国際色豊かな「現役」指揮者にスポット
ウィーン・フィルの175年記念の44CD(+1DVD)集。近時、鬼籍に入ったアバド、アーノンクールのほか、プレヴィン(André George Previn, 1929年~)、レヴァイン(James Lawrence Levine, 1943年~)、ガーディナー(Sir John Eliot Gardiner, 1943年~)、ミョンフン(Myung-Whun Chung, 1953年~)、ティーレマン(Christian Thielemann, 1959年~)など国際色豊かな「現役」指揮者に多くの配分を行っている点が第一の特色だろう。
第二に「天下の名器」ゆえに、カラヤン、ベーム、クライバー、バーンスタインの音源あり、古くは、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、ワルターの音源も散りばめられている。全体としては、著作権切れの古い音源は少なく、比較的新しい録音を収録している。
一方、個人的にはややプログラム構成の散漫さを感じる。ベートーヴェンやシューマンなどは全集で入れてこそと思うし、DGレーベル中では、たとえば Collectors Edition: Symphonies Nos. 1-9/5 Overture や シューマン:交響曲全集 など多くの選択肢がある。また、175年記念と銘打つならば、歴史の証人ウィーン・フィルゆえにマーラーや新ウィーン楽派(シェーンベルク、ヴェーベルン、ベルク)にもより照準があたってよいだろう。
なお、なにを演奏してもボトムラインを下回ることのない自律性、安定性こそがウィーン・フィルの特徴なれど、以下のラインナップを見ると、R.シュトラウスなど録音は新しくても、訴求力にはやや難のあるものも紛れ込んでいることも慎重に考慮すべきだろう。
<収録情報>
【ハイドン】
・交響曲第88番、第92番『オックスフォード』(バーンスタイン、1984年)
【モーツァルト】
・交響曲第38番『プラハ』(ワルター、1955年)
・交響曲第29番、第35番『ハフナー』、第38番『プラハ』、第39番、第40番、第41番『ジュピター』、フリーメイソンのための葬送音楽(ベーム、1976~80年)
・アイネ・クライネ・ナハトムジーク、セレナード第9番『ポストホルン』(レヴァイン、1982年)
・レクィエム(カラヤン、シントウ、モリナーリ、コール、ブルシュラーゼ、ウィーン楽友協会合唱団、1986年)
【ベートーヴェン】
交響曲:第5番『運命』、第6番『田園』(バーンスタイン、:1977年、78年)、第7番(カルロス・クライバー、1975年、76年)、第9番『合唱』(フルトヴェングラー、1953年)
【シューベルト】
・交響曲第9番『グレート』(クナッパーツブッシュ、1957年)
【シューマン】
・交響曲第2番、『マンフレッド』序曲(シノーポリ、1983年)
・交響曲第4番(カラヤン、1987年)
【ワーグナー】
・『タンホイザー』序曲、ジークフリート牧歌、『トリスタンとイゾルデ』から『前奏曲』と『愛の死』(カラヤン、ジェシー・ノーマン(ソプラノ)、1987年)
【ブラームス】:
・交響曲全集、アルト・ラプソディ、悲劇的序曲(レヴァイン、オッター、シェーンベルク合唱団、1992~95年)
・ドイツ・レクィエム(カラヤン、ヘンドリックス、ヨセ・ヴァン・ダム、ウィーン楽友協会合唱団、1983年)
・ハンガリー舞曲第5番、第6番(アーノンクール、2003年)
【ブルックナー】
・交響曲:第4番『ロマンティック』(フルトヴェングラー、1951年)、第7番(ジュリーニ、1986年)、第8番(ブーレーズ、1996年)、第9番(ジュリーニ、1988年)
・ミサ曲第1番、モテット集『アヴェ・マリア』、『マリアよ、あなたはことごとく美しく』、『この所を作り給うたのは神である』、『正しい者の口は』、『キリストはおのれを低くして』(ガーディナー、モンテヴェルディ合唱団、1996年、98年)
【マーラー】
・交響曲:第4番(ワルター、1955年)、第5番(ブーレーズ、1996年)
【リヒャルト・シュトラウス】
・アルプス交響曲、『ばらの騎士』(組曲)、交響詩『英雄の生涯』、交響的幻想曲『影のない女』(ティーレマン、2000年、2002年)、家庭交響曲(マゼール、1983年)
・『インテルメッツォ』 Op.72からの4つの交響的間奏曲、 『カプリッチョ』 Op.85から序奏、『月の光の音楽』、『サロメ』 から『7つのヴェールの踊り』(プレヴィン、1992年)
・オーボエ協奏曲、ホルン協奏曲第1番・第2番、二重小協奏曲(プレヴィン、ガブリエル(オーボエ)、ストランスキー(ホルン)、ヤネツィク(ホルン)、シュミードル(クラリネット)、ヴェルバ(ファゴット)、1996年)
【ドヴォルザーク】
・交響曲:第3番、第7番(ミョンフン、1995年)、第8番(カラヤン、1985年)
【チャイコフスキー】
・交響曲:第4番、第6番『悲愴』(アバド、1975年、1973年)
・バレエ組曲『白鳥の湖』、『眠りの森の美女』、『くるみ割り人形』(レヴァイン、1992年)
【スメタナ】
・『我が祖国』全曲、歌劇『売られた花嫁』より(序曲/ポルカ/フリアント/道化師の踊り)(レヴァイン、1986年)
【シャブリエ】
・田園組曲、ハバネラ、狂詩曲『スペイン』、ラルゲット、『グヴァンドリーム』序曲、田園前奏曲、楽しい行進曲、ポーランドの祭り(ガーディナー、1995年)
【エルガー】
序曲『南国にて』、序奏とアレグロ、ため息、エニグマ変奏曲 (ガーディナー、キュッヒル四重奏団、1998年)
【フランツ・シュミット】
・ハンガリー軽騎兵の歌による変奏曲(クナッパーツブッシュ、1957年)
【シェーンベルク】
・『グレの歌』(アバド、イェルザレム、スウィート、リポヴシェク、ヴェルカー、ラングリッジ、バルバラ・スコヴァ(語り)、ウィーン国立歌劇場合唱団、シェーンベルク合唱団、スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団、1992年)
【ヨハン・シュトラウス2世】
・ワルツ『美しく青きドナウ』、トリッチ・トラッチ・ポルカ、皇帝円舞曲、ポルカ『雷鳴と電光』、ワルツ『南国のばら』、ピチカート・ポルカ、アンネン・ポルカ、常動曲(ベーム、1971年、72年)
・行進曲『フランツ・ヨーゼフ1世万歳』、喜歌劇『ジプシー男爵』より『宝のワルツ』、ニコ・ポルカ、冗談ポルカ、ワルツ『うわごと』、ポルカ『ごちゃまぜ』 、ポルカ『2度のポルカ』、ヘレーネ・ポルカ、皇帝円舞曲、ポルカ『田園ポルカ』、ポルカ・マズルカ『女性讃美』、ワルツ『戴冠式の歌』、ポルカ『浮気心』、ポルカ『狂乱のポルカ』、ワルツ『美しく青きドナウ』
〔ヨハン・シュトラウス1世〕中国人のギャロップ、ラデツキー行進曲(アーノンクール、2003年)
【レハール】
・喜歌劇『メリー・ウィドウ』全曲(ガーディナー、ステューダー、ターフェル、ボニー、スコウフス他、モンテヴェルディ合唱団、1994年)
【その他】
・メンデルスゾーン:劇音楽『真夏の夜の夢』序曲、序曲『フィンガルの洞窟』
・ウェーバー:歌劇『オイリアンテ』序曲、歌劇『オベロン』序曲、※「舞踏への勧誘」
・ニコライ:歌劇『ウィンザーの陽気な女房たち』序曲
・マルシュナー:歌劇『ハンス・ハイリング』序曲
・ワーグナー:歌劇『リエンツィ』序曲(原典版)
(ティーレマン、2002年、※アーノンクール、2003年)
【DVD】『ニューイヤー・コンサート1989』(カルロス・クライバー)

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