2014年5月4日
クレンペラーのベートーヴェンについては、すでに同じMembranレーベルからでている Otto Klemperer: Beethoven, Brahms, Bruckner で1950年代のケルン放送響、フィルハーモニア管との録音(一部は今回セットと重複)を聴いているが、本集の1960年5月29日〜6月7日にかけて、ウィーン、ムジークフェラインザールで一気呵成になされたライヴは、気力充実、実に見事な成果である。音楽の構えが大きく、全般に快速で切れ味のよいシャープ&クリアな解釈。加えて、短期に集中してなされた全曲チクルスに賭けるクレンペラーの強い意気込みのようなものも感じる。まとめて聴いて価値ある音源である。
一方のケンペのブラームス。これもベルリン・フィルとの1960年前後の録音 ブラームス:交響曲全集 は小生の好きな演奏だが、1975年5〜12月にかけての本集は、慣れ親しんだミュンヘン・フィルとの収録。表現豊かな、深い読み込みを感じさせる名演であり、素直に、ブラームス独自の孤高の憂愁の世界に入っていける気がする。覇気あるベートーヴェンと枯淡のブラームス。この演奏の組み合わせも魅力的である。
(収録情報)
◆ベートーヴェン:
1960年5月29日:第2番、第3番『英雄』
1960年5月31日:『エグモント』序曲、第4番、第5番『運命』
1960年6月2日:バレエ音楽『プロメテウスの創造物』序曲、第6番『田園』、第7番
1960年6月4日:序曲『コリオラン』、第8番
1960年6月7日:第1番、第9番『合唱』
ヴィルマ・リップ(ソプラノ)
ウルズラ・ベーゼ(アルト)
フリッツ・ヴンダーリヒ(テノール)
フランツ・クラス(バス)
ウィーン楽友協会合唱団
フィルハーモニア管弦楽団
オットー・クレンペラー(指揮)
録音場所:ウィーン、ムジークフェラインザール
録音方式:モノラル(ライヴ)
◆ブラームス:
・交響曲全集(第1番〜第4番)
・ハイドンの主題による変奏曲 Op.56a
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団
ルドルフ・ケンペ(指揮)
録音時期:1975年5〜12月
録音場所:ミュンヘン、ビュルガー・ブロイケラー
録音方式:ステレオ(セッション)
0 件のコメント:
コメントを投稿