日曜日, 3月 19, 2017

スコット・ロス  Scott Ross

バッハ:チェンバロ名演集
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【収録情報】J.S.バッハ:
イタリア協奏曲ヘ長調 BWV.971
● 半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV.903
● パルティータ(フランス風序曲) ロ短調 BWV.831
4つのデュエット BWV.802-805

 スコット・ロス(チェンバロ)

 録音時期:1988年6-12月
 録音方式:ステレオ(デジタル)

1951年アメリカ生まれ、フランスとカナダを中心に活躍し、38歳の若さで他界したチェンバロ奏者、スコット・ロスのバッハ作品集。死の前年である88年の録音で、完璧なアプローチとカリスマ的奏法が発揮された、まさに集大成と呼ぶにふさわしい一枚。(CDジャーナル データベースより)

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チェンバロの豊饒な響きが全身を包み込んでくるような錯覚がある。線状的な音ではなく、奥行きがあり残響の長い、そして抱擁的な響きである。あたかもパイプオルガンをホールで聴いているような、と言ってよいかも知れない。

聴きなれた筈のイタリア組曲が、この豊かな音響のなかで新たな息吹を与えられる。リヒターなどに親しんでいると意表をつかれるようなスコット・ロスの演奏は、宗教的な厳粛さから解放された世俗的で自由な発想が沸々と湧いてくるような自在さに特色があると言えようか。4つのデュエット(BWV.802)では滑らかにして音の揃った技量の高さにも驚く。


スカルラッティ:ソナタ選集
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スカルラッティ:ソナタ選集

バッハと同年生まれのドメニコ・スカルラッティは550曲以上のソナタを作曲しました。その初の全集録音を完成したのが、アメリカ出身のチェンバリスト=スコット・ロスです。天才のみに許される奔放で自由な音楽性の持ち主であったロスは、1989年にわずか38歳で急逝してしまいます。最大の遺産であるソナタ全集から選りすぐった全19曲のコレクション。(ワーナーミュージック)

チェンバロ界のグレン・グールドと称えられながらも若くして亡くなった天才チェンバリスト、スコット・ロスの代表作『スカルラッティ:555のソナタ集』。ウィリアム・ダウド、アンソニー・シディ、ウィラ-ド・マーティンによる複数のチェンバロを使い分け、1作ごとに徹底して考え抜いてアプローチをおこなった内容は驚くばかり。その中から13曲を選曲、アナログLP盤で発売いたします。(輸入元情報)

【収録情報】
ドメニコ・スカルラッティ:
● ソナタ ニ短調 K.1
ソナタ ニ短調 K.9
● ソナタ ト長調 K.14
ソナタ ロ短調 K.27
ソナタ ニ短調 K.141
ソナタ イ長調 K.208
● ソナタ ニ短調 K.213
● ソナタ ヘ長調 K.296
ソナタ ホ長調 K.380
● ソナタ ニ長調 K.490
● ソナタ ニ長調 K.491
● ソナタ ニ長調 K.492
● ソナタ ヘ短調 K.555

 スコット・ロス(チェンバロ)

 録音時期:1984年6月~1985年9月
 録音場所:パリ近郊のダッサス城礼拝堂&フランス放送スタジオ
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)


Haendel: Harpsichord Suites 1-8
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1986年の録音

Fandango / Sonatas
https://www.amazon.co.jp/dp/B000005E6X/ref=wl_it_dp_o_pC_nS_ttl?_encoding=UTF8&colid=2AP6H65EZ6KPB&coliid=IWT5AVOB74Y1Y

  1. Fandango en re mineur
  2. Sonate No.12 en sol Majeur
  3. Sonate No.15 en re mineur
  4. Sonate No.49 en re mineur
  5. Sonate No.54 en do Majeur
  6. Sonate No.56 en fa Majeur
  7. Sonate No.69 en fa Majeur
  8. Sonate No.76 en fa Majeur
  9. Sonate No.84 en re Majeur
  10. Sonate No.90 en fa diese Majeur
 
1989年の録音
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アントニオ・ソレール神父 (Padre Antonio Soler17291783) はスペインの聖職者にして作曲家。 その代表曲が、チェンバロのための「ファンダンゴ(Fandango)」。聴いて驚くが、聖職者が書いたとは想像もつかない自由な雰囲気に満ちており、あえていえばエロティックな響きがある。それもその筈で、ファンダンゴはスペイン起源のダンス音楽にして、特にフラメンコで男女ペアで踊るダンスが有名という。

いま聴いても、古さを感じさせず、生き生きと躍動するリズムとしっとりとしたメロディが胸を熱くする。どちらといえばメロディを奏でるには不自由があり抑制的な楽器と思われがちのチェンバロから、フォークロア的な情熱的な音をあますところなく引き出すスコット・ロスの演奏に魅了された。ソナタ ニ長調 R.84も明るい色調の楽しい曲である。

【プロフィール】

チェンバロ奏者。1951年米国ピッツバーグ生まれ。89年没。5歳でピアノ・リサイタルを開いた。11歳の時渡仏し、チェンバロをニース音楽院でグレミー=ショーリアックに、70年からパリ音楽院でヴェイロン=ラクロワに師事する。71年ブルージュ国際チェンバロ・コンクールに優勝。ソロ活動のかたわらケベックのラヴァル大学の教授に若くして就任し、ラモー、F・クープラン、ヘンデル、スカルラッティの全曲録音を達成した不世出の音楽家だ。

(参考となるデータ)
http://www.geocities.jp/scottross_fan/

(ディスク)
https://www.amazon.co.jp/50CD-%E3%83%AC%E3%82%AC%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88-ERATO-BOX-%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%84/dp/B00EDXH116/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1489933650&sr=1-1&keywords=ERATO

土曜日, 3月 04, 2017

マタチッチ Lovro von Matačić


ロヴロ・フォン・マタチッチ・コレクション~1954-1962年録音集(9CD)

ロブロ フォン マタチッチ(18991985年)は、クロアチア(旧オーストリア帝国)のスーシャック生まれの指揮者。彼の父親はオペラ歌手としてのキャリアをもち音楽的な家庭に育った。ウィーンで学んだのち、1916 年にケルン市立歌劇場の副指揮者としてデビューした。第一次世界大戦中も主としてウィーンで作曲、評論活動などで過ごすが、1933年ザグレブ歌劇場の第1指揮者として故国に戻り、1938年ベオグラード歌劇場の音楽監督およびベオグラード・フィルの指揮者に就任した。この間、ウィーン交響楽団や1936 年にはベルリン・フィルとも共演した。第二次世界大戦中は、よく知られるとおりナチズムに協力し、それが原因で投獄されるも著名な音楽家であったことで九死に一生の特赦をえる。

戦後は以上の経緯から国内に活動が限定され、ながく干されるが、シュワルツコップの「アラベラ」ハイライト盤録音(1954 年)以降活動を本格化する。バイロイト、バイエルン州立歌劇場、ウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座などでオペラ指揮者として活動する一方、195658年にはシュターツカペレ・ドレスデン、196166年にはフランクフルト市立歌劇場、197279年にはモンテカルロ・フィルの音楽監督を歴任した。1970年以降ザグレブ・フィルの専任指揮者であり、N響の名誉指揮者も務めた。1985 年にザグレブで没した。 

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UHQCD DENON Classics BEST ブルックナー:交響曲第5番 変ロ長調


N響で数々の録音 ロヴロ・フォン・マタチッチ & NHK交響楽団 ~ ステレオ・ライヴ大集成 (Lovro von Matacic & NHK Symphony Orchestra ~ Live Recording Edition) [12CD BOX] [Live] [Limited Edition] を残してくれたマタチッチは早熟で、御年「17歳」でケルン歌劇場にて指揮者としてデビューした。そのマタチッチが大家となり(数字を逆にして)齢「71歳」で気心の知れたオケ、そして得意のブルックナーで録音したのがこの5番です。

第1楽章の導入部の沈んだ暗いスタートは驚きです。第2楽章は5番でもっとも早く作曲され、巷間この時代のブルックナーの苦悩が最も顕著な時期とも言われますが、この演奏はそれに捉われることなく淡々とリズムを刻み、大らかで全般にあっけらかんとした印象です。その一方、後半の2楽章は、反転、集中力を高め荘厳なコラールのフィナーレでは得難い感動をもって終結します。

マタチッチは大柄ながらお顔はよく見ると端正な風貌、そして流儀としては、オーケストラを燃焼させる「触媒効果」は抜群、しかもそこには強い作曲者の主張と指揮者独特の哀歓が籠められているといった印象。チェコ・フィルの燻し銀の弦が熱量を徐々に蓄えていき、最後に一気に放出する過程は聞き物です。
 
ブルックナー:交響曲第7番


チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 マタチッチ(ロヴロ・フォン)、 ブルックナー

 
マタチッチのブルックナー。余人のおよばぬ大人(たいじん)の境地で、野太く、おおらか。ただし、5番などでは大幅な楽曲カットや一部改変もあり、原典重視派からは批判もある。自由度の高い解釈とオケ操舵は、いまやとても許される音楽仁義ではないかもしれないが、クナッパーツブッシュなどとともに、ブルックナー受容初期のひとつの流儀と言えるのだろう。1970年代までの古きよき音楽風景かも知れない。

さて、7番は異稿の問題が比較的すくなく、マタチッチの演奏についても素直に耳を傾けることができる。前半2楽章の充実ぶりがよく話題になるが、後半の重量感も見事である。テンポは前半(特に第2楽章)やや速く、後半2楽章は標準より、じっくりと聴かせている。鷹揚として、その一方、密度の濃い名演。
 
ブルックナー:交響曲第8番


ロヴロ・フォン・マタチッチ、 NHK交響楽団

 
有名なN響とのライヴ演奏(74分13秒)。まずもって驚かされるのはN響の緊張感あふれる応対で、第1楽章から管楽器も実力を思いっきり発揮すべく、奮戦の気構えで臨場している様が伝わってくる。
マタチッチの音楽づくりは、いつもどおり隈取りくっきり、リズムも小刻み、よく切れる包丁でザクザクと刃をいれていく印象ながら、その切り口はけっして大雑把ではない。否、細部に神経の行き届いた、それでいて生き生きとした溌剌さを失わせない統率力こそ持ち味だろう。頑固な名シェフといった趣である。

演奏へ没入しているからか、ハイテンションの気迫が最後まで衰えない。むしろ楽章がすすむほど熱気が籠もってくる感じで、こういう実演に居合わせたら、聴衆は徐々に「金縛り」の状況になっても不思議はない。
全般にテンポは早く、第3楽章も一気に駆け抜ける爽快感があり、そのため弦、木管の叙情性あふれる表情は抑えられているように感じる。マタチッチの代表盤であるとともにブルックナー演奏の激戦区8番にあって、いまでも独自の存在感がある。
 
グリーグ & シューマン: ピアノ協奏曲(クラシック・マスターズ)


リヒテル(スヴャトスラフ)

 
リヒテルは強烈な個性のピアニストである一方、集中力あふれる堅牢な演奏スタイルは、当時のソビエト連邦の象徴だったハンマーにたとえられた。あらゆる演目で駄作といったものがないのは、当時のソ連の鉄の政治体制を反映したような完璧性ともイメージの共有がある。音楽、音楽家といえども、否、それが人びとの心をぎゅっと掴む作用をもっている以上、むしろそれゆえに時代が反映されている。

このリヒテルvsマタチッチ共演は特異の名演。リヒテルのハンマーのような屈強さ、マタチッチの無骨といった表面的な印象を超えて、迫力満点のグリーグでは思わぬ抒情性にはっと心がぐらつく。その一方、たっぷりの哀愁のシューマンの底にはとぐろを巻く強い情念が疼く。しかし、こうした意表を衝くスリリングさの先に、どちらもとびっきりに心を籠めた真の「音楽」を感じる。

→ Icon: Sviatoslav Richter にて聴取
 
ワーグナー:楽劇「ローエングリン」 (3CD)


ロヴロ・フォン・マタチッチ、 ワーグナー 

 
 
(参考)
N響との音源は以下のBOXがでている。
 
ロヴロ・フォン・マタチッチ & NHK交響楽団 ~ ステレオ・ライヴ大集成 (Lovro von Matacic & NHK Symphony Orchestra ~ Live Recording Edition) [12CD BOX] [Live] [Limited Edition]

ロヴロ・フォン・マタチッチ & NHK交響楽団 ~ ステレオ・ライヴ大集成 (Lovro von Matacic & NHK Symphony Orchestra ~ Live Recording Edition) [12CD…


2016
[収録内容]

Disc 1 (ALT-048)
ブルックナー : 交響曲 第8番
ライヴ録音 : 1975年11月26日 / NHKホール

Disc 2 (ALT-049)
ワーグナー :
1. パルシファル第1幕への前奏曲
2. パルシファル聖金曜日の音楽
3. ジークフリートより森のささやき
4. 神々の黄昏より (マタチッチ版) 序奏 ~ ジークフリートのライン旅
5. 神々の黄昏より (同版) ジークフリートの死 ~ 葬送行進曲 ~ 終曲
ライヴ録音 : 1975年12月4日 / NHKホール

Disc 3 (ALT-050)
ドヴォルザーク : 交響曲 第9番 「新世界より」
ライヴ録音 : 1975年12月10日 / NHKホール

Disc 4 (ALT-060)
ブラームス :
1. 交響曲 第3番
2. 悲劇的序曲
ライヴ録音 : M-1: 1973年12月5日 | M-2: 1975年11月19日 / NHKホール

Disc 5 (ALT-061)
1. シューベルト : 交響曲 「未完成」
2. ビゼー : カルメン 第1組曲、アルルの女 「ファランドール」
3. ゴトヴァッツ (1895~1982) : 交響的 コロ舞曲
ライヴ録音 : 1973年12月27日 / NHKホール

Disc 6 (ALT-062)
1. モーツァルト : ピアノ協奏曲 第20番
2. チャイコフスキー : 交響曲 第5番
弘中孝 (ピアノ / M-1)
ライヴ録音 : 1975年11月19日 / NHKホール

Disc 7 (ALT-091)
ブラームス : 交響曲 第1番
ライヴ録音 : 1967年1月28日 / 旧NHKホール

Disc 8 (ALT-092)
スメタナ : わが祖国
ライヴ録音 : 1968年9月12日 / 東京文化会館

Disc 9 (ALT-093)
ブルックナー : 交響曲 第7番
ライヴ録音 : 1969年5月9日 / 東京厚生年金会館

Disc 10 (ALT-129)
ショスタコーヴィチ :
1. 交響曲 第1番 へ短調 Op.10
2. 交響曲 第9番 変ホ長調 Op.70
ライヴ録音 : M-1: 1969年5月20日 | M-2: 1967年1月12日 / 東京文化会館

Disc 11 (ALT-130)
1. ベートーヴェン : 交響曲 第6番 ヘ長調 Op.68 「田園」
2. ベートーヴェン : レオノーレ序曲 第3番 Op.72b
3. [アンコール曲] ワーグナー : 楽劇 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 第1幕への前奏曲
ライヴ録音 : 1967年11月25日 / 新潟県民会館

Disc 12 (ALT-131)
ブルックナー : 交響曲 第5番 変ロ長調
ライヴ録音 : 1967年11月21日 / 東京文化会館

ロヴロ・フォン・マタチッチ (指揮)
NHK交響楽団