木曜日, 1月 06, 2022

トスカニーニの名盤























トスカニーニ(Arturo Toscanini, 1867年3月25日 ~1957年1月16日の歴史的な業績をいくつかの視点から再考してみたい。

【初期の音源:その先駆性】
◆1920年代から、トスカニーニの録音技術革新への優れた感度、意欲的な取り組みは、その後、米国のみならず、欧州においてカラヤンに積極的に継承されたのではないかと思う。












【NBCとの活躍】
◆トスカニーニ/NBC響との成功は、その後、ワルター/コロンビア響への大きな促進剤になったことだろう。見方によれば、その精神は小澤征爾/サイトウ記念ORにも引き継がれている。










【ベートーヴェンの名演】
◆ミトロプーロスやバーンスタインなどニューヨーク・フィルのベートーヴェン解釈はもとより、ハンガリアン・ファミリー(ライナー、セル、オーマンディら)への影響も大きい。とくに、ライナーの演奏には、ときにトスカニーニを彷彿とさせるところがある。










【ブラームスの名演】
◆ベートーヴェンのみならず、ブラームスでも秀演。その演奏スタイルはミュンシュ、カラヤン、セルほか多くの指揮者への指針となっている。



【幅広いレパートリー】
シューマンではグイド・カンテッリに、チャイコフスキーではジュリーニに、レスピーギではシノーポリにとイタリア系指揮者への示唆も多大。かつ、アメリカ音楽をふくめレパートリーの広さでも群を抜いている。








【オペラ指揮者】
◆オペラ指揮者として、同時代への衝撃は言うに及ばず、ハンガリアン・ファミリーではショルティ、イタリア系では、シノーポリ、アバド、ムーティらへの影響も大きい。プリマドンナ優先主義を排しオペラにおける指揮者の地位確立の嚆矢はまぎれもなくトスカニーニであった。










【不滅の巨匠】
◆下記は膨大なトスカニーニのディスコグラフィのほんの一部にすぎないが、晩年にいたるまで、その旺盛な意欲は衰えを知らず、これは驚嘆すべきことである。『プシュケ』や『エン・サガ』はベイヌムが、ケルビーニはマルケヴィッチもその後、取り上げているが、先鞭をつけたトスカニーニが欧州の指揮者や楽団にあたえた影響は計り知れないものがある。

◆将来、ビッグデータの解析、センサー技術の高度化とAIのフル活用により、トスカニーニの”仮想音源”が登場するような気がする。20××年、もしもトスカニーニがバーチャルNBCを振ったら・・・といった音源である。秀でた、巨大な集積(ディスコグラフィ)はすでにある。その日がいまから待ち遠しい。


織工Ⅲ 拾遺集 トスカニーニの名演15   Arturo Toscanini   DOCUMENTS (fc2.com)



[上記の収録情報]
<1930年代>
・ドビュッシー:管弦楽のための映像〜『イベリア』(1936年4月16日)
・モーツァルト:交響曲第40番ト短調(1937年12月25日)
・ボロディン:交響曲第2番ロ短調(1938年2月26日)
・フランク:交響詩『アイオロスの人々』(1938年11月12日)
・ラヴェル:『ダフニスとクロエ』第2組曲(1938年11月26日)
・ロッシーニ:歌劇『ウィリアム・テル』序曲(1939年3月1日)
・ベートーヴェン:交響曲第8番ヘ長調(1939年11月25日)


<1940年> 73才
・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調、ヤッシャ・ハイフェッツ(vn)(1940年3月11日)
・ヴェルディ:歌劇『アイーダ』第1幕への前奏曲(1940年3月30日)
・ドヴォルザーク:スケルツォ・カプリチオーソ(1940年4月20日)


<1941年> 74才
・R.シュトラウス:交響詩『英雄の生涯』(1941年2月1日)
・ブラームス:交響曲第3番ヘ長調(1941年2月8日)
・コダーイ:マロシュセーク舞曲(1941年2月8日)
・ヴェルディ:歌劇『椿姫』第1幕への前奏曲(1941年3月10日)
・ワーグナー:『ローエングリン』第1幕への前奏曲(1941年3月17日、5月6日)
・メンデルスゾーン:交響曲第3番『スコットランド』(1941年4月5日)


<1942年> 75才
・バーバー:弦楽のためのアダージョ(1942年3月19日)
・ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー(1942年11月1日)


<1943年> 76才
・リスト:ハンガリー狂詩曲第2番(1943年4月4日)
・ガーシュウィン:パリのアメリカ人(1943年11月14日)


<1944年> 77才
・ワーグナー:『パルジファル』第1幕への前奏曲(1944年4月9日)

<1945年> 78才
・ロッシーニ:歌劇『シンデレラ』序曲(1945年6月8日)
・ロッシーニ:歌劇『セヴィリアの理髪師』序曲(1945年6月28日)

・ヴェルディ:歌劇『運命の力』序曲(1945年6月28日)
・グローフェ:組曲『グランド・キャニオン』(1945年9月10日)


<1946年> 79才
・ワーグナー:『ニュルンベルクのマイスタージンガー』第1幕への前奏曲(1946年3月11日)
→  
Orchestral Music - Wagner, R. / Strauss Ii / Paganini, N. / Gluck, C.W. (The Years of Maturity in the United States, Vol. 2) (Toscanini) (1929-1946)
・ワーグナー:ジークフリート牧歌(1946年3月11日)
・ルーセル:交響詩『くもの饗宴』(1946年4月7日)
・ワーグナー:『ファウスト』序曲(1946年11月11日)


<1947年> 80才
・バッハ / レスピーギ編:パッサカリアとフーガ(録音:1947年11月22日)

<1948年> 81才
・ヴェルディ:歌劇『オテロ』第3幕のバレエ音楽(1948年9月16日)

<1949年> 82才
・ロッシーニ:歌劇『絹のはしご』序曲(1949年3月5日)
・シューマン:交響曲第3番『ライン』(1949年11月12日)


<1950年> 83才
・シューベルト:交響曲第8番『未完成』(1950年3月12日、6月2日)

<1951年> 84才
・プロコフィエフ:交響曲第1番『古典』(1951年11月10日)
→  
Arturo Toscanini - The XX Century
<1952年> 85才
・フランク:交響詩『プシュケ』(1952年1月5日)
→  
Arturo Toscanini Conducts Franck (1938-1952) 
・ケルビーニ:交響曲ニ長調(1952年3月10日)
・シベリウス:交響詩『エン・サガ』(1952年3月15日)


0 件のコメント: