木曜日, 6月 30, 2022

クール(冷涼)なクラシック音楽をもとめて 名盤5点










ClassiCOOL (tower.jp)


記録的な猛暑、この言葉も日常化してきて、熱中症リスクなど暑さとの折り合いをどうつけるかはいまや日々の死活問題。そこで、クラシック音楽から頭をクールダウンするアプローチとしてまずは上記を参照。ここではラヴェルの選曲が多い。なるほどそのサウンド・イメージからもラヴェルは悪くない。さて、並みいる名演奏のなかから何を選ぶか。夏は誰を・・・、そうブーレーズがいいのでは!

ラヴェル

ラヴェル Maurice Ravel (shokkou3.blogspot.com)

管と弦の<完全融合>の愉悦感 (amazon.co.jp)











ラヴェルとくれば、ドビュッシーやフォーレなどフランスものに連想がいくが、次に考えたのは空間イメージから。ホルストの「惑星」はどうだろうか。太陽から遠く離れるほど、惑星の温度は下がるはず・・・などと単純に考えながら、演奏はデイヴィスに1票。


ホルスト

ホルスト:惑星 名盤5点  The Planets (shokkou3.blogspot.com)

C.デイヴィス、ツボを押さえたオーソドックスな解釈 (amazon.co.jp)










楽器からはどうだろう。涼やかな響きといえばフルートの音色、それも金色(ランパル)の輝きよりも、ここは銀色(ニコレ)の質感がいいように思う。ニコレは無伴奏ものもいいが、ここではクープランを。

クープラン

王宮のコンセール 名盤5点  F.Couperin: Les Concerts Royaux (shokkou3.blogspot.com)

ヴィヴァルディ:フルート協奏曲 ニ長調「ごしきひわ」-第2楽章も上記アルバムではあげられているので以下も参考まで

ヴィヴァルディ:フルート協奏曲  名盤5点 (shokkou3.blogspot.com)










楽器ではチェンバロもいい。ハープも考えたが、メタリックな感じからはチェンバロの”固さ”がクールさとあいまって得がたい魅力。ここからのバッハ、そしてリヒターというのは直線的な連想。

バッハ

カール・リヒター Karl Richter (shokkou3.blogspot.com)

リヒター 敬虔、厳格な音楽づくり (amazon.co.jp)











最後は、やはりシベリウス。そしてセルの日本ライヴが小生の夏の定番メイン・メニューである。

シベリウス

 夏はシベリウス (shokkou3.blogspot.com)

忘れえぬ思い出 (amazon.co.jp)










猛暑 クラシック音楽でマッチョに乗りきる! (shokkou3.blogspot.com)

夏の名曲 5点 (shokkou3.blogspot.com)


👉 織工Ⅲ: 名盤5点 シリーズ (shokkou3.blogspot.com)
 

土曜日, 6月 25, 2022

ディアギレフとバレエ・リュス  Diaghilev's Ballet Russes










(以下、ジャケットはすべて別です)


選曲、演奏ともに秀逸 (amazon.co.jp)


全体を4つに分類してその特色を見てみよう。

1グループとして、バレエ・リュスが初演した著名な作品、その筆頭格はストラヴィンスキー「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」の3大作品から「ミューズを率いるアポロ」まで。ほかにドビュッシー「遊戯」、ラヴェル「ダフニスとクロエ」、サティ「パレード」、プーランク「牝鹿」、ファリャ「三角帽子」など名曲が並ぶ。現在にいたるまで、いかにその影響が大きいかがわかろう。


 <第1グループ>

【ストラヴィンスキー】

・「火の鳥」小澤征爾/ボストン響(1983

👉 小澤征爾 2種類の『火の鳥』 (amazon.co.jp)

・「ペトルーシュカ」(1947年版)ラトル/バーミンガム市響(1986

・「春の祭典」マルケヴィチ/フィルハーモニア管(1959

👉 マルケヴィッチ、鬼気迫る「春の祭典」ライヴ盤 (amazon.co.jp)(別音源)

・歌劇「うぐいす」ナタリー・デセイ(S:夜鳴きうぐいす)ほか ジェイムズ・コンロン/パリ・オペラ座管弦楽団&合唱団(1999

・「花火」インバル/フィルハーモニア管(1990

・「ナイチンゲールの歌」ブーレーズ/フランス国立管(1981

・「プルチネルラ」ロバート・ロイド(BS)マリナー/アカデミー室内管(1981

・ブルレスク「きつね」エリック・タピー(T) デュトワ/楽器アンサンブル(1972

・「結婚」(フランス語歌唱) バシア・レチツカ(S) デュトワ/楽器アンサンブル(1972

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・「ミューズを率いるアポロ」ラトル/ベルリン・フィル(2011

 

【ドビュッシー】

・「牧神の午後への前奏曲」ラトル/ベルリン・フィル(2004

・「遊戯」クリュイタンス/パリ音楽院管(1963

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【ラヴェル】

・「ダフニスとクロエ」(全曲)クリュイタンス/パリ音楽院管(1962

👉 クリュイタンス、冷静にして規範的な名演 (amazon.co.jp)

 

【サティ】

・バレエ音楽「パラード」プラッソン/トゥールーズ・カピトール国立管(1988

・サティ(ミヨー編):「びっくり箱」ランチベリー/コヴェント・ガーデン王立歌劇場管(1978

・バレエ音楽「メルキュール」ピエール・デルヴォー/パリ管弦楽団(1971

 

【プーランク】

・「牝鹿」プレートル/フィルハーモニア管(1980

 

【ファリャ】

・「三角帽子」アンヘレス(S) デ・ブルゴス/フィルハーモニア管(1963











2グループは、主力演目としてのロシアものである。R=コルサコフ、チャイコフスキー、プロコフィエフの有名どころのほか、バラキレフ、チェレプニン、リャードフなど。

 

<第2グループ>

R=コルサコフほか】

・ボロディン(R=コルサコフ&グラズノフ編):「だったん人の踊り」

・「シェエラザード」 小澤征爾/シカゴ響(1969

👉 小澤征爾の「シェエラザード」、しなやかで、みずみずしい感性 (amazon.co.jp)

・ムソルグスキー(R=コルサコフ編):「禿山の一夜」マリス・ヤンソンス/オスロ・フィル(1988

 

【チャイコフスキー】

・「白鳥の湖」(全曲版)プレヴィン/ロンドン響(1976

・「眠れる森の美女」(全曲版) プレヴィン/ロンドン響(1974

 

【プロコフィエフ】

・「道化師」アバド/ロンドン響(1966

・「鋼鉄の歩み」組曲 マルケヴィチ/フィルハーモニア管(1954

・「放蕩息子」 マリン・オールソップ/サンパウロ響(2012

 

【バラキレフ】

・交響詩「タマーラ」マタチッチ/フィルハーモニア管(1954

 

【チェレプニン】

・「アルミードの館」ヘンリー・シェク/モスクワ響(1994

・「ナルシスとエコー」ロジェストヴェンスキー/ハーグ・レジデンティ管(1998

 

【リャードフ】

・交響詩「キキーモラ」、「バーバ・ヤガー」キタエンコ/ベルゲン・フィル(1991) 











3グループは、古典からの翻案、ドイツものなどへのスポット照射であり、ヘンデル、ロッシーニ、ウェーバー、シューマン、R.シュトラウスなど。さらにそれ以外の第4グループは、同時代音楽へのあくなき関心表明とバレエ・リュスが果たしたゲートウエイ(登竜門)機能にも思いがいたる。


<第3グループ>

【ヘンデル(ビーチャム編)

・バレエ組曲「物乞う神々」ビーチャム/ロイヤル・フィル(1958

 

【ロッシーニ/レスピーギ】

・「風変わりな店」組曲 ガリエラ/フィルハーモニア管(1959

 

【ウェーバー(ベルリオーズ編)

・「舞踏への勧誘」クリュイタンス/パリ音楽院管(1965

 

【シューマン】

・「謝肉祭」Op.9(アレンスキー、グラズノフ、クレノフスキー、ペトロフ、R=コルサコフ、カラファーティ、チェレプニン、リャードフ、ヴィンクラー、ヴィートリス、ソコロフ、による管弦楽編曲版) ロバート・アーヴィング/フィルハーモニア管(1959

 

R.シュトラウス】

・「ヨゼフ伝説」ケンペ/ドレスデン・シュターツカペレ(1974

・「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」マゼール/フィルハーモニア管(1962

 

―――――――――・―――――――――

<第4グループ>

【アダン】

・「ジゼル」(ビュッセル編)ロバート・アーヴィング/フィルハーモニア管(1961

 

【デュカス】

・舞踏詩「ラ・ペリ」マルティノン/フランス国立放送管(1971

 

【フローラン・シュミット】

・「サロメの悲劇」組曲 マルティノン/フランス国立放送管(1972

 

【フォーレ】

・「パヴァーヌ」アルミン・ジョルダン/ローザンヌ室内管(1981

 

【トマジーニ】

・「上機嫌な婦人たち」組曲(原曲:D.スカルラッティ)マルケヴィチ/フィルハーモニア管(1957) 

【オーリック】

・「はた迷惑な人たち」マルケヴィチ/モンテカルロ国立歌劇場管(1972) 

【ミヨー】

・「青列車」マルケヴィチ/モンテカルロ国立歌劇場管(1972) 

【アンリ・ソーゲ】

・「牝猫」マルケヴィチ/モンテカルロ国立歌劇場管(1972

👉 マルケヴィッチ 総特集 Igor Markevitch (shokkou3.blogspot.com)












演奏陣は充実している。ディアギレフと親しかったマルケヴィチ

👉 マルケヴィッチ その軌跡 (shokkou3.blogspot.com)A

の演奏は、いわば「直伝」の重みがあるだろうし、クリュイタンスやマルティノンなどフランスの誇る往年の名指揮者に加えて、小澤征爾、ラトルなど、録音時点はばらけるが内容は秀逸である。

22枚中最後の1枚はいわばボーナス・トラック的だが、シャリアピンの「ボリス・ゴドゥノフ」(抜粋)とディアギレフの盟友モントゥー

👉 モントゥー Pierre Monteux (shokkou3.blogspot.com)

の「春の祭典」(グランド響[パリ交響楽団]1929)を所収。心憎い企画である。 

セルゲイ・ディアギレフ~バレエ・リュス (tower.jp)

















👉 織工Ⅲ: 蠱惑のバレエ (shokkou3.blogspot.com)


日曜日, 6月 19, 2022

ショスタコーヴィチ   Shostakovich 










ショスタコーヴィチの多彩な風貌 (amazon.co.jp)


選曲、演奏陣とも充実したセット。交響曲では、ミトロプーロス  Dimitri Mitropoulos (1896-1960) Conductor  がショスタコーヴィチ  交響曲第5番&第10番  などをニューヨーク・フィルで積極的に取り上げたのが下敷きとなって、バーンスタイン  交響曲第5番  の名盤が生まれたのではと思った。一方、ベルリン・フィルでは、カラヤンが録音で取り上げたのは10番  Shostakovich: Symphony No.10 In Eminor, Op. 93  のみで、チェリビダッケの古い音源(7,9番)には希少価値がある。

本セットの魅力は、ショパンコンクールにも出場した「名ピアニスト」としてのショスタコーヴィチを知ることができることで、ピアノ協奏曲第1番、第2番(バックは、クリュイタンス/フランス国立放送管弦楽団で文句なし)、ピアノ三重奏曲第2番、2台のピアノのためのコンチェルティーノなどが所収されている。

また、オイストラフのヴァイオリン協奏曲第1番、ギレリスの24の前奏曲とフーガなど旧ソ連の名演奏家の秀演やハイフェッツの前奏曲なども聴きもの。
弦楽四重奏曲や交響曲第10番を除き、全般の録音は古く音質の悪さは否めないが、この価格である。ショスタコーヴィチの多彩な風貌を知る上では有益なセット。

(収録情報、カッコ内録音時点)

【交響曲】
・交響曲第5番(1952年):ミトロプーロス/ニューヨーク・フィル
・交響曲第7番『レニングラード』(1946年):チェリビダッケ/ベルリン・フィル
・交響曲第9番(1947年):チェリビダッケ/ベルリン・フィル
・交響曲第10番(1995年):フランク・シップウェイ/ロイヤル・フィル

【管弦楽曲】
・組曲『馬あぶ』抜粋(1995年):ジョナサン・カーネイ(ヴァイオリン)
 フランク・シップウェイ/ロイヤル・フィル
・祝典序曲(1994年):マッケラス/ロイヤル・フィル

【協奏曲】
・ピアノ協奏曲第1番、第2番(1958年):ドミトリー・ショスタコーヴィチ(ピアノ)
 クリュイタンス/フランス国立放送管弦楽団
・ヴァイオリン協奏曲第1番(1956年):オイストラフ(ヴァイオリン)、ミトロプーロス/ニューヨーク・フィル

 
【室内楽曲】
・ピアノ五重奏曲ト短調 op.57(1952年):ヴィクター・アラー(ピアノ)、ハリウッド弦楽四重奏団
・ピアノ三重奏曲第2番(1945年):ドミトリー・ショスタコーヴィチ(ピアノ)
 ディミトリ・ツィガノフ(ヴァイオリン)、セルゲイ・シリンスキー(チェロ)
・弦楽四重奏曲第2番、第8番(1995年):ザポルスキー四重奏団
・弦楽四重奏曲第3番(1998年):カイリン四重奏団

【ヴァイオリン曲】
・前奏曲嬰ハ短調 op.34-10、前奏曲変ニ長調 op.34-15(ツィガノフ編、マガニーニ編)(1945年):ハイフェッツ(ヴァイオリン)、エマニュエル・ベイ(ピアノ)

 
【ピアノ曲】
・2台のピアノのためのコンチェルティーノ(1956年):マキシム&ドミトリー・ショスタコーヴィチ(ピアノ)
・24の前奏曲とフーガより第1番、第5番、第24番(1954/1955年):ギレリス(ピアノ)
・同第1番、第4番、第5番、第8番、第22番、第23番、第24番、3つの幻想的舞曲、子供のノート(1946/1958年):ドミトリー・ショスタコーヴィチ(ピアノ)


お家芸を誇る一流の指揮者の競演 (amazon.co.jp)


全15曲のうち、初演指揮者がその後、録音した音源が、4、6、8、13、14、15番の6曲ある。一方で、5、6、8、9、10、12番の6曲を初演したムラヴィンスキーの収録分は2曲にとどまり、コンドラシンが、2、3、4、12、13番の5曲(全体の1/3)を振っている。

様々な制約があるのかも知れないが、ユニークさを出すのであれば、極力、初演指揮者による編集という手もあったのではないかとも思う。とはいえ、お家芸を誇る一流の指揮者の競演であり演奏に定評があることに変わりはない。

一方で、ショスタコーヴィチでは録音の鮮度にこだわりのある向きもあろう。その点では、本集はいまや録音時点がやや古く、色褪せてみえるかも知れない。同一指揮者による全集で、録音も新しく廉価盤としては、
 Shostakovich Complete Symphonies  などの選択肢もあろう。

<収録情報:(→では初演について記載)。*は初演指揮者>
第1番:ロジェストヴェンスキー/ソ連国立文化省響(1984年)
(→1926年、ニコライ・マルコ/レニングラード・フィル)

第2番:コンドラシン/モスクワ・フィル、ソ連国立アカデミー合唱団(1972年)
(→1927年、マルコ/レニングラード・フィル、レニングラード国立アカデミー・ア・カペラ合唱団)

第3番:コンドラシン/モスクワ・フィル、ソ連国立アカデミー合唱団(1972年)
(→1930年、アレクサンドル・ガウク/レニングラード・フィル)

第4番:*コンドラシン/モスクワ・フィル(1966年)
(→1961年、コンドラシン/モスクワ・フィル)

第5番:スヴェトラーノフ/ソ連国立響(1977年)
(→1937年、ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル)

第6番:*ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(1972年)
(→1939年、ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル)

第7番:スヴェトラーノフ/ソ連国立響(1968年)
(→1942年、サムイル・サモスード/ボリショイ劇場管弦楽団)

第8番:*ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル(1961年)
(→1943年、ムラヴィンスキー/ソヴィエト響)

第9番:ロジェストヴェンスキー/ソ連国立文化省響(1983年)
(→1945年、ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル)

第10番:テミルカーノフ/レニングラード・フィル(1973年)
(→1953年、ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル)

第11番 : コンスタンティン・イワノフ/ソ連国立響(1965年)
(→1957年、ナタン・ラフリン/ソヴィエト国立響)

第12番 : コンドラシン/モスクワ・フィル(1972年)
(→1961年、ムラヴィンスキー/レニングラード・フィル)

第13番:*コンドラシン/モスクワ・フィル、ソ連国立アカデミー合唱団、ゥール・エイゼン(バス)(1967年)
(→1962年、コンドラシン/モスクワ・フィル、ロシア共和国合唱団&グネーシン音楽大学合唱団、バス独唱ヴィタリー・グロマツキー)

第14番:*ルドルフ・バルシャイ/モスクワ室内管、(ソプラノ)ガリーナ・ヴィシネフスカヤ、(バス)マルク・レシェーチン(1969年)
(→1969年、バルシャイ/モスクワ室内管、(ソプラノ)マルガリータ・ミロシニコワ、(バス)エフゲニー・ウラジミロフ)

第15番:*マキシム・ショスタコーヴィチ/モスクワ放送響(1972年)
(→同上)


オーマンディ ショスタコーヴィッチ演奏の先駆 (amazon.co.jp)


オーマンディは米国にあって、実はショスタコーヴィッチ演奏の先駆者である。残念ながら、その音源はあまり有名ではないが、本集(交響曲第1番、第4番、第5番、第10番、チェロ協奏曲第1番、組曲「黄金時代」作品22a‾第3曲:ポルカ)に加えて、第13番~第15番ほか以下の分売が出ている。

◆交響曲第1番&チェロ協奏曲第1番 
➡ 
 Shostakovich: Symphony No.1, Cello Concerto No. 1 (このジャケット写真の両雄の表情は実によい)
◆交響曲第4番、第10番
➡ 
 Symphonies 4 & 10  
◆交響曲第13番 「バービイ・ヤール」
➡ 
 ショスタコーヴィチ:交響曲第13番「バービイ・ヤール」
◆交響曲第14番 「死者の歌」 
➡ 
 ショスタコーヴィチ:交響曲第14番「死者の歌」 / ブリテン:「ピーター・グライムズ」〜4つの海の間奏曲、パッサカリア
◆交響曲第15番 
➡ 
 Symphony 15 in a Major / Piano Sonata 2

以下は代表的な第5番について。本曲はバーンスタイン盤とかぶるので、レコード会社の方針もあってか、バーンスタインの5番+オーマンディのチェロ協奏曲第1番(ヨー・ヨー・マ)のカップリングが主力で、オーマンディの5番の存在の影はうすい。しかし、これはこれで素晴らしいものである。フィラデルフィア・サウンドを強調するあまり、各楽器を際立たせた録音になっており、その分全体の構成力が見えにくいが、よく耳を研ぎ澄ませば、全体のバランスもよく、熱情型とは異なるテンポの安定した冷静で分析的な演奏であることがわかる。曖昧さのない明解で、かつクリアなサウンドは、作曲家自身が高く評価したとおりショスタコーヴィッチの優れたオーケストレーションをよく描ききっていると思う。

➡ 
 Eugene Ormandy Conducts 20th Century Classics  も参照


ヤンソンスの美学ー響きの深みと美しさ (amazon.co.jp)


 古い音楽ファンなので1970年、レニングラード・フィルの初来日で父アルヴィド・ヤンソンスのショスタコーヴィチの5番の熱演も聴いた。その子マリス・ヤンソンスも当年古希(ゲルギエフのちょうど10才上)。父の時代は、ムラヴィンスキー全盛期で一糸乱れぬといった厳しい軍律の支配するような演奏が中心だったが、マリス・ヤンソンスの演奏は全体構成もオーケストラの操舵も柔軟であり、響きの深みと美しさをより強調している。練られた演奏であり周到に準備された録音である。

  全10CDの構成(プログラム・ビルディング)も巧み。CD1で交響曲1番&15番をパッケージし、いわば「始め」と「終わり」を結合して、全体を通観するような仕掛けとなっている(ゲルギエフ盤なども同様。相性の良い組み合わせである)。

  オーケストラの<競演>といった視点からは、手兵だったバイエルン放送響、オスロ・フィル以外では、1番(ベルリン・フィル)、5番(ウィーン・フィル)、7番(サンクト・ペテルブルグ・フィル)、8番(ピッツバーグ響)、10、11番(フィラデルフィア管)、15番(ロンドン・フィル)と多彩、かつ人気・主力の番数での有力オケの起用はヤンソンスの実力を余すところなく示している。

<収録情報>
◆交響曲
・第1番へ短調 Op.10  ベルリン・フィル(1994年6月)
・第2番ロ短調 Op.14『10月革命に捧ぐ』※ (2004年6月)
・第3番変ホ長調 Op.20『メーデー』 ※ (2005年1月)
・第4番ハ短調 Op.43 ※ (2004年2月)
・第5番二短調 Op.47 ウィーン・フィル(1997年1月)
・第6番ロ短調 Op.54 オスロ・フィル(1991年1月)
・第7番ハ長調 Op.60『レニングラード』サンクト・ペテルブルグ・フィル(1988年4月)
・第8番ハ短調 Op.65 ピッツバーグ交響楽団(2001年2月)―リハーサル付
・第9番変ホ長調 Op.70 オスロ・フィル(1991年1月)
・第10番ホ短調 Op.93 フィラデルフィア管弦楽団(1994年3月)
・第11番ト短調 Op.103『1905年』 フィラデルフィア管弦楽団(1996年12月)
・第12番ニ短調 Op.112『1917年』 ※(2004年6月)
・第13番変ロ短調 Op.113  セルゲイ・アレクサーシキン(バス) ※(2005年1月)
・交響曲第14番ト短調 Op.135『死者の歌』 ラリッサ・ゴゴレウスカヤ(ソプラノ)、セルゲイ・アレクサーシキン(バス) ※ (2005年10〜11月)
・交響曲第15番イ長調 Op.141 ロンドン・フィル(1997年4月)

◆その他
・映画音楽『馬あぶ』からの組曲 Op.97a(ロマンス、定期市) ロンドン・フィル(1997年4月)
・ジャズ組曲第1番、第2番〜ワルツ第2番、タヒチ・トロット Op.16 フィラデルフィア管弦楽団(1996年12月)
 
※はバイエルン放送響(&バイエルン放送合唱団)


ショスタコーヴィチ (shokkou3.blogspot.com)

ショスタコーヴィチ 交響曲〔全〕集 名盤5点 

 革命 ~バーンスタイン 名盤5点  Shostakovich: Symphony No.5

ショスタコーヴィチ 交響曲 第5番  ちょっと変わった<私的5選> 

 

火曜日, 6月 14, 2022

ウィーンの巨星 クレメンス・クラウス








古き良きウィーンの時代、巨匠にしてその薫り高き立役者の一人が、クレメンス・クラウスであった。”ウィーン子”としては珍しく、ワーグナー指揮者としても著名で、クナッパーツブッシュとともに『指輪』、『パルジファル』のバイロイト全曲録音(1953年)にくわえて、『オランダ人』(1944年)、『マイスタージンガー』(抜粋、1933年)などもバイエルン、ウィーンの両歌劇場オケと残している。

両シュトラウスも独壇場。R.シュトラウスはオペラの初演はもとより、主要演目のほとんどを手がけており、作曲家本人の信任がすこぶる篤かった。最小タクト・コントロールでもご両人は共通していたようだ。ドン・ファン、大胆なドライブ感 (amazon.co.jp)

ヨハン・シュトラウス一家の演奏でもはやくから膨大なる記録があるが、若きボスコフスキーなどウィーン・フィルの名手にして後継者を自らの手で”巣立ち”させたほか、定例のニューイヤーコンサートの輝かしい初代指揮者でもあった。

その一方、ウィーン・フィルのメインロードたるモーツァルト、ベートーヴェン、ブラームスなどの交響曲では、好敵手エーリッヒ・クライバーにくらべて体系的な録音は行っていないが、ワーグナー、R.シュトラウス以外の歌劇や宗教曲でも数多くの成果が知られており、そのレパートリーの広さからも当代一流の大家であったことがわかる。

過酷なスケジュールが災いしてかメキシコでの客死が惜しまれるが、フルトヴェングラーと同様、この時代の巨匠指揮者の宿命であったかも知れない。この二人はあと5年、存命していたら、ステレオ録音でその鮮烈なる成果を後世に問えたのにと残念である。

ちなみに100枚近くの以下の集大成があるが、同一演目の複数録音があまりに多く、あくまでもディープなファン向けであろう。

クレメンス・クラウス/クレメンス・クラウス・コレクション ~1929-1954 Recordings (tower.jp)


【以下は引用】

クレメンス・クラウス

プロフィール

1893年3月31日ウィーン生まれの指揮者。1954年5月16日メキシコにて没。ウィーン少年合唱団を経てウィーン音楽院に進み、1922年からウィーン国立歌劇場の指揮者となる。1926年、ザルツブルク音楽祭に登場、R.シュトラウス作品の指揮者として名声を確立。1929年ウィーン国立歌劇場、1935年ベルリン国立歌劇場、1937年バイエルン国立歌劇場の総監督を歴任、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽院の院長も務めた。 



👉  忘れられない名指揮者


日曜日, 6月 05, 2022

夏の名曲 5点


 








サマータイム

サマータイム Gershwin: Songs from the Shows (shokkou3.blogspot.com)


真夏の夜の夢

真夏の夜の夢 A Midsummer Night's Dream (shokkou3.blogspot.com)


夏の交響曲

マーラー 交響曲第3番 (shokkou3.blogspot.com)


浄夜

浄夜 Schoenberg: Verklaerte Nacht (shokkou3.blogspot.com)


シベリウス

 夏はシベリウス (shokkou3.blogspot.com)


クール(冷涼)なクラシック音楽をもとめて 名盤5点 (shokkou3.blogspot.com)

猛暑 クラシック音楽でマッチョに乗りきる! (shokkou3.blogspot.com)


≪番外≫

ディーリアス:夏の夜に水の上で歌われる2つの歌 ほか

ジョン・バルビローリ/Delius: On Hearing the First Cuckoo in Spring, The Way to the Paradise Garden, etc / Charles Groves(cond), RPO, etc (tower.jp)

ディーリアス: 3つの小音詩より -第1曲 「夏の夕べ」

トーマス・ビーチャム/ロリポップス:[管弦楽名曲集] (tower.jp)

バッケル・グロンダール:幻想的小品集 Op.45~夏の歌

ビャルテ・エンゲセト/ノルウェーのクラシック名曲集 - グリーグ (tower.jp)

ルロイ・アンダーソン:夏の空

フレデリック・フェネル/ルロイ・アンダーソン名曲集 (tower.jp)

マーティン・エレビー:《夏の夜》ホルンとコンサート・バンドのための6つの小品

王立ノーザン音楽大学ウィンド・オーケストラ/Year of the Dragon/ Royal Nothern College of Music (tower.jp)


👉 織工Ⅲ: 名盤5点 シリーズ (shokkou3.blogspot.com)

土曜日, 6月 04, 2022

オペラ指揮者の巨匠











オペラ指揮者、ここでも大御所の名前があがります。プリマドンナやタイトルロールの男声歌手の影にかくれ引き立て役のピット内指揮者といったイメージを一新し、曲全体を最適に表現するために屹立する大指揮者、といった地位を築いたのはトスカニーニであったといわれます。

トスカニーニの名盤


フルトヴェングラーもその晩年、数々のオペラを取り上げ、ライヴをふくめ録音しています。その功績と後進への影響力はさぞや大きかったことでしょう。

マイスタージンガー(1943)~フルトヴェングラー

ニーベルングの指輪(1950)~フルトヴェングラー

オテロ(1951)~フルトヴェングラー

オルフェオとエウリディーチェ(1951)~フルトヴェングラー

 魔笛(1951)~フルトヴェングラー

トリスタンとイゾルデ(1952)~フルトヴェングラー

フィデリオ(1953)~フルトヴェングラー

フィガロの結婚(1953)~フルトヴェングラー

ドン・ジョヴァンニ(1954)~フルトヴェングラー

魔弾の射手(1954)~フルトヴェングラー


その2人の巨星が墜ちてから名実ともに帝王の実力を示したのはカラヤンでした。しかも、そのレパートリーの広さは驚異的で、実に多くの録音を残しました。とくにイタリア、フランスものでここまで集中して成果をあげたオーストリー人はいません。天才的な閃きとともに相当な研鑽もあったはずです。

オペラ指揮者としてのカラヤン

ヴェルディ ~カラヤン

プッチーニ ~カラヤン

イタリア&フランス オペラ ~カラヤン


フルトヴェングラー亡き後、ワーグナー指揮者として並ぶものなき尊敬をあつめたのはクナッパーツブッシュでした。『指輪』の全曲演奏に加えて、とくに難解といわれるパルジファルは独壇場でした。

ワーグナー ~クナッパーツブッシュ


ベームも実力派として大活躍しました。モーツァルトはいまも屈指の名演として聴かれていますが、やはりR.シュトラウスこそその本領発揮でしょう。

R.シュトラウスのオペラ ~ベーム


ベームとともに、『指輪』の全曲録音で金字塔をたてたのがショルティです。ショルティのレパートリーの広さはカラヤンに比肩するものです。

ショルティ オペラ指揮者の実力 


ドイツ系では、ほかにカールベルトとザヴァリッシュが注目されますし、イタリア系ではショルティの跡目をついだのはムーティでしょうか。

ムーティ ヴェルディ Muti Verdi

 


セル 潔癖なる音楽








潔癖なる音楽空間、でもその演奏に浸っていると不思議と人間的な温もりに癒やされる、そんな音楽を聴きたければセルがいい。

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