土曜日, 10月 31, 2026

Georg Solti  The Hungarian Masters

 The Hungarian Masters



ショルティ ハンガリーものの実力

ショルティ/ロンドン・フィルによるバルトーク、コダーイ集。収録されている各曲は以下のとおり。ショルティには録音の良い新盤 Solti Conducts Bartok もあるが、40代の昇竜の勢いをもっていたこの時期、十八番のハンガリーものの迫力は聴きもの。

◆バルトーク:舞踏組曲(1952年録音)

1923年ブダペスト市制50周年記念のために作曲された祝祭的作品。ストラヴィンスキーを連想させるような鋭いリズムの打ち降しとどこか懐かしい素朴なフォークロアの見事な融合をショルティは生き生きと活写している。

◆バルトーク:弦楽器 打楽器とチェレスタのための音楽(1955年録音)

第1楽章の半音階的な主題は不気味な、底知れぬ不安をかきたて、第2楽章のピアノの特色のある打鍵と弦の跳ねるような追尾(バルトーク・ピッツィカート)はとても躍動的。第3楽章の拍子木による幕開けの後は第1楽章の不安が再来しサイコ・ストーリーのバックにぴったりの曲が展開され、終楽章は民族的なメロディと強いリズミックな音感が綾を成し壮大なクライマックスにいたる。ショルティの演奏は以上の過程を整然かつ濃厚に描いており秀でたもの。

◆コダーイ:組曲『ハーリ・ヤーノシュ』(1955年録音)

「プレリュード」の音楽的冗談<くしゃみ>の絶妙な表現、聴かせどころ第2曲「ウィーンの音楽時計」の無類の楽しさ、第4曲「戦争とナポレオンの敗北」にみる大胆なウイッティさ、第3曲「歌」、第5曲「間奏曲」でのやるせない民謡への郷愁、終曲「皇帝と廷臣たちの入場」の最高潮への誘導、ショルティの演奏は完璧という言葉を連想させるにたる周到な出来映え。

◆コダーイ:ガランタ舞曲(1952年録音)

1933年ブダペスト・フィル創立80周年記念のため作品された曲。ジプシーのメロディが多用され、哀愁もあるがエネルギーにも満ちた、かつ管弦楽の能力を最大限引き出すようなこの曲をショルティは自信をもって堂々と仕上げている。

◆コダーイ:ハンガリー民謡『孔雀』による変奏曲(1954年録音)

第2次世界大戦が勃発した1939年に、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団創立50周年記念のために作曲された曲。『孔雀』は正確には「孔雀は飛んだ」という民謡で、マジャール人のオスマン帝国支配下での自由への情熱を意味し、当時のファシズムに対しての抵抗がこめられていた。ショルティは晩年、世界平和への音楽での貢献を企図するが、そのいわば<表象>ともなった曲で、この頃から重要な「持ち駒」であった。切れ味のよい色彩感に富む演奏である。

◆コダーイ:ハンガリーの詩篇<英語歌唱>(1954年録音)

ウィリアム・マカルパイン(テノール)、ロンドン・フィルハーモニー合唱団

1923年ブダペスト市制50周年記念のために作曲された曲。16世紀の詩篇(ハンガリー語訳)がベースで、ハンガリー革命後の反動にあたって、革命派だったコダーイの思いをこの詩篇の歌詞によって表現しているといわれる。ショルティは、ここでも同国人の気概をもって集中力ある名演に仕上げている。

なお、ヤーノシュ・クルカ/北西ドイツ・フィルによるリスト集<ハンガリー狂詩曲第6番『ペシュトの謝肉祭』、レーナウの『ファウスト』による2つのエピソード(夜の行列/村の居酒屋での踊り)、交響詩『フン族の戦い』>(1982年録音)がCD1に所収されている。


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