土曜日, 10月 06, 2018

ショパン 名曲 名盤 聴きくらべ

Claudio Arrau plays Chopin
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ルビンシュタイン ショパン:ポロネーズ全曲 、アシュケナージ ショパン:バラード&スケルツォ 、ポリー二 プレリュード(前奏曲)Chopin: 24 Preludes Op.28 、リパッティ ショパン:ワルツ集 、マズルカではホロヴィッツ Chopin: Horowitz Plays 、ローゼンタール Complete Recordings 、練習曲ではバックハウスを聴いてきて、アラウ(1903~1991年を取り出す。

彼の後期から晩年の演奏である。1970年10月(協奏曲集)、1973年4月(プレリュード集)、1977年4月(バラード集、幻想曲)、1978年3月(ノクターン集)、1979年3月(ワルツ第1-14番)、1980年8月(即興曲集、舟歌、ワルツ第15-19番)、1984年4月(スケルツォ集、幻想ポロネーズ)と14年におよぶ系統的な収録であり金字塔といってもよいだろう。

上記の誰ともちがう、それでいて誰もが共感するようなショパン像である。テンポは可変、自由に曲想を展開しているようで、ショパンのもつ高貴なる精神というコアの特質は、どこを輪切りしても、切断面は変わらない安定感がある。若き日から技巧派でもならしたアラウだが、その衰えをあまりある思念でカヴァーしている。見事な演奏。


クラウディオ・アラウ Claudio Arrau を聴く
アラウの魅力 真の職人芸 Claudio Arrau


Chopin Etudes
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ルビンシュタイン ショパン:ポロネーズ全曲 、アシュケナージ ショパン:バラード&スケルツォ 、ポリー二 プレリュード(前奏曲)Chopin: 24 Preludes Op.28 、リパッティ ショパン:ワルツ集 につづき、マズルカではホロヴィッツ Chopin: Horowitz Plays 、ローゼンタール Complete Recordings を聴き、そして練習曲では1928年録音のバックハウス盤を取り出す。
一般には、バックハウスのショパンというと、ちょっと違和感を感じる向きも多かろう。「ピアノの獅子」という異名をもつバックハウスは、ベートーヴェンやブラームスにおいて本領発揮という固定的なイメージがあるからだ。

この音源は、SP復刻盤。いわば彼の「若獅子」時代の記録だが、しっかりとした技術的基盤のもと、激しいパッション、やわらかな感性の輝き、そしてなによりもショパン特有の気高き屹立感がなんとも自然に伝わってくる。これほど古い音源なのに、キリリとした演奏スタイルには古さを感じさせない。バックハウスが実はショパンを日頃の「友」としていたことは、約30年後、彼が暮らしたルガーノでのライヴ盤でも聴くことができるが、紛れもないショパン弾きの横顔をもっていたことは興味深い。


Complete Recordings
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ルビンシュタイン ショパン:ポロネーズ全曲 、アシュケナージ ショパン:バラード&スケルツォ 、ポリー二 プレリュード(前奏曲)Chopin: 24 Preludes Op.28 、リパッティ ショパン:ワルツ集 につづき、マズルカではホロヴィッツ Chopin: Horowitz Plays の次にこのローゼンタールを聴く[マズルカ:Op.24-3(1937年)、Op.24-4(1929年)、Op.33-2(1937年)、Op.33-4(1935年)、Op.50-2(1935年)、 Op.63-1(1937年)、Op.63-3(1931年)、Op.67-1(1931年)]。

この人はポーランド生まれにしてショパンの孫弟子(ショパンの弟子にして楽譜の校訂者カール・ミクリが彼の師匠)という経歴をもつが、若き日は哲学を専攻しピアニストへの道を選択したのは晩稲(おくて)であるという。しかし、そのピアニズムはいかにも鷹揚として自然でありながら、詩情に満ちており、マズルカのもつ民族性、生き生きとした三拍子のリズム感、そしてその背景に直截な作曲家への畏敬を感じる。録音は1930年代だが、心が温まるような歴史的な記録である。

(参考)
〇本集の主要収録作品(記載のないものは1928~42年3月までの録音)
<ショパン>
【マズルカ】
・第16番、第17番、第23番、第25番、第31番、第39番、第41番、第44番
【前奏曲】
・第1番、第3番、第6番、第7番、第11番、第13番、第19番、第20番、第23番
【練習曲】
・第1番、第5番『黒鍵』、第6番、第7番、第13番、第14番
【ワルツ】
・第5番『大円舞曲』、第7番、第14番、第41番
【夜想曲】
・第2番、第8番
【ソナタ】
・第3番(1939~1942年)、うち「Largo」(1935年)
【その他】
・ショパン/リスト&ローゼンタール編:ポーランドの歌 第1番(3種:1929~1937年)、第5番(2種:1929~1942年)
・ショパン:新しい練習曲第3番変イ長調(2種:1929~1935年)、子守歌変ニ長調Op.57(2種:1929~1931年)、タランテラOp.43(1939~1942年)
【協奏曲】
・第1番:フリーダー・ヴァイスマン/ベルリン国立歌劇場管(1930年&1931年)、うち「Romanza: Larghetto」フランク・ブラック/NBC響(1937年)

<ショパン以外>
・ローゼンタール:ヨハン・シュトラウスの主題による幻想曲(2種:1928~1931年)、ウィーンの新しい謝肉祭(3種:1929~1937年)、蝶々(2種:1929年~1937年)
・リスト:ハンガリー狂詩曲第2番(ローゼンタール編)、愛の夢第3番(1930年)
・ヘンデル:調子のよい鍛冶屋(1939年&1942年)
・ドビュッシー:水に映る影(1929~1931年)
・アルベニス:トゥリアーナ(1929~1931年)
・リャードフ:音楽の玉手箱、前奏曲変ロ長調Op.46-1(1929~1931年)
・シューベルト:楽興の時第3番(1935~1937年)、シューベルト/リスト編:音楽の夜会 第6番(1935~1937年)


Chopin: Horowitz Plays
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ルビンシュタイン ショパン:ポロネーズ全曲 、アシュケナージ ショパン:バラード&スケルツォ 、ポリー二 プレリュード(前奏曲)Chopin: 24 Preludes Op.28 、リパッティ ショパン:ワルツ集 につづき、マズルカほかではホロヴィッツの非常に古い音源で下記を聴く。1930年代ホロヴィッツの30代前半の録音だが、すごいエッジの効き方に驚愕する。この時代、世界を駆け巡った天才ピアニストにしてトスカニーニを岳父にもつという話題性。この若きヴィルトゥオジティの神話はリパッティの登場まで続く。

マズルカはショパンのなかでも濃厚な民族性が香るが、そうした要素よりは、技巧の完全性と直観的で、曖昧さのない明燦さが前面にでている。この時代において、現代的機能主義的なショパンといっては言い過ぎだろうか。しかし、この鉈で割ったような解釈にはいまも惹かれる。これは、ショパン演奏の多様性を世に問う先駆的な試みだったと思う。

・マズルカ:Op.7-3(1932)、Op.41-1(1933)、Op.50-3(1935)
・ノクターン:ホ短調(1935)
・即興曲:Op.29-1(1936)
・スケルツォ:Op.7-3(1936)


ショパン:ワルツ集
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ルビンシュタイン ショパン:ポロネーズ全曲 、アシュケナージ ショパン:バラード&スケルツォ 、ポリー二でプレリュード(前奏曲)Chopin: 24 Preludes Op.28 を聴いてきて、ワルツはリパッティを取り出す。これは特異な名演である。技術的な完璧さでは、その運動能力の高さから後のポリーニが比肩するようにも思うが、1940年代から50年代のピアノの巨人たちが覇を競う時代にあって、若きリパッティのヴィルトゥオジティは際立っている。このワルツ集には表面的な軽快さよりも、曲別のアクセントの強さ、なにかに憑かれているような臨場感、そして感性の煌めきが交錯する。舞曲としてのワルツではなく、鎮座して聴くべき音楽作品としてのそれであると感じる。一般にイメージされる“やさしい”、“いとおしい”ショパンのワルツとは異質ながら、このメモリアルにはほかにない鬼神の趣きがある。

➡ ショパン:ワルツ集(14曲)(クラシック・マスターズ) も参照


 ショパンのワルツ集について。1950年の録音。コルトーのワルツを聴いて次にリパッティを回す。1933年、ウィーンの国際ピアノコンクールで16才のリパッティは第2位とされるが、審査員のコルトーは強硬に優勝を主張し、結果かわらず審査員を辞任した。その後、この縁もあってリパッティはパリ音楽院でコルトーを師と仰ぐことになったといわれる。この有名な逸話を思い出しつつ、しかし、コルトーの自由闊達、大胆な演奏とリパッティ晩年の体力と駆け引きしながらの「心技」に最大限傾斜した演奏の印象はやはり違う。だが、よく耳を傾けると、両者に共通し、そこに最上の澄み切った「透明な抒情性」があるように感じる。
 これは努力によって獲得されるものというよりは天性のものかも知れないし、演奏のスタイルこそ異なれ、コルトーはリパッティの天才を瞬時に直観していたとも思う。この両者の秀演、興味があれば是非、聴きくらべていただきたいと思う。

→両者ともにChopin: Klavierwerke (Works for Piano)で廉価にて入手可能


Chopin: 24 Preludes Op.28
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ルビンシュタイン ショパン:ポロネーズ全曲 、アシュケナージ ショパン:バラード&スケルツォ を聴いてきて、プレリュード(前奏曲)はポリー二を取り出す。アシュケナージとの比較では、タッチの軽やかさが鮮烈である。打鍵の深さが一定で音が均質化しており、一音一音実にクリアに、かつ硬質に輝いて、さらに淀みなく連続して伸びやかに響く。よく磨かれた高級クリスタルガラスが展示台のうえで定速回転しているようだ。それが短い珠玉の曲集たるプレリュードにぴったりである。しかし、そこに込められている音楽的内燃性は、ルビンシュタインと共通性するものを感じる。ポリー二では青いガスバーナーの均一な火を、ルビンシュタインでは暖炉の赤い薪の炎を連想するけれど、その燃焼度の高さこそ、他との差別化を可能とするものだろう。

ポリーニⅣ
ポリーニⅡ
ポリー二


ショパン:バラード&スケルツォ
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ルビンシュタイン ショパン:ポロネーズ全曲 を味わったあとに、アシュケナージでバラード&スケルツォを聴く。比較においてもアシュケナージの技巧の高さが際立つ。複雑で強い打鍵を要し、かつ速いパッセージでも楽々と弾きこなし、ときに余裕すら感じられる。しかし、音楽の馥郁たる情緒というか、気高き雰囲気については、ルビンシュタインのポロネーズには貴賓のおもむきがある。
アシュケナージではスケルツォの切れ味は抜群でかつ豊かな情感もある(特に第2番は素晴らしい)が、バラードのもつ心理的な描写では、いささか上手すぎるように聴こえてしまう(特に第4番)。これはあくまでも比較の問題で、バラードにはどこかショパンの深い懊悩が隠されているという勝手な思い入れから、アシュケナージに対して、あまりに贅沢な注文をつけているのかも知れないが。


ショパン:ポロネーズ全曲
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1960年代、小生がはじめて買ったLPが、このルービンシュタイン奏でるショパンのポロネーズ集、とても高価な、そして贅沢な演奏の1枚だった。

いま聴くと、もっと技巧的にみて滑らかな、もっと張り詰めたダイナミックな、そしてもっと録音のよい音源は数多あると思う。しかし、胸を張って堂々とショパンの高貴な精神をあらわす、薫りたつような気品をもった、そしてなによりもこれほど自信に満ちた演奏は稀有であると感じる。半世紀、現役で聴きつがれてきた演奏には名状しがたい訴求力がある。是非、じっくりと味わっていただきたい。


ルービンシュタイン  Arthur Rubinstein  ふたたび登場!
ルービンシュタイン 5 ショパン
ルービンシュタイン ショパン集

ショパン:ピアノ・ソナタ第2番「葬送行進曲」&第3番、他
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ルビンシュタイン ショパン:ポロネーズ全曲 、アシュケナージ ショパン:バラード&スケルツォ 、ポリー二 プレリュード(前奏曲)Chopin: 24 Preludes Op.28 、リパッティ ショパン:ワルツ集 、マズルカではホロヴィッツ Chopin: Horowitz Plays 、ローゼンタール Complete Recordings 、練習曲ではバックハウス Chopin Etudes を聴いてきて、アラウ Claudio Arrau plays Chopin のあと大曲2曲ではアルゲリッチを取り出す。

ソナタ第3番。1967年1月のアルバムでありアルゲリッチ25歳の収録。衝撃的な演奏である。、速いパッセージ処理は大容量かつ高速回転エンジンといった形容があてはまりそうだが、一転、テンポを落とすと機械的なものとは対極の、あふれ出るような感性が横溢する。それらは変幻自在に顔をだし、鋭利な直観を感じさせつつも。ときにエロティックな強い刺激的な芳香を放つ。その一方、細部への目配りは緻密であり、ワンフレーズ、一音たりとも揺るがせにしない。

1974年録音のソナタ第2番。基本は第3番と共通するが、希望と絶望、渇愛と諦観、激烈さと静寂さの振幅はやや大人しくなる一方、緩いテンポでの表現力には磨きがかかっている。アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ、スケルツォ第2番もスケールが大きく、ダイナミックかつメリハリの効いた演奏。


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