火曜日, 12月 28, 2021
火曜日, 12月 21, 2021
ベイヌムの実力
§ 未完の巨匠
あと10年、いや5年でいい、長生きして音楽活動を行ってくれていたら、当時のクラシック音楽シーンは明らかに変わっていたであろうという”惜別”の指揮者たちがいた。その生きた時代、享年によっても異なるが、小生は7名を以下のリストにのせている。
50才台での昇天、シノーポリとともにベイヌムはその一人である。ともに指揮の最中に突然の死が訪れる。ベイヌムが天に召された57才という年令はもちろん”夭折”の範疇には入らないが、たゆまぬ研鑽のうえ、スターダムにのった働き盛りでの急逝は、“未完の巨匠”という意味ではなんとも勿体なく思う。
§ 黄金の1950年代
クラシック音楽界における1950年代は、あたかもマンモスが闊歩するかのような一大時代であった。しかし、たとえばフルトヴェングラー、トスカニーニやワルターなど30名の巨匠を並べた次の座右の選集のなかに、さきの7人のうち、フリッチャイやケンペは入っているが、ベイヌムの名前はない。それくらい、あまたの大指揮者が覇を競っていた黄金期であった。
織工Ⅲ 拾遺集 グレート・コンダクターズ(30CD) (fc2.com)
ベイヌムは、故国オランダで確実に地歩を固めて1940年代にロンドンに進出、米国でもフィラデルフィア管デビューに成功しロサンジェルス・フィルのシェフを務めていた、その矢先の死であった。世界的に注目された”昇竜期”にあっただけに誠に残念なことと思う。
織工Ⅲ: ベイヌムの特質 (shokkou3.blogspot.com)
§ メンゲンベルクとコンセルトヘボウ
欧州3大オケといえば、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルそしてコンセルトヘボウが、いまも”通り相場”だが、実際は群雄割拠、有力楽団が犇(ひし)めいている。しかし、当時もいまもコンセルトヘボウのシェフは指揮者にとって最有力なポストであることに変わりはない。
さて、前任の大指揮者メンゲンベルクとベイヌムのレパートリーは、バッハやブラームスなどかなり重なっているが、ベートーヴェンとチャイコフスキーに関しては、メンゲンベルクには以下の多くの録音が知られている。
<メンゲンベルクの音源>
【ベートーヴェン】
交響曲全集
・第1番 ハ長調, Op.21 ➀ 8November 1938、②14 April 1940, Live
・第2番 ニ長調, Op.36 21 April 1940, Live
・第3番 変ホ長調, Op.55 18 April 1940, Live
・第4番 変ロ長調, Op.60 ➀1&2 December 1938、②25 April 1940, Live
・第5番 ハ短調, Op.67 ➀4 May 1937、②18 April 1940, Live
・第6番 変ロ長調, Op.68 ➀22 December 1937、②21 April 1940, Live
・第7番 イ長調, Op.92 25 April 1940, Live
・第8番 ヘ長調, Op.93 ➀第2楽章:10 June 1927、② 9 November 1938、③18 April 1940, Live
・第9番 ニ短調, Op.125 ➀31 May 1938, Live、②2 May 1940, Live
・フィデリオ序曲, Op.72b
28 April 1940, Live
・「レオノーレ序曲」第1番,
Op.138 2 June 1931
・「レオノーレ序曲」第3番,
Op.72b 13'06 30&31 May 1930
・「エグモント」序曲, Op.84 ➀
May 1926、② May 1926、③29 April
1943, Live
・「コリオラン」序曲, Op.62 ➀
May 1926、② 1 June 1931
・バレエ音楽「プロメテウスの創造物」Op.43より ➀ 24 June 1935、② 1 November 1942
・「アテネの廃墟」,Op.113 ~トルコ行進曲 ➀ 30&31 May 1930、②1 November 1942
【チャイコフスキー】
交響曲
・第4番 ヘ短調, Op.36 11&15 June 1929
・第5番 ホ短調, Op.64 ➀第2,3楽章:10 June 1927、②10 May 1928、③ 26 November 1939, Live
・第6番 ロ短調, Op.74「悲愴」➀22 December 1937、②22 April 1941
・弦楽のためのセレナーデ ハ長調, Op.48から ➀ワルツ:10 May 1928、② 6
October 1938, Live、③8 November 1938
・幻想序曲「ロメオとジュリエット」30&31 May 1930
・大序曲「1812」, Op.49 April 1940
晩年まで現代音楽に強い関心、オランダの大指揮者の軌跡 (amazon.co.jp)
一方、ベイヌムではこの2大作曲家の録音はいかにも手薄である。しかし一部交響曲と、協奏曲など残された音源の秀逸さからみて、もしも10年、いや5年でも存命していたら、ステレオ収録できっと良き成果を残してくれたのではないかと悔やまれる。
織工Ⅲ: ベイヌムの芸術 (shokkou3.blogspot.com)
§ ベイヌムの先駆性
ここでは3つについて簡略にまとめてみたので、以下を参照されたいが、ブリテン、ブルックナーはベイヌムの独自の領域。マーラー、フランスものの一部はメンゲンベルクと重なっている。また、シューベルトの初期の交響曲でもベイヌムの取り上げは積極的である。
織工Ⅲ: ベイヌムの先駆性 マーラーとブルックナー (shokkou3.blogspot.com)
織工Ⅲ: ベイヌムの先駆性 ブリテンとフランス音楽 (shokkou3.blogspot.com)
土曜日, 12月 18, 2021
ベイヌムの先駆性 ブリテンとフランス音楽
ベイヌムはブリテン:春の交響曲を1949年初演した。また、ブリテンの代表作歌劇『ピーター・グライムズ』
から 4つの海の間奏曲は2度の録音を行っている。一方、フランスものでは、前任メンゲンベルクの取り上げたドビュシー、ラヴェル、フランク、ベルリオーズなどでレパートリーを増やし、さらに深掘りしつつ、この時代、得がたき成果を残している。いまから振り返ってもその先駆性は高く評価されるべきであろう。
第二次大戦前後の激動の時代、「音楽と政治」はいまでは考えられないくらい大きな問題性をはらんでいた。よく、フルトヴェングラーやカラヤンがその象徴として語られるが、ベイヌムの前任者、メンゲンベルクの晩年もその例にもれない。戦後、ナチスへの協力者のレッテルを貼られたメンゲンベルクは完全にパージされスイスへ隠遁しその後80才で逝去した。ゆえに、1945年以降オランダではベイヌムの肩にずしりと重荷がかかることになる。
ウィレム・メンゲルベルク/ウィレム・メンゲルベルクの芸術 with コンセルトヘボウ管弦楽団 (tower.jp)
イギリス、フランスの作曲家の取り上げに、当時の故国の政治状況からの影響を指摘することにはあくまでも慎重であるべきとは思うが、ベイヌム/コンセルトヘボウが前任者の“ドイツ・シフト”とは別の路線を歩み、結果的に、主要国への“文化特使”的な貢献をしたことは事実である。
さらに言えば、ベイヌムは晩年、ロンドン・フィルの首席指揮者やロサンゼルス・フィルの終身指揮者を務める一方、ハードスケジュールのなかで旺盛な録音を行ったことは、彼の心臓には過度な負担となったことだろう。1959年4月、アムステルダムでブラームスの交響曲第1番のリハーサルの最中、心臓発作で倒れ、帰らぬ人となったベイヌムは、いまでいえば過労による労災適用事例であったかもしれない。
音楽的にみて、ブリテンやドビュッシーなどフランス音楽におけるベイヌムのアプローチは一定していて、各国固有の民族主義的な要素よりも、純音楽的にみて楽想の新鮮さや各楽器のもつ特性を最大限引き出すことに注力しているように思う。メンゲンベルクが鍛え上げ、自らがその後磨きをかけた名器コンセルトヘボウの実力を世に知らしめることこそ、ベイヌムの使命であった。1946年に英Deccaにはじめての録音を行うが、その充実ぶり(そして、録音もこの時代としては優秀)は特筆すべきものである。そして終焉まで一貫してその姿勢はかわることがなかった。
織工Ⅲ 拾遺集 ベイヌムの芸術19 ブリテン:春の交響曲/4つの海の間奏曲/青少年のための管弦楽入門 (fc2.com)
【ブリテン】
・春の交響曲 作品44
ヨー・ヴィンセント(ソプラノ)、キャスリーン・フェリアー(アルト)、ピーター・ピアーズ(テノール)ロッテルダム少年合唱団、オランダ放送合唱団 1949年7月9日ライヴ
・歌劇 『ピーター・グライムズ』 から 4つの海の間奏曲 1953年9月
・青少年のための管弦楽入門 1953年9月
エドゥアルト・ファン・ベイヌム/ブリテン:春の交響曲/4つの海の間奏曲/青少年のための管弦楽入門 (tower.jp)
ブリテン 「春の交響曲」 作品44 | クラシックばっか 時空間 (ameblo.jp)
<1946年のベイヌムの主要録音>
・ベルリオーズ:幻想交響曲 録音:1946年9月
・同:「ファウストの劫罰」より+「トロイ人」~トロイ人の行進曲
録音:1946年3月(recorded at Walthamstow Assembly Hall, London)
・ラヴェル:スペイン狂詩曲 録音:1946年9月
・フランク:交響詩「プシシェ」より 録音:1946年9月
・ストラヴィンスキー:バレエ「春の祭典」 録音:1946年9月11日
・チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ 録音:1946年9月
・ワーグナー:歌劇「タンホイザー」~序曲とバッカナール 録音:1946年9月
・メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」より 録音:1946年9月
・シューベルト:交響曲第5番 録音:1946年9月
・ベートーヴェン:レオノーレ序曲第2番
録音:1946年3月(recorded at Walthamstow Assembly Hall, London)
ベイヌム指揮コンセルトヘボウ管弦楽団 ディスクレビュー■ PART 2. 1941-1953 (POLYDOR~DECCA)■An die MusikクラシックCD試聴記
水曜日, 12月 15, 2021
ベイヌムの先駆性 マーラーとブルックナー
ベイヌムのマーラーでは、交響曲第7番「夜の歌」の1958年6月4日ライヴ盤がある。また、最後の録音は、1959年3月12日のブルックナー交響曲第5番である。このように、ベイヌムは晩年、マーラー、ブルックナー双方ともに積極的に取り上げていたことがわかる。
ベイヌムのブルックナーやブラームスについては、すでになんども書いてきた。
織工Ⅲ: ベイヌムの特質 (shokkou3.blogspot.com)
したがって、ここでは以下、マーラーについて、少しメモしておきたい。
先駆的にマーラーを取り上げた指揮者のなかでは、ロスバウトやホーレンシュタイン、ミトロプーロスなどを最近、聴いている。
shokkouのブログ : マーラー 隠れた名人たち (livedoor.jp)
織工Ⅲ: マーラー 隠れた名指揮者 (shokkou3.blogspot.com)
しかし、いまのブームとはちがい1950年代は直弟子、ワルターやクレンペラーが君臨しており、それ以外の指揮者が録音までこぎ着けるのは大変であったろう。そうしたなか、ベイヌムがマーラーに注力できた一つの要因としては、マーラーと深い親交があった前任者、メンゲンベルクの影響があったことも見落とせない。
メンゲンベルクはベートーヴェンを得意としており交響曲全集もあるが、ベイヌムの交響曲では、現状、第2番、第3番、第7番が知られるくらいである。もっと長生きしてくれたら、いずれベイヌムも全集づくりに勤しんだのではとも想像するが、誠に残念なことではある。
一方、マーラーは第3番、第4番、第6番および第7番にくわえて、大地の歌の名演が残された。以下、前任者と聴き比べができる第4番とワルター十八番の大地の歌について見てみよう。
【メンゲンベルク】
メンゲルベルクのマーラー第4番、歴史的音源 (amazon.co.jp)
メンゲルベルクの有名な音源。2つの留意事項がある。第一に、1939年11月9日のライヴ音源であること。音質については望むべくもない。第二に、その解釈のユニークさ。通常の4番を聴く気持ちで接すると強い違和感があるだろう。
そこまで覚悟して聴くと別の面白さが見えてくる。兎がぴょんぴょんと跳ねているようなリズミックさと思い切りのポルタメントのねちっこさが同居しており、ときに歯切れよく、ときに粘着質の音楽が自在なテンポのなかで交錯する。はじめは驚くが、聴きすすむとマーラー音楽の多面性を懸命に伝えようとしている、これは一つの技法ではないかと思えてくる。飽きさせない熱演であり、音が痩せている分、その切実さが強き線状のようにストレートに伝わってくる。
マーラーがメンゲルベルクの演奏を高く評価し、かつ楽譜どおりの演奏でないことも認めたことは著名なるエピソードだが、同時代人としてマーラーの天才に傾倒し、系統的に多くの演奏を行い、コンセルトヘボウにそれをしっかりと根付かせた功績は大きいだろう。この演奏は、マーラーのお墨付きをもらったというよりも、マーラーの内心に真剣に寄り添ったという意味で貴重な音源であると言えよう。【ベイヌム】
第4番、オーソドックスな解釈なれど緻密で隙のない演奏 (amazon.co.jp)
第4番については、ベイヌムの前任者にして、作曲家自らがその演奏を高く評価したメンゲンベルクの1939年盤 Symphony 4 がいまも現役として輝いている。ベイヌムも当然、意識して取り組んだことであろう。重心は後半2楽章におかれ、緻密にして隙のない演奏。マーガレット・リッチーはアルトのような低音もだせる歌手だがけっして美しき詠唱ではない。しかし、たとえば、これもマーラー演奏の泰斗、ワルター/ニューヨーク・フィル Symphony 4 を聴いても、作曲家はそれを意図していたのかも知れないとも思う。
ベイヌム盤は、この時代としては優れた録音(1952年4月29、30日、5月1-3日に収録)でオーソドックスな解釈の演奏。録音がふるく個性的なメンゲンベルク盤とは違った良さをもつ。しかし、共通するのはコンセルトヘボウ管の明るく温かみのあるすばらしい音色。終始、心地よいこの響きとともにある至福感こそが魅力の源泉である。【ワルター】
ワルターには数種の「大地の歌」の録音がある。1938年のSP復刻のもの、1952年にウィーン・フィル盤、そしてこのニューヨーク・フィルとの1960年のスタジオ録音盤(唯一のステレオ収録)などである。
当盤はワルター逝去の2年前の記録であり、「告別」が最後のテーマ(第6章)になっていることから象徴的なものを感じる。ワルターは1911年本曲を初演した。マーラーの弟子・後継指揮者として、この曲を35才のワルターが世に問うたことは、彼自身が述懐しているように実に大きな飛躍のステップであった。
そうした点を一応、措くとしても当盤はその演奏の気高い品位、クリアな録音において、いまもウィーン・フィル盤とともに代表的名作である。ワルターの説得力に富むアプローチにくわえ、とくに、エルンスト・ヘフリガー(テノール)の独唱が他に代えがたい深い詠嘆を湛えており、心に染み入るものである。第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」の出だしから、ワルターと完全に融合し、マーラーの心境にひしと寄り添っているような一体感を醸している。至芸といえよう。
当盤はワルター逝去の2年前の記録であり、「告別」が最後のテーマ(第6章)になっていることから象徴的なものを感じる。ワルターは1911年本曲を初演した。マーラーの弟子・後継指揮者として、この曲を35才のワルターが世に問うたことは、彼自身が述懐しているように実に大きな飛躍のステップであった。
そうした点を一応、措くとしても当盤はその演奏の気高い品位、クリアな録音において、いまもウィーン・フィル盤とともに代表的名作である。ワルターの説得力に富むアプローチにくわえ、とくに、エルンスト・ヘフリガー(テノール)の独唱が他に代えがたい深い詠嘆を湛えており、心に染み入るものである。第一楽章「大地の哀愁に寄せる酒の歌」の出だしから、ワルターと完全に融合し、マーラーの心境にひしと寄り添っているような一体感を醸している。至芸といえよう。
【ベイヌム】
「大地の歌」では、1960年ワルター/ニューヨーク・フィル盤 マーラー交響曲「大地の歌」 が座右の1枚だが、ここではエルンスト・ヘフリガー(テノール)の独唱が他に代えがたい深い詠嘆を湛えており、心に染み入るものである。本ベイヌム盤は遡って1956年12月3~8日の収録だが、同じくへフリガーの登壇、くわえて、ナン・メリマン(メゾソプラノ)もクリアで伸びのある名唱である。なお、この2人+コンセルトヘボウの組み合わせでは、その後1963年のヨッフム盤もある。
ベイヌム盤は、最大限、歌手の力量とオーケストラとの融合を示すことに注力しているように思う。そして、それは成功しており、本曲は交響曲というよりも一大歌曲集といった様相である。しかもへフリガーの明瞭な発音、明燦な声とコンセルトヘボウの音質が全体のトーンを明るくし、見通しのよい演奏となっている。
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(参考)ベイヌムの録音
【マーラーの交響曲等】
・第3番 アルト:モーリーン・フォレスター 1957年7月14日
・第4番 ソプラノ:マーガレット・リッチー 1951年9月
・第6番 1955年12月7日(ライヴ)
・第7番 1958年6月4日(ライヴ)
・大地の歌+さすらう若人の歌 メゾソプラノ:ナン・メリマン,テノール:エルンスト・ヘフリガー 1956年12月3~12日
【ブルックナーの交響曲】
・第4番 1952年6月
・第5番 1959年3月12日(Radio Nederlandによるライヴ録音)
・第7番 ➀1947年9月、②1953年5月
・第8番 1955年6月6~9日
・第9番 1956年9月
ベイヌムの先駆性 「幻想交響曲」
1929年、ベイヌムはアムステルダム・コンセルトヘボウ管へのデビューが大成功を収め、1931年にピエール・モントゥーの推薦とメンゲルベルクの招きで次席指揮者に、1938年からはメンゲルベルクとともに首席指揮者に就任した。
以上の経緯からは、モントゥーは、ベイヌムにとっていわば大恩人ともいえる存在である。
織工Ⅲ: モントゥー 往年の名指揮者【廉価盤BOXセットの魅力】 (shokkou3.blogspot.com)
そのモントゥーは、ベルリオーズなどフランスものの押しも押されもせぬ巨匠であり、ミュンシュへも大きな影響をあたえた。ベイヌムの幻想交響曲はモントゥー仕込みともいえるのかも知れないが、実はベイヌムの録音は早い。➀1943年9月、②1946年9月、③1951年9月の3つの音源が知られているが、小生は②、③を愛聴している。
ベイヌムの「幻想」、代表的な名盤 (amazon.co.jp)
緻密にして端正な「幻想」である。第1楽章では抑揚をつけた音づくりのなか、管弦楽の絶妙なバランス感覚が生きている。緩急の手綱さばきがよく、そのなかで各楽器が存分に己が役割を果たしている。第2楽章、ハープの導入後、主要動機の提示がなめらかなワルツに乗って展開される。過度な味付けはなく自然体の運行である。第3楽章、イングリッシュホルンとオーボエが誘導し、遅いテンポをとりながら弦楽器のハーモニーが控えめに被さってくる。弦楽器が「主」、木管・金管は「従」のいつもの関係を逆にしてオーケストラの基調の音色をかえている。ベイヌムの指示を完全に共有したコンセルトヘボウの機能的な一体感あればこそだろう。技巧的には全曲のもっとも聴かせどころかも知れない。第4楽章、前楽章最後で暗示的に登場するティンパニーなどの打楽器と金管楽器の“本格”出番の楽章なのだが、あまり大仰に前面には立てず、すっきりとまとめている。終楽章も必要なダイナミズムは意識しながらもバランス重視。フィナーレのみは抑制解除で全力疾走。
この“ベイヌム流スタイリッシュさ”、聴き終わったあとの充足感がことのほか大きく、厭きがこない。1951年録音の音質は劣るがいまだ「幻想」の代表的な名盤である。
織工Ⅲ 拾遺集 ベイヌムの芸術9 ベルリオーズ:幻想交響曲ほか (fc2.com)
織工Ⅲ: ベルリオーズ 幻想交響曲 (shokkou3.blogspot.com)
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(参考1) ベイヌムのベルリオーズの録音
・幻想交響曲 ➀1943年9月、②1946年9月、③1951年9月
・「ローマの謝肉祭」序曲 ➀1951年9月、②1956年9月
・歌劇「ベンヴェヌート・チェリーニ」序曲 1949年9月
・「ファウストの劫罰」より+「トロイ人」~トロイ人の行進曲
1946年3月(mono/recorded at Walthamstow Assembly Hall,
London)
・「ファウストの劫罰」より 1952年
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(参考2) 私的「幻想」10選
クリュイタンス/フィルハーモニー管
ミュンシュ/ボストン交響楽団
ミュンシュ/パリ管弦楽団
マルケヴィッチ/ラムルー管
ベイヌム/コンセルトヘボウ管
デュトワ/モントリオール響
デイヴィス/コンセルトヘボウ管
カラヤン/ベルリン・フィル
ベイヌム/コンセルトヘボウ管
デュトワ/モントリオール響
デイヴィス/コンセルトヘボウ管
カラヤン/ベルリン・フィル
モントゥー/サンフランシスコ響
ブーレーズ/クリーヴランド管
金曜日, 12月 10, 2021
ベイヌム 協奏曲集等
ランダムではあるが、ベイヌムの協奏曲集を少しフォローしてみたい。多彩な共演者との録音がある。
【曲目/演奏/録音】
【バッハ】
・バッハ(ブゾーニ編):チェンバロ協奏曲ニ短調BWV1052/リパッティ(P)/PRIVATE RECORDING 1947年10月2日
・バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲ハ短調BWV1060/べイヌム指揮(&Pf)、ヨハネス・デン・ヘルトーク(Pf)/AVRO 1939年12月11日
・バッハ:カンタータ第56番BWV56/マック・ハレル(Br)/AVRO 1939年2月19日
【モーツァルト】
・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4
番ニ長調 K.218/ジャック・ティボー(Vn)1949年/アムステルダム
・同/ヨハンナ・マルツィ(Vn)1951年ライヴ
・同/ユーディ・メニューイン(Vn)(AVROウィーン、ムジークフェライン1956/6/8)
・モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299/フーベルト・バルワーザ(フルート)フィア・ベルゴート(ハープ)1957年 アムステルダム
【ベートーヴェン】
・ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.61 /ジノ・フランチェスカッティ(vn)(NCRV 1958/3/19)
・ピアノ協奏曲第1番ハ長調 Op.15/カザドシュ(p)1959年3月1日&2日
・同第3番ハ短調Op.37/ ソロモン(p)KRO1952年12月18日
・同第3番(カデンツァ: クララ・シューマン版)/フレデリック・ラモンド(p)1939年10月29日
・同第4番/カザドシュ(p)1959年3月1日&2日
・同第5番 変ホ長調 Op.73「皇帝」/クリフォード・カーゾン(p)1949年
・同第5番/マイラ・ヘス(p)1952年10月15日
【シューベルト】
・岩の上の羊飼いD965/ヨー・ヴィンセント(S)、ルドルフ・ガル(Cl)/AVRO 1940年7月7日
【メンデルスゾーン】
・ヴァイオリン協奏曲/カンポーリ(Vn) LPO 1949年
・同/シモン・ゴールドベルク(Vn)1957年9月4日エジンバラ
【シューマン】
・ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54/マイラ・ヘス(P)1956年11月15日
【ブラームス】
・ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77/アルテュール・グリュミオー(Vn)1958年7月3-5日
・ピアノ協奏曲第1番 クリフォード・カーゾン(P)1951年
【チャイコフスキー】
・ピアノ協奏曲第1番 クリフォード・カーゾン(P)1950年
【リスト】
・ピアノ協奏曲第2番/J.ペンバウアー(P)/AVRO 1935年9月8日
・同/フレデリック・ラモンド(P)
1937年2月7日
【フランク】
・交響的変奏曲/ヘラルト・ヘンゲフェルト(P)/AVRO 1939年12月3日
・同/ゲザ・アンダ(P)1943年5月17-21日、アムステルダム
【ラヴェル】
・ピアノ協奏曲/コール・デ・フロート(P)AVRO 1940年11月28日
【エルガー】
・チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85/アンソニー・ピーニ(Vc)ロンドン・フィル/1949年-1950年
ロンドン・キングズウェイ・ホール
【ジャン・フランチェスコ・マリピエロ(1882-1973)】
・チェロ協奏曲/エンリコ・マイナルディ(Vc)1941年ライヴ
【ヘンク・バディングス(1907-1987)】
・チェロ協奏曲第2番(1940)/カレル・ファン・レーヴェン・ボーンカンプ(Vc)/AVRO 1941年3月27日
【ヘンケマンス(1913-1995)】
・ヴィオラ協奏曲(1954)/クラース・ブーン(Vla)/RN 1956年4月24日
【シュテファン】
・ヴァイオリンと管弦楽のための音楽/クーレンカンプ(Vn)/AVRO 1940年1月4日
【アンドリーセン(1892-1981)】
・「苦しみの鏡」(1923~1933)/イルマ・コラッシ(S)/RN 1952年12月21日
【ヴェルディ】
・歌劇「ドン・カルロ」より“彼女は私を愛したことがない”/ボリス・クリストフ(Bs)、ティボル・デ・マヒュラ(Vc)/AVRO 1956年4月18日
【ディーペンブロック(1862-1921)】
・テ・デウム(1897/1908)/エルナ・スポーレンベルク(S)、ナン・メリマン(A)、エルンスト・へフリガー(T)、ラウレンス・ボフトマン(Bs)、アムステルダム・トンクンスト合唱団/PHILIPS 1956年10月7日
【ウィレム・ペイペル(1894-1947)】
・交響曲第3番 クリフォード・カーゾン(P)1953年
【マルコム・アーノルド】
・喜劇序曲「酔っ払いベッカス」作品5* マルコム・アーノルド(首席Tp)ロンドン・フィル 1947/12/16) *アーノルド作品初録音
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<上記出典は以下のとおり>
・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.61 /ジノ・フランチェスカッティ(vn)(NCRV 1958/3/19)
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調Op.37/ ソロモン(p)(KRO1952/12/18)
・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番ニ長調 K.218/ユーディ・メニューイン(vn)(AVROウィーン、ムジークフェライン1956/6/8)
Debussy, Ravel, et al / Van Beinum, Concertgebouw Orchestra (tower.jp)
・ラヴェル:ピアノ協奏曲/コール・デ・フロート(P)AVRO 1940年11月28日
ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団/The Cor de Groot Collection Vol 1 - Ravel
・メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲/カンポーリ(Vn)、LPO[1949年]
エドゥアルト・ファン・ベイヌム/Eduard van Beinum Box - Beethoven, Rossini, Mendelssohn, etc (tower.jp)
・メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲/シモン・ゴールドベルク(Vn)、1957年9月4日エジンバラ
シモン・ゴールドベルク/Szymon Goldberg Vol.1 - Non-Commercial Recordings: Centenary Edition (tower.jp)
・ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品77/アルテュール・グリュミオー(Vn)1958年7月3-5日
・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4 番ニ長調 K.218/ジャック・ティボー(Vn)1949年/アムステルダム
ジャック・ティボー/Beethoven: Violin Concerto Op.61; Mozart: Violin Concerto No.4 (tower.jp)
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番、第1番/カザドシュ(P)1959年
ロベール・カサドシュ/ロベール・カサドシュ 名演奏集 (tower.jp)
・ジャン・フランチェスコ・マリピエロ(1882-1973):チェロ協奏曲/エンリコ・マイナルディ(Vc)1941年ライヴ
エンリコ・マイナルディ/The Cello Champion - Enrico Mainardi (tower.jp)
・モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299/フーベルト・バルワーザ(フルート)フィア・ベルゴート(ハープ)1957年 アムステルダム
エドゥアルト・ファン・ベイヌム/モーツァルト:ポストホルン・セレナード フルートとハープのための協奏曲 (tower.jp)
・ ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op.73「皇帝」/マイラ・ヘス(Pf)1952年10月15日
・ シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.54/マイラ・ヘス(Pf)1956年11月15日
マイラ・ヘス/ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第5番「皇帝」、シューマン: ピアノ協奏曲 Op.64 (tower.jp)
・リスト:ピアノ協奏曲第2番/J.ペンバウアー(Pf)/AVRO 1935年9月8日
・バッハ:カンタータ第56番BWV56/マック・ハレル(Br)/AVRO 1939年2月19日
・バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲ハ短調BWV1060/べイヌム指揮(&Pf)、ヨハネス・デン・ヘルトーク(Pf)/AVRO 1939年12月11日
・シューベルト:岩の上の羊飼いD965/ヨー・ヴィンセント(S)、ルドルフ・ガル(Cl)/AVRO 1940年7月7日
・シュテファン:ヴァイオリンと管弦楽のための音楽/クーレンカンプ(Vn)/AVRO 1940年1月4日
・フランク:交響的変奏曲/ヘラルト・ヘンゲフェルト(Pf)/AVRO 1939年12月3日
・ヘンク・バディングス(1907-1987):チェロ協奏曲第2番(1940)/カレル・ファン・レーヴェン・ボーンカンプ(Vc)/AVRO 1941年3月27日
・バッハ(ブゾーニ編):チェンバロ協奏曲ニ短調BWV1052/リパッティ(P)/PRIVATE RECORDING 1947年10月2日
・アンドリーセン(1892-1981):「苦しみの鏡」(1923~1933)/イルマ・コラッシ(S)/RN 1952年12月21日
・ヘンケマンス(1913-1995):ヴィオラ協奏曲(1954)/クラース・ブーン(Vla)/RN 1956年4月24日
・ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」より“彼女は私を愛したことがない”/ボリス・クリストフ(Bs)、ティボル・デ・マヒュラ(Vc)/AVRO 1956年4月18日
・ディーペンブロック(1862-1921):テ・デウム(1897/1908)/エルナ・スポーレンベルク(S)、ナン・メリマン(A)、エルンスト・へフリガー(T)、ラウレンス・ボフトマン(Bs)、アムステルダム・トンクンスト合唱団/PHILIPS 1956年10月7日
エドゥアルト・ファン・ベイヌム/Live - The Radio Recordings - Eduard van Beinum (tower.jp)
・フランク: 交響的変奏曲/ゲザ・アンダ(pf) 1943年5月17-21日、アムステルダム
ゲザ・アンダ/Geza Anda Plays J.S.Bach, Mozart, Beethoven, Franck, etc (tower.jp)
・エルガー:チェロ協奏曲 ホ短調 Op.85/アンソニー・ピーニ(Vc)ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団/1949年-1950年 ロンドン・キングズウェイ・ホール
・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4 番ニ長調 K.218/ヨハンナ・マルツィ(Vn)1951年ライヴ
ヨハンナ・マルツィ/モーツァルト: ヴァイオリン協奏曲第4番&メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 Op.64、他 (tower.jp)
・ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第3番ハ短調Op.37(カデンツァ: クララ・シューマン版)/フレデリック・ラモンド(pf) 1939年10月29日
・リスト: ピアノ協奏曲第2番イ長調S.125/フレデリック・ラモンド(pf) 1937年2月7日
フレデリック・ラモンド/Frederic Lamond - Rare Broadcasts and Selected Recordings (tower.jp)
・ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 クリフォード・カーゾン(P)1953年
クリフォード・カーゾン/ブラームス:ピアノ協奏曲第1番 ファリャ:交響的印象「スペインの庭の夜」 (tower.jp)
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」クリフォード・カーゾン(P)1949年
・チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番 クリフォード・カーゾン(P)1950年
クリフォード・カーゾン/ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」:チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番 (tower.jp)
・ウィレム・ペイペル(1894-1947):交響曲第3番 クリフォード・カーゾン(P)1953年
クリフォード・カーゾン/Clifford Curzon - Milestones of a Piano Legend (tower.jp)
・マルコム・アーノルド:喜劇序曲「酔っ払いベッカス」作品5* マルコム・アーノルド(首席Tp)ロンドン・フィル 1947/12/16) *アーノルド作品初録音
ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団/THE MALCOLM ARNOLD EDITION VOL.3 -ORCHESTRAL, BRASS & PIANO MUSIC (tower.jp)
木曜日, 12月 09, 2021
ベイヌムの特質
ベイヌム (Eduard van Beinum, 1901年9月3日 - 1959年4月13日) については、その前任のメンゲルベルク(1871~1951年)との関係なくしては語れない。先代メンゲルベルクは、約半世紀の永きにわたって、コンセルトヘボウに君臨したのみならず、初代ウイレム・ケス(1854~1934年)の跡目を弱冠24才で継いだあと、実質の「ファウンダー」とでも言うべき功績を残した。彼が鍛えぬき、オランダに名器コンセルトヘボウありと世に知らしめた。
後任のベイヌムは、この先代の推戴により37才で、故国のコンセルトヘボウの首席指揮者になるのだから、非常に優秀で、かつ世俗的にはオランダでは大成功者であったと言えるだろう。しかし、先代の存在があまりに巨大であったので、彼自身の評価は結果的に地味な感を否めない。
また、指揮者としては働き盛りの57才で鬼籍にはいり、後任が同じオランダ出身の俊英、話題性のある若きハイティンクであったことから、ベイヌム時代は「中継ぎ」のような印象があり、余計に地味に映ってしまう。さらに、最盛期の録音時期が、モノラル時代の最後に重なっており、その後の怒濤のステレオ時代の「エアポケット」になってしまったことも、その見事な演奏を広く知らしめるには不利であった。
織工Ⅲ: ハイティンク Bernard Haitink (shokkou3.blogspot.com)
加えて、ブルックナーに関しては、ハイティンクの「後見人」的に、ヨッフムがコンセルトヘボウを指導したが、彼は既にブルックナーの最高権威であり、また、ハイティンクもブルックナーを熱心に取り上げたことから、結果的に、ベイヌムの業績を目立たなくしてしまったように思う。
織工Ⅲ: ヨッフム Eugen Jochum (shokkou3.blogspot.com)
マーラーと親交があり、それを積極的に取り上げたメンゲルベルクは、ブルックナーについてはあまり関心がなかったようだ。しかし、ベイヌムはそのデビューがブルックナーの第8番のシンフォニーであったことが象徴的だが、ブルックナーを進んで演奏している。そして、その記録はいま聴いても、ヨッフム、ハイティンクとも異なり、けっしてその輝きを失っていない。
次にブラームスについて。ベイヌムには、コンセルトヘボウ管によるブラームス交響曲全集がある。各録音時点は、第1番(1958年10月6,7日)、 第2番(1954年5月17-19日)、 第3番(1956年9月24,25日)、 第4番(1958年5月1-3日)で、第1番、第4番はステレオ収録である。
全体の印象は、「力押し」の部分のない自然体の構え。コンセルトヘボウの音色は、そのブラームス像にほの明るさを点じており、実に聴きやすく落ち着きのある心地よき響きである。
たとえば、チェリビダッケのような情念の渦巻きを感じることもなければ、フルトヴェングラー流「渾身の一撃」のリズミックさなど「エッジの立った」アプローチとは明らかに異なる。全体に自由度をもったオーケストラ操舵を感じさせ、ベームの如き厳しい緊張感、統制力はない。感情移入の奥深さこそベイヌムの魅力であり、統制の緩さは、独特のほのぼの感を滲ませ、力押しはなくともコンセルトヘボウの内燃度は高く、各番ともに、ここぞという場でのダイナミズムに不足はない。
4曲を通しで聴いて、格調あるブラームスの世界に浸れるという意味では、ケンペとともに佳き演奏である。
織工Ⅲ: ベイヌムを聴く 2 (shokkou3.blogspot.com)
ブラームスではほかに交響曲第3番(ロンドン・フィル、録音:1949年)などもある。流れがよく淀みのないベイヌムらしい心地よい音の運びに接し、思わず「ああいいなあ」と独りごと。続いてメンデルスゾーンを2曲聴く(ヴァイオリン協奏曲ニ短調、『真夏の夜の夢』序曲)。これも溌剌として楽しめる。
次に、ベルリオーズ「幻想交響曲」(コンセルトヘボウ、録音:1946年)。これも高名な新盤(1951年)が知られるが、録音の古さはあっても本盤はこれに伍して十分。さて、聴きながら漫ろ感じたこと。
ドイツ的な潔癖さ、に対してフランス的な緩やかさ。ドイツ的な理性主義、に対してフランス的粋なエスプリ。いかにも紋切り型だが、堅苦しくも徹底した完璧嗜好、に対して柔和ななかにキラリと最良の知性が光る、の違いとでもあえて言ってみようか。
ベイヌムは生粋のオランダ人。地勢的にも、人種的にも実は双方の良さをあわせもっているのではないか。かつ、いわばクロスの関係(バランス)が絶妙で、ブラームスでは後者のもつ柔軟性がとても新鮮に映り、ベルリオーズでは逆に前者の堅牢な解釈の片鱗もみえる気がする。
もちろん、ベイヌムは意図的にこれをやっているわけではない。ベイヌムの演奏には見え透いた作為がない、そこがこよなき魅力であると思う。
織工Ⅲ: ベイヌムを聴く 1 (shokkou3.blogspot.com)
水曜日, 12月 08, 2021
ベイヌムの芸術
ベイヌムは2006年から本格的に聴くようになった。ブルックナーの交響曲集をお茶の水の古CDショップで買って以来、ブラームス:交響曲全集、そして様々な作品に接してきた。
はじめに、最近リリースされたベイヌムのCD40枚組のBOXセットを見てみよう。ベイヌムの録音の相当部分をカヴァーしている。
エドゥアルト・ファン・ベイヌム/エドゥアルト・ファン・ベイヌムの芸術 (tower.jp)
【収録情報】(➀②③は複数音源を示している)
CD1-5:ブルックナー:交響曲第5番、➀第8番、第9番、第7番、②第8番
・ウィレム・ペイペル(1894-1947)交響曲第3番(ピエール・モントゥに捧ぐ)1957年10月2日(ライヴ)
CD6-8:マーラー:「大地の歌」、歌曲集「さすらう若人の歌」、交響曲第6番、第4番
・フランク:交響詩「プシシェ」1951年9月
CD9-13、CD18:ブラームス:交響曲➀第1番、➀第2番、第3番、第4番、②第1番、大学祝典序曲、悲劇的序曲、➀ハイドンの主題による変奏曲、交響曲③第1番、②ハイドンの主題による変奏曲、②交響曲第2番
CD12-16:・シューベルト:交響曲第9番、第3番、第6番、第8番、第4番、「ロザムンデ」序曲、ロザムンデ
・ストラヴィンスキー:組曲「火の鳥」1948年5月13日(ライヴ)
CD15:メンデルゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」、組曲「真夏の夜の夢」から 序曲,夜想曲,スケルツォ
CD16:フランク:交響詩「プシシェ」 (Symphonic excerpts)
・チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」、組曲「くるみ割り人形」
CD17:エルガー:「子供の魔法の杖」第1組曲 Op.1a&第2組曲 Op.1b、序曲「コケイン」
CD19-21:ドビュッシー:夜想曲、➀交響詩「海」、スコットランド行進曲、英雄的な子守歌、➀「映像」、②交響詩「海」、交響組曲「春」、②「映像」
CD21:ラヴェル:「ボレロ」、「ラ・ヴァルス」、「ダフニスとクロエ」第2組曲
CD22-23:J.S.バッハ:管弦楽組曲第1番、第2番、第3番、第4番、J.C.バッハ:シンフォニア 変ロ長調,Op.18-2、シンフォニア ニ長調 Op.18-4
CD23-27、CD32:ベートーヴェン:交響曲第2番 、バレエ音楽「プロメテウスの創造物」、「プロメテウスの創造物」序曲、レオノーレ序曲第1番、第3番、「フィデリオ」序曲、➀「エグモント」序曲、「コリオラン」序曲、献堂式序曲、交響曲第2番、第7番、第3番、②「エグモント」序曲
・モーツァルト:交響曲第35番ニ長調,K.385「ハフナー」
CD28:ヘンデル:「水上の音楽」(クリュザンダー版)
モーツァルト:セレナード ニ長調,K.320「ポスト・ホルン」、交響曲第29番、交響曲第40番ト短調(リハーサル)
・アンブロワーズ・トマ(1811-1896):ミニヨン序曲
・カール・ニコライ(1810-1849):「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲
・リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」
CD31-32:ハイドン:交響曲第94番「驚愕」、第96番「奇跡」、第97番、第100番「軍隊」
・メンデルゾーン:交響曲第4番イ長調,Op.90「イタリア」
CD33:ベルリオーズ:幻想交響曲、「ファウストの劫罰」から I. ラコッツィー行進曲 II. 妖精の踊り III. 鬼火のメヌエット、序曲「ローマの謝肉祭」
CD34-35:ブリテン:春の交響曲、歌劇「ピーター・グライムズ」より4つの海の間奏曲、「青少年のための管弦楽入門」、ブリテン:歌劇「ピーター・グライムズ」より4つの海の間奏曲、パッサカリア
CD35:シベリウス:交響詩「エン・サガ」、交響詩「タオピラ」、悲しきワルツ,、交響詩「フィンランディア」
CD36:バルトーク:管弦楽のための協奏曲、弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽,SZ.106
・アーノルド:「ベッカス・ザ・ダンディプラット」序曲,Op.5 (1943)
CD37:ストラヴィンスキー 組曲「火の鳥」、春の祭典、交響詩「ナイチンゲールの歌」
CD38:レスピーギ:ローマの噴水
チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」、交響曲第4番
CD39:ボロディン:だったん人の踊り(編曲.リムスキー・コルサコフ/グラズノフ)
リムスキー・コルサコフ:組曲「シェラザード」
コダーイ:組曲「ハーリ・ヤーノシュ」
CD40:レーガー:バレエ組曲,Op.130
シェーンベルク:5つの管弦楽曲,Op.16
ルドルフ・エッシャー(1912-1980)Musique pour l'esprit en deuil
・ヘンドリク・アンドリーセン(1892-1981):交響曲第4番
ほかにもライヴ音源集もある。太字は上記とラップしないもの。協奏曲関係が多いが共演者が充実しており興味深い。
Art Of Beinum / Amsterdam
Concertgebouw.o(Radio Recordings)With Dvd
【収録情報】(以下は引用)
CD1
・リスト:ピアノ協奏曲第2番 ヨーゼフ・ペンバウアー(P)8/9/1935
・バッハ:カンタータ第56番BWV.56 マック・ハレル(Br)19/2/1939
・チャイコフスキー:幻想序曲「ロメオとジュリエット」 6/6/1940
CD2
・バッハ:2台のチェンバロのための協奏曲ハ短調BWV.1060 べイヌム&ヨハネス・デン・ヘルトーク(P)11/12/1939
・シューベルト:岩の上の羊飼いD.965 ヨー・ヴィンセント(S) ルドルフ・ガル(Cl) 7/7/1940
・シューベルト:「ロザムンデ」より、間奏曲第2番&第3番 7/7/1940
・ルーディ・シュテファン:ヴァイオリンと管弦楽のための音楽 クーレンカンプ(Vn)4/1/1940
・フランク:交響的変奏曲 ヘラルト・ヘンゲフェルト(P)3/12/1939
・ルドルフ・メンゲルベルク:サルヴェ・レジナ トー・ファン・デア・スリュイ(S)2/10/1939
・フランク:交響詩「プシュケ」より、第1~4曲 15/5/1941
・ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調 コルネリアス・デ・フロート(P)28/11/1940
・ドビュッシー:交響詩「海」 30/1/1941
CD4
・ヘンク・バーディングス:チェロ協奏曲第2番 カレル・ヴァン・レーヴェン・ボーンカンプ(Vc)27/3/1941
・チャイコフスキー:交響曲第4番へ短調 26/5/1940
CD5
・ドビュッシー:交響組曲「春」 8/7/1942
・レーガー:バレエ組曲Op.130 18/7/1943
・バルトーク:管弦楽のための協奏曲 10/9/1948
CD6
・ドビュッシー:管弦楽のための映像 19/12/1948
・ストラヴィンスキー:「火の鳥」組曲(1919年版) 13/5/1948
・ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲 11/10/1954
CD7
・バッハ/ブゾーニ編:チェンバロ協奏曲二短調BWV.1052 ディヌ・リパッティ(P)2/10/1947
・ブラームス:交響曲第1番ハ短調 25/10/1951
CD8
・レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」 16/10/1949
・ヘンドリク・アンドリーセン:「苦しみの鏡」イルマ・コラッシ(S) 21/12/1952
・シェーンベルク:5つの管弦楽曲Op.16 12/10/1951
・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調 ソロモン(P)18/12/1952
・ヴィレム・ペイパー:交響曲第3番K.71 2/10/1957
・ハンス・ヘンケマンス:ヴィオラ協奏曲クラース・ブン(Va) 24/4/1956
・アンドリーセン:交響曲第4番 19/10/1955
・ルドルフ・エッシャー:哀悼の音楽
・ベートーヴェン:「エグモント」序曲 14/10/1954
・ヴェルディ:歌劇「ドン・カルロ」より“彼女は私を愛したことがない” ボリス・クリストフ(Bs) ティボル・デ・マヒュラ(Vc)18/4/1956
・ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲ニ長調 ジノ・フランチェスカッティ(Vn)19/3/1958
CD11
・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番 ユーディ・メニューイン(Vn)8/6/1956
・モーツァルト:交響曲第40番のリハーサル 20/9/1956
・アルフォンス・ディーペンブロック:テ・デウム エルナ・スポーレンベルク(S) ナン・メリマン(A) エルンスト・へフリガー(T) ラウレンス・ボフトマン(Bs) アムステルダム・トーンクンスト合唱団 7/10/1956
エドゥアルト・ファン・ベイヌム/Live - The Radio Recordings - Eduard van Beinum (tower.jp)
座右の『ベイヌム Portrait』集もみておこう。ここでは古い音源が注目される。
👉 織工Ⅲ 拾遺集 ベイヌム Portrait いま聴いているもの (fc2.com)
【収録情報】(以下は引用)
CD-1
・ベートーヴェン:『プロメテウスの創造物』序曲
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1952年
・シューベルト:交響曲第4番ハ長調
D.417『悲劇的』
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 録音:1952年
CD-2
・ベルリオーズ:幻想交響曲 op.14
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
09/1946, [Studio] → 別録音: 10 September 1951, Amsterdam あり
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 録音:1952年
・ロッシーニ:『絹のはしご』序曲
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 録音:1952年
CD-3
・ブラームス:交響曲第3番ヘ長調
op.90
ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1949年
・メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲ニ短調 op.64
アルフレード・カンポーリ(vn) ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 録音:1949年
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 録音:1952年
CD-4
・ラヴェル:スペイン狂詩曲
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 録音:1946年
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 録音:09/1948, [Studio]
・ブリテン:4つの海の間奏曲とパッサカリア op.33a/b
アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 録音:09/1947, [Studio]
録音データをみるうえで、かつて販売された『ベイヌムの芸術』第1集、第2集についてのリストを以下に示す。なお、このほかにもマタイ受難曲などの重要音源もある。
👉 織工Ⅲ 拾遺集 ベイヌム Eduard Van Beinum の芸術 (fc2.com)
👉 織工Ⅲ 拾遺集 ベイヌム Philips Recordings 1954-1958 2 (fc2.com)
👉 織工Ⅲ 拾遺集 ベイヌム マタイ受難曲 (fc2.com)
【収録情報】(以下は引用)
第1集
<DISK 01>
・ベートーヴェン:プロメテウスの創造物
Op.43 ロンドン・フィル 1952年2月25日~3月19日
・モーツァルト:交響曲第35番
ニ長調 K385 "ハフナー" ロンドン・フィル 1952年5月1日Kingsway Hall, London
<DISK 02>
ブラームス:
・交響曲第1番 ハ短調 Op. 68 1951年9月17日
・大学祝典序曲 Op. 80 1952年11月, Amsterdam
・悲劇的序曲 Op. 81 1952年11月, Amsterdam
<DISK 03>
ベルリオーズ:
・幻想交響曲 Op. 14 1951年9月10日
・ファウストの劫罰 Op. 24 1951年9月, Amsterdam
・ローマの謝肉祭 序曲 Op. 9 1951年9月, Amsterdam
<DISK 04>
・ブルックナー:交響曲第7番
ホ長調 1953年5月, Amsterdam
<DISK 05>
・マーラー:交響曲第4番
マーガレット・リッチー (ソプラノ ) 1952年4,5月
・フランク:交響詩「プシシェ」1951年9月, Amsterdam
<DISK 06>
ハイドン:
・交響曲第94番 ト長調 "驚愕" 1951年9月24日
・交響曲第 96番 ニ長調
"奇跡" 1952年12月, Amsterdam
・交響曲第100番 ト長調
"軍隊" ロンドン・フィル 1946年11月29日, London
<DISK 07>
シベリウス:
・交響詩「エン・サガ」 Op. 9
・交響詩「タオピラ」 Op. 112
1952年12月, Amsterdam
<DISK 08>
ブリテン:
・春の交響曲 Op. 44
1949年7月9日
・歌劇「ピーター・グライムズ」より4つの海の間奏曲 Op. 33a 1953年9月14日
・青少年のための管弦楽入門 Op. 34
ヨー・ヴィンセント(ソプラノ),キャスリーン・フェリアー (アルト),ピーター・ピアーズ (テノール)ロッテルダム少年合唱団、オランダ放送合唱団 1953年9月16日, Amsterdam
<DISK 09>
シューベルト:
・「ロザムンデ」序曲 ハ長調 Op.26 D644
・交響曲第 4番 ハ短調 D417
"悲劇的" 1952年5月
・メンデルスゾーン:付随音楽「真夏の夜の夢」より序曲 他 1952年12月, Amsterdam
第2集
<DISK 01>
・ブルックナー:交響曲第5番
変ロ長調 1959年3月12日 live - Netherlands Radio
<DISK 02>
・ブルックナー:交響曲第8番
ハ短調 1955年6月6日、9日, Amsterdam
<DISK 03>
ブルックナー:交響曲第 9番
ニ短調 1956年9月17日、19日, Amsterdam
<DISK 04>
マーラー:
・交響曲「大地の歌」1956年12月3日、6日
・歌曲集「さすらう若人の歌」1956年12月8日、12日, Amsterdam
<DISK 05>
ブラームス:
・交響曲第 1番 ハ短調 Op. 68
1958年10月6日、7日
・交響曲第2番 ニ長調 Op. 73 1954年5月17日、19日 [stereo]
<DISK 06>
ブラームス:
・交響曲第3番 ヘ長調 Op. 90 1956年9月24, 25日
・交響曲第 4番 ホ短調 Op.98 1958年5月1日、3日 [stereo]
<DISK 07>
シューベルト:
・交響曲第 3番 ニ長調 D.200 1955年6月6日、9日
・交響曲第 6番 ハ長調 D.589 1957年5月22日、25日, Amsterdam
・交響曲第 8番 ロ短調 D.759
"未完成" 1957年5月22日、25日, Amsterdam
<DISK 08>
ドビュッシー:
・夜想曲
・交響詩「海」 - 3つの交響的スケッチ
・英雄的な子守歌
・スコットランド行進曲
1957年5月27, 28日, Amsterdam [stereo]
<DISK 09>
バッハ:
・管弦楽組曲第 1番 ハ長調
BWV.1066 1955年5月31日~6月2日
・管弦楽組曲第2番 ロ短調
BWV.1067 1955年5月31日~6月2日
・管弦楽組曲第3番 ニ長調
BWV.1068 1956年4月3日
<DISK 10>
バッハ:
・管弦楽組曲第4番 ニ長調
BWV.1069 1956年4月10日
・シンフォニア 変ロ長調 Op.1 8-2 1958年10月6, 7日 [stereo]
・シンフォニア ニ長調 Op. 18-4 1958年10月6, 7日 [stereo]
・ベートーヴェン:交響曲第 2番
ニ長調 Op. 36 1954年5月22日, Amsterdam
<DISK 11>
ヘンデル:組曲「水上の音楽」 (クリュザンダー版) 1958年7月1日、5日, Amsterdam
<DISK 12>
・メンデルスゾーン:交響曲第 4番
イ長調 Op. 90 "イタリア" 1955年6月2日、4日
・モーツァルト:交響曲第29番
イ長調 K.201 (186a) 1956年5月25日
シベリウス:
・交響詩「フィンランディア」 Op. 26
・悲しきワルツ Op. 44-1 1957年6月7日、8日, Amsterdam
<DISK 13>
ラヴェル:
・ボレロ 1958年6月30日[ stereo]
・ラ・ヴァルス 1958年9月25日[ stereo]
・ドビュッシー:管弦楽のための映像 1954年5月24, 25日, Amsterdam
👉 織工Ⅲ 拾遺集 ベイヌム Eduard Van Beinum (fc2.com)
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