本曲を聴きたいというニーズは強かったから、満を持しての収録であったろう。もちろん、先達としてのストコフスキー盤は意識はしていただろうが、自らのスタイルを完成させていたオーマンディは、実に恬淡とこの曲の良さを引き出していると感じる。
・ホルスト:組曲「惑星」 Op.32 女性合唱:フィラデルフィア・メンデルスゾーン・クラブ(December 18, 1975)
織工Ⅲ: オーマンディ Eugene Ormandy (shokkou3.blogspot.com)
◇小澤征爾
小澤征爾の代表盤ともいえる快演。師カラヤンの飛びきりの名盤がある本曲をとりあげた理由の一つは、ボストン響のプレイヤーの至芸をアピールしたかったからではないか。ボストン響では、先行して巧匠スタインバーグ盤(1970年)もあるが、録音の良さだけではなくこれを上まわる出来映え。カラヤン/ウィーン・フィル盤の宏大なるスケール感は意識しつつ、ディテールをより丹念に描いたような演奏。カラヤンは、これに触発されたか?のように、ベルリン・フィルとの1982年の再録で、さらなる緻密さをもって呼応している。
・ホルスト:組曲惑星Op.32
小澤征爾/ボストン響 ニュー・イングランド音楽院合唱団
(録音)1979年12月 ボストン
Amazon | ホルスト:組曲「惑星」 スタインバーグ,ボストン交響楽団, ニュー・イングランド音楽院合唱団
◇コリン・デーヴィス
本国イギリス出身の指揮者の録音ではコリン・デーヴィスを。カラヤンが去ったあと、“お家芸”のホルストを引っさげてのベルリン・フィルとの共演は話題性も十分であったろう。その実力からすれば、もっと注目されていい指揮者だが、名盤といってよいと思う。
・組曲『惑星』 op.32(1988年デジタル)ベルリン放送合唱団、ベルリン・フィル
C.デイヴィス、ツボを押さえたオーソドックスな解釈 (amazon.co.jp)
織工Ⅲ 拾遺集 サー・コリン・デイヴィス (fc2.com)
織工Ⅲ: いいですよ、コリン・デイヴィス (shokkou3.blogspot.com)
◇カラヤン
カラヤンが取り上げたことでブームをつくった曲は数ある。R.コルサコフ:シェエラザードやオネゲル:交響曲第2番、第3番「典礼風」などもそうだが、ウィーン・フィルとの蜜月時代に録音されたアダン:バレエ「ジゼル」やこの惑星などもその代表例。1961年9月の録音。
ストラヴィンスキー的な激しいリズムの刻み方(火星)、壮麗なメロディアスの魅力(木星)にくわえて「ボリス・ゴドゥノフ」の戴冠式の場を連想させるような眩い管弦楽の饗宴も随所にあり、変化に富んだ曲づくりをここまで見事に、メリハリよく表現しきったカラヤンの実力の面目躍如。このドラマティックで色彩感ある描写はウィーン・フィルの特質を最大限引き出したという意味でも大きな成果だろう。
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