火曜日, 8月 31, 2021

フリッチャイ 初期モーツァルトと『こうもり』【廉価盤BOXセットの魅力】


 










(ジャケットは別です)

フリッチャイの初期モーツァルト、5時間付き合いますか?

フリッチャイ/RIAS響によるモーツアルト集である。しかし、3つの留意事項がある。第1にメインロードの曲はほとんど入っていない。下記でご覧いただくとおり交響曲はあまり取り上げられる機会のない初期の演目が中心である。第2にラジオ放送のリマスターであり、かつその時期は1951年、52年が中心である。良き録音を求める方には向かない。第3にフリッチャイの集中力のなせる技だろうが、一気呵成に、貪欲に取り組んでいるがゆえにモーツァルトを聴きなれたリスナーにとってこの演奏の精度が耐えうるかどうかということもある。
一方、フリッチャイ好きな向きには関心が向く。小生は、J.シュトラウス『こうもり』1949年を聴いて、そのライヴの思い切りの推進力に惹かれた。 リタ・シュトライヒ(Sop)を輝かせる フリッチャイの技量もたいしたものであり、モーツァルトへの情熱、またしかりだろう。録音の悪さは覚悟のうえ、得難いフリッチャイの足跡を知るうえでの貴重な音源であることにかわりはない。
<収録曲>
【交響曲】
・第1番、第4~9番(1952年5~6月)、第23番(1951年12月)
【協奏曲】
・ファゴット協奏曲 K. 191(1951年12月)
・協奏交響曲 K. 297b(1952年6月)
【管弦楽曲など】
・セレナード第6番「セレナータ・ノットゥルナ」K. 239(1951年2月)、第11番 K. 375(1952年9月)
・ディヴェルティメント第10番「ロドロン伯爵家の夜の音楽 第1番」 K.247
(1952年9月)、第17番 K. 334(1952年9月)
・カッサシオン K. 63(1952年9月)
・音楽の冗談 K. 522(1954年4月)
【歌劇】 
・『フィガロの結婚』 K. 492 - 第3幕 手紙の二重唱 「そよ風に寄せて」
シュザンヌ・ダンコ&リタ・シュトライヒ (ソプラノ) 1952年9月
・『ドン・ジョヴァンニ』 K. 527 - 第2幕「なんという、ふしだらな」
シュザンヌ・ダンコ (ソプラノ) 1952年9月

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浮世の憂さをしばし忘れてオペレッタ

5つの有名オペレッタの全曲を各2枚に収録した10枚組でこのお値段。演奏は古くて誰が買うの…と思われようが、オールド・ファンには懐かしい名前が目に飛び込んでくる。『こうもり』のリタ・シュトライヒは可憐さとともに“コロラトゥーラの女王”といわれた逸材。『メリー・ウィドウ』のローテンベルガーは来日公演でも聴いたが演技力にもましてその魅力的な容姿を誇った。『チャールダーシュの女王』の主役エリカ・ケートは芸域がひろく多方面で活躍したオールラウンダー。『ジプシー男爵』のセーナ・ユリナッチは戦争で苦労したが、音楽家のプロ筋での評価が高かったようだ。そして、『微笑みの国』のシュヴァルツコップは高校生のときの来日公演でヴォルフを聴いて虜になった。一方、女性陣リスナーからみれば、別の観点から贔屓の男声がいるだろう。
日本には“千両役者”という言葉があるが、録音などが限られていたから昔の歌手は本当に偉かった。いまの人達はいつでもWEBでアクセスできるという点では、チャンスも多いかも知れないが、その分消耗も激しく大変だろうなとも思う。しばし、浮世の憂さは忘れてオペレッタの世界に遊ぶも一興。
【曲目】
◆J.シュトラウス:『こうもり』
ペーター・アンダース(Ten) アニー・シュレム(MSop) リタ・シュトライヒ(Sop) ヘルムート・クレープス(Ten) ハンス・ヴェッケ(Br) フェレンツ・フリッチャイ/RIAS響1949年
◆レハール:『メリー・ウィドウ』
ヨゼフ・オラー(Br) アンネリーゼ・ローテンベルガー(Sop) ルドルフ・ショック(Ten) エルフリーデ・トレチェル(Sop) アルフレート・プファイフレ(Ten) ウィルヘルム・シュテファン/ハンブルク放送響1950年
◆カールマン:『チャールダーシュの女王』
エリカ・ケート(Sop) フィリップ・ゲーリー(Ten) フランツ・フェーリンガー(Ten) ヘッダ・ホイサー(Sop) ヴィリー・ホフマン(Ten) フランツ・マルスツァレク/ケルン放送管1957年
◆J.シュトラウス:『ジプシー男爵』
カール・シュミット=ワルター(Br) ウイリー・シュナイダー(Br) ペーター・アンダース(Ten) セーナ・ユリナッチ(Sop) マリアンヌ・シュレーダー(Alt) フランツ・マルスツァレク/ケルン放送管1949年
◆レハール:『微笑みの国』
エリーザベト・シュヴァルツコップ(Sop) エーリッヒ・クンツ(Br) ニコライ・ゲッダ(Ten) エミー・ローゼ(Sop) オットー・アッカーマン/フィルハーモニア管1953年


👉  忘れられない名指揮者


月曜日, 8月 30, 2021

マズア メンデルスゾーンとブルックナー【廉価盤BOXセットの魅力】


 






メンデルスゾーンからマズアへ

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターといえば、歴史的にみても指揮者として栄誉ある最高峰のポジション。メンデルスゾーンは、1835~47年(途中2年は中断)にわたってこれを務め、マズアは1970~96年までなんと四半世紀以上もその重責を果たした。ゲヴァントハウス管におけるメンデルスゾーンがいかに特別な存在であるかがわかるし、その長き伝統を継承し、そしてひとつの黄金期を築いたマズアが満を持して交響曲全集を取り上げるのも頷ける。
併録されている弦楽のための交響曲は短い一種の習作といったものだが、なかなか面白い。続く第1番の作曲は1824年15才の時という早熟、天才ぶりだが、最後に書かれた第3番が1842年なので、ゲヴァントハウス管のシェフをやりながら、作曲にも勤しんでいたことがわかる。シェフ最後の年1847年は逝去の年でもある。歴史と伝統の曲をメンデルスゾーンの本拠のオケでどうぞ!こそが本集の特色であり、それにふさわしい成果である。特に第2番が出色でカラヤン盤と双璧。
<収録情報>
・交響曲全集
第1番、第2番「讃歌」*、第3番「スコットランド」、第4番「イタリア」、第5番「宗教改革」
*バーバラ・ボニー(ソプラノ), イーディス・ウィーンズ(ソプラノ), ペーター・シュライヤー(テノール), ミヒャエル・ショーンハイト(オルガン), ライプツィヒ放送合唱団
・弦楽のための交響曲1~13番 コンチェルト・ケルン

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 地味ながらも深みある逸品

ベルリン・フィルやウィーン・フィルと並んで、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団は老舗中の老舗である。ゲヴァントハウスのブルックナー(ステレオ録音)が一般的に評価されたのはマズアの時代以降だが、忘れてはいけないのは、それ以前に名匠アーベントロートやコンヴィチュニーが先駆的な取り組みを行ったことであろう。

小生はブルックナーの版の問題に必ずしも敏感ではないが、マズアの録音が1974〜78年で、すでにノヴァーク版が主力になりつつある時期になぜハース版が多いのかの理由は、この伝統ある管弦楽団が永らく使ってきた楽譜がハース版であり、かつ更新する十分な資金にも当時乏しかったからではないかと想像する。
 第1番のノイマン(1965年録音)はリンツ稿ハース版、第2番のコンヴィチュニー(1960年)は1877年稿ハース版、第3番ザンデルリング(1963年)は1889年版、第4番はその後のブロムシュテットもハース版、第5番は、アーベントロートもコンヴィチュニー(1961年)もハース版、第7番コンヴィチュニー(1961年)はハース版、第8番のアーベントロート(1949年9月28日)もハース版、そして、第9番のみはコンヴィチュニー(1962年)に続きその後のマズアも原典版となっている。

 旧東独時代、外貨稼ぎの事情もあってか、マズアのブルックナーを世界に売り出す試みは成功し、深い響きと良き意味での古色蒼然たるハイマート感は日本でも話題となった。しかし、今日から振り返ると、その素朴ともいえる(しかし、たっぷりの)情感とぶっきらぼうとも思える非技巧性は、アーベントロート、コンヴィチュニーの伝統を引き継ぐものであると思う。ゲヴァントハウス管弦楽団のブルックナーは、その後も実に良い演奏が続く。歴史的には第7番の「初演オケ」には、連綿とし胸を張る伝統と各プレイヤーが引き継いできた楽器と音色に秘めた自信があるのだろう。それを最大限引き出したマズアの功績もまた大きい。

日曜日, 8月 29, 2021

カラヤン シベリウスの交響曲、管弦楽集【廉価盤BOXセットの魅力】


 









ベスト・クオリティ盤

カラヤン/ベルリン・フィルによるシベリウスの後期交響曲(4~7番)、ヴァイオリン協奏曲および管弦楽集。録音は主として1960年代後半。再録の多いカラヤンだが、管弦楽集を除き、交響曲は一発勝負、自信の録音だったのだろう。
ヴァイオリン協奏曲は、音色は見事に美しいがやや線が細いといわれたフェラスがピタッとはまっており名盤。管弦楽集はその後、売れ筋の『アダージョ』などに何度も組み込まれた手中の玉。カラヤン嫌いでなければ、CD5枚組+BDオーディオでこの価格はいまだベスト・クオリティ。
<収録情報>
交響曲第4番 1965年2月
交響曲第5番 1965年2月
交響曲第6番 1967年4月
交響曲第7番 1967年9月
ヴァイオリン協奏曲 フェラス(ヴァイオリン) 1964年10月
組曲『ペレアスとメリザンド』1984年2月
交響詩『タピオラ』(1)1964年10月、(2)1984年2月
交響詩『フィンランディア』(1)1964年10月、(2)1984年2月
トゥオネラの白鳥 (1)1965年2月、(2)1984年2月
悲しいワルツ (1)1967年1月、(2)1984年2月

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 カラヤン/フィルハーモニア管の魅力

 1960年代後半、レコードを聴きはじめた頃、カラヤン/ベルリン・フィルの新盤は高かったが、エンジェル・レーベルからのフィルハーモニア管弦楽団の旧盤は、録音が古くなったとの理由からダンピングされ安く買えた。しかも、旧盤は過去のもの、更改されて克服されるものとの受け止め方が一般で、その評価も一部を除き新盤に比べて「求心力にかける」「表面的」といった一刀両断の言い方で片付けられていた。

 1960年フィルハーモニア管弦楽団との録音のシベリウスの2番。その響きの<外延的>なひろがりと<内在的>なものを感じさせる音の奥行き、そこから独特の≪立体感≫がうまれてくる。そうした音楽がある種の威圧感をもって迫ってくる。けっして、よくいわれる表面的で軽いサウンドではない。そう簡単には解析できないし、解析できない以上、たやすく真似もできない。カラヤンの音づくりの典型がこの2番には満ちている。なお、フィルハーモニア管は音質が良くあうシベリウス作品を得意としており、本盤はその典型と思う。

→  
Sibelius: Symphonies Nos. 2, 4, 5, Tapiola, Finlandia  も参照

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「カレリア」序曲賛

カラヤンの厖大な録音のなかで、わずか10分の「カレリア」序曲を取り上げるのは少し勇気がいる。この演奏の突出さをどう表現すべきか。音に色がある。リズムには自然の息吹がある。包み込むような音の奔流には圧倒感よりも名状しがたい心地よさがある。下手な比喩で恐縮だが、ジェット機の高度から、雲海を足下におき、流れゆくあかね雲に見惚れて、その一瞬一瞬をこよなくいとおしく思うような切なさがある。一度、是非聴いてみてください。


アバド ハイドンとモーツァルトの交響曲集【廉価盤BOXセットの魅力】











(画像は別のジャケットです)

アバドに喝采!

 1984~86年収録のアバド/ヨーロッパ室内管を中心とするハイドン曲集。ベルリン・フィルとのコラボでは多くの作品で、正直なところ”カラヤンの域”を超えられなかったアバドだが、ヨーロッパ室内管との共演では、自然で、しなやかで、そして統制よりも協調の楽しさに満ちた良き音源を残してくれた。ブルックナーの第1番しかりだが、このハイドンも若々しくて生き生きとした良き演奏である。アバドには競争的な世界が実はあまり似合わないのかも知れない。共演者との相性によっては、自己を表に出さずに音楽の流れに身を任せるようなところがあるが、そうした場では本当に上質で輝かしいミューズを感じさせる。それは、ハイドンの気質としての明るさと見事に呼応しているように思う。

<収録曲>
・交響曲:第93番、第96番「奇蹟」、第98番、第100番「軍隊」、第101番「時計」、第102番「軍隊」、第103番「太鼓連打」
・歌劇「月の世界」序曲
・協奏交響曲変ロ長調
・トランペット協奏曲変ホ長調 アドルフ・ハーセス(Tp) シカゴ交響楽団

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アバドのモーツァルト集。カラヤンの跡目を継いでベルリン・フィルのシュフに就任したアバドには、当初モーツァルトの交響曲・管弦楽などの壮大な全曲録音が企画されたようだが、結局それは中途で終わってしまった。すでにカラヤン、ベームでの主力録音が存在していたので、それをオーヴァーヘッドするのは難しかったからなのかも知れない。
しかし、小生はアバドのモーツァルトは悪くないと思う。ベームに比べて統制が緩く、カラヤンほどの緻密さはないながら、逆にいえば、オーケストラの自由度を引き出し、天性の明るい基調の大らかさがある。
本集はそうしたアバドの良さを知ることのできるアルバムながら、交響曲では第37番以降の後期曲集や、有名な「レクイエム ニ短調」(Requiem in d-Moll)K. 626は収録されておらず留意。なお、これらは、 
モーツァルト:交響曲集 、 モーツァルト:交響曲第40番&第41番「ジュピター」 、 モーツァルト:レクイエム  などで聴くことができる。

【収録情報】
・交響曲:第23番、第25番、第28番、第29番、第31番、第35番『ハフナー』、第36番『リンツ』、交響曲ニ長調『ポストホルン』(セレナード第9番 K.320より)
・ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲K.364(320d)、ライナー・クスマウル(ヴァイオリン)、ヴォルフラム・クリスト(ヴィオラ)
・ディヴェルティメント第11番
・セレナード第9番『ポストホルン』
・行進曲第1番、第2番 K.335(320a)
・フリーメイスンのための葬送音楽 ハ短調 K.477(479a)
・ミサ曲ハ短調 K.427(417a)(エーザー版)、バーバラ・ボニー(ソプラノ)、アーリーン・オジェー(ソプラノ)、ハンス=ペーター・ブロホヴィッツ(テノール)、ロベルト・ホル(バス)ベルリン放送合唱団

ヴァント シューベルトとブルックナーの交響曲全集【廉価盤BOXセットの魅力】









1977~1984年の足かけ8年にわたって収録されたヴァント/ケルン放送響によるシューベルトの交響曲全集である。この組み合わせでは、ブルックナーの交響曲全集が名高いが、ヴァントは、同じオーストリア出身でいずれも長大交響曲を残した2人の大作曲家の特質を見切っているようだ。演奏スタイルも共通していて、メロディは生き生きと息づくが、虚飾を廃した正攻法のアプローチゆえに音楽に過度な起伏をつけず技巧的な要素が見られない。すなわち、当初リスナーには忍耐も必要だが、しっくりと腰をすえて、何度も聴き込むとその良さが滲みでてくるような演奏である。両作曲家に通底するものはなにか。比較考量をするうえで、ブルックナー・ファンにもお奨めしたい全集である。

<収録曲>
・交響曲第1番~第9番
・劇音楽『キプロスの女王ロザムンデ』D.797より「間奏曲」「バレエ音楽第1番」「バレエ音楽第2番」

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ヴァントのブルックナー、右顧左眄しない解釈

ヴァントは、1938年ケルン近くのデトモルト州立歌劇場で、その後ケルン歌劇場を足場に一歩一歩実力を蓄え、ケルンを本拠地に1946年同市の音楽総監督に就任。手兵ケルン放送交響楽団とのブルックナー交響曲全集はその代表作です。

 ヴァントのブルックナーの特色は、テキストを徹底的に研究し忠実な演奏を目指すことや4楽章間の最適な力配分を常に意識した演奏といった点ではヨッフムに似ています。その一方で、テンポ・コントロールは常に安定しつつも決して過度に遅くならず、むしろ時に軽快なさばきを見せる(それゆえ、全体に「重すぎる」感じを与えない)技巧ではシューリヒトと共通するところもあります。さらに、音の凝縮感をだすためにおそらくは相当な練習で音を練りあげる名トレーナーとしての顔ではベームと二重写しとも言えます。しかし、そうした印象を持ちながら聴いたとしても、全体の構成力からはやはりヴァントはヴァントであり、右顧左眄しない解釈にこそ彼の独自性があると思います。

 全曲、均一な優れたものですが、特に番数の若いものにヴァントらしい丁寧な音づくりの至芸がみえると思います。以下では座右の1〜3番について若干のコメントを。

<第1番>
 第1番は、ブルックナーがリンツで初演し、その稿である<リンツ版>とその後、ほぼ四半世紀をへて作曲者自身が大きな校正をくわえた<ウイーン版:作曲者晩年の1890/1891年改訂>があります。私は、リンツ版ではノイマン、サヴァリッシュが、ウイーン版ではシャイーの少しく濃厚な演奏が好きですが、ヴァントの本盤はそれに比べて恬淡とはしていますが同じくウイーン版の代表的な1枚です。

<第2番>
 第2番では、ジュリーニ、ヨッフムをよく聴きますが、改めてヴァント/ケルン放送響に耳を澄ましてみて、これは実に良い演奏だと思います。シューリヒト的な小鳥の囀りに似た柔らかな木管の響きに癒され、第4楽章ではミサ曲第3番<キリエ>からの楽句の滋味溢れる解釈には深い感動を覚えます。2番では凡庸な演奏には時に感じる全体構成上の<ダレ>も全くありません。練り上げられた技倆とブルックナー第一人者としての自信と自負に裏打ちされた名演です。

<第3番>
 第3番も見事な演奏です。細部まで練りに練った演奏で、自由な音楽の飛翔とは無縁な、理詰めな解釈と一部も隙のないような凝縮感が特色です。それでいて重苦しさがないのは、時に軽妙なテンポでいなすコントロールゆえでしょうか。ブルックナーを聞きこんだリスナーにこそ高く評価される練達の演奏です。

(参考)
ブルックナー:交響曲第1番&第2番
ブルックナー:交響曲第3番&第4番「ロマンティック」
ブルックナー:交響曲第5番&第6番
ブルックナー:交響曲第8番
ブルックナー:交響曲第7番&第9番

土曜日, 8月 28, 2021

ちょっと気になる 廉価版BOX 10点 

 













クルト・ヴァイル:完全録音集 第2集 [5CDs]




アルフレード・シュニトケ:映画音楽集[4CDs]






Sol Gabetta - Il Progetto Vivaldi 1-3




Maria Joao Pires - Complete Concerto Recordings



Marcelle Meyer: Complete Studio Recordings, 1925 - 1957




Die Grobten Operetten-Welterfolge

Elisabeth SchwarzkopfSena Jurinac

5つの有名オペレッタの全曲を各2枚に収録した10枚組でこのお値段。演奏は古くて誰が買うの…と思われようが、オールド・ファンには懐かしい名前が目に飛び込んでくる。『こうもり』のリタ・シュトライヒは可憐さとともに“コロラトゥーラの女王”といわれた逸材。『メリー・ウィドウ』のローテンベルガーは来日公演でも聴いたが演技力にもましてその魅力的な容姿を誇った。『チャールダーシュの女王』の主役エリカ・ケートは芸域がひろく多方面で活躍したオールラウンダー。『ジプシー男爵』のセーナ・ユリナッチは戦争で苦労したが、音楽家のプロ筋での評価が高かったようだ。そして、『微笑みの国』のシュヴァルツコップは高校生のときの来日公演でヴォルフを聴いて虜になった。一方、女性陣リスナーからみれば、別の観点から贔屓の男声がいるだろう。

日本には“千両役者”という言葉があるが、録音などが限られていたから昔の歌手は本当に偉かった。いまの人達はいつでもWEBでアクセスできるという点では、チャンスも多いかも知れないが、その分消耗も激しく大変だろうなとも思う。しばし、浮世の憂さは忘れてオペレッタの世界に遊ぶも一興。

【曲目】

J.シュトラウス:『こうもり』

ペーター・アンダース(Ten) アニー・シュレム(MSop) リタ・シュトライヒ(Sop) ヘルムート・クレープス(Ten) ハンス・ヴェッケ(Br) フェレンツ・フリッチャイ/RIAS1949

◆レハール:『メリー・ウィドウ』

ヨゼフ・オラー(Br) アンネリーゼ・ローテンベルガー(Sop) ルドルフ・ショック(Ten) エルフリーデ・トレチェル(Sop) アルフレート・プファイフレ(Ten) ウィルヘルム・シュテファン/ハンブルク放送響1950

◆カールマン:『チャールダーシュの女王』

エリカ・ケート(Sop) フィリップ・ゲーリー(Ten) フランツ・フェーリンガー(Ten) ヘッダ・ホイサー(Sop) ヴィリー・ホフマン(Ten) フランツ・マルスツァレク/ケルン放送管1957

J.シュトラウス:『ジプシー男爵』

カール・シュミット=ワルター(Br) ウイリー・シュナイダー(Br) ペーター・アンダース(Ten) セーナ・ユリナッチ(Sop) マリアンヌ・シュレーダー(Alt) フランツ・マルスツァレク/ケルン放送管1949

◆レハール:『微笑みの国』

エリーザベト・シュヴァルツコップ(Sop) エーリッヒ・クンツ(Br) ニコライ・ゲッダ(Ten) エミー・ローゼ(Sop) オットー・アッカーマン/フィルハーモニア管1953