2013年6月23日
古い音楽ファンなので1970年、レニングラード・フィルの初来日で父アルヴィド・ヤンソンスのショスタコーヴィチの5番の熱演も聴いた。その子マリス・ヤンソンスも当年古希(ゲルギエフのちょうど10才上)。父の時代は、ムラヴィンスキー全盛期で一糸乱れぬといった厳しい軍律の支配するような演奏が中心だったが、マリス・ヤンソンスの演奏は全体構成もオーケストラの操舵も柔軟であり、響きの深みと美しさをより強調している。練られた演奏であり周到に準備された録音である。
全10CDの構成(プログラム・ビルディング)も巧み。CD1で交響曲1番&15番をパッケージし、いわば「始め」と「終わり」を結合して、全体を通観するような仕掛けとなっている(ゲルギエフ盤なども同様。相性の良い組み合わせである)。
オーケストラの<競演>といった視点からは、手兵だったバイエルン放送響、オスロ・フィル以外では、1番(ベルリン・フィル)、5番(ウィーン・フィル)、7番(サンクト・ペテルブルグ・フィル)、8番(ピッツバーグ響)、10、11番(フィラデルフィア管)、15番(ロンドン・フィル)と多彩、かつ人気・主力の番数での有力オケの起用はヤンソンスの実力を余すところなく示している。
<収録情報>
◆交響曲
・第1番へ短調 Op.10 ベルリン・フィル(1994年6月)
・第2番ロ短調 Op.14『10月革命に捧ぐ』※ (2004年6月)
・第3番変ホ長調 Op.20『メーデー』 ※ (2005年1月)
・第4番ハ短調 Op.43 ※ (2004年2月)
・第5番二短調 Op.47 ウィーン・フィル(1997年1月)
・第6番ロ短調 Op.54 オスロ・フィル(1991年1月)
・第7番ハ長調 Op.60『レニングラード』サンクト・ペテルブルグ・フィル(1988年4月)
・第8番ハ短調 Op.65 ピッツバーグ交響楽団(2001年2月)―リハーサル付
・第9番変ホ長調 Op.70 オスロ・フィル(1991年1月)
・第10番ホ短調 Op.93 フィラデルフィア管弦楽団(1994年3月)
・第11番ト短調 Op.103『1905年』 フィラデルフィア管弦楽団(1996年12月)
・第12番ニ短調 Op.112『1917年』 ※(2004年6月)
・第13番変ロ短調 Op.113 セルゲイ・アレクサーシキン(バス) ※(2005年1月)
・交響曲第14番ト短調 Op.135『死者の歌』 ラリッサ・ゴゴレウスカヤ(ソプラノ)、セルゲイ・アレクサーシキン(バス) ※ (2005年10〜11月)
・交響曲第15番イ長調 Op.141 ロンドン・フィル(1997年4月)
◆その他
・映画音楽『馬あぶ』からの組曲 Op.97a(ロマンス、定期市) ロンドン・フィル(1997年4月)
・ジャズ組曲第1番、第2番〜ワルツ第2番、タヒチ・トロット Op.16 フィラデルフィア管弦楽団(1996年12月)
※はバイエルン放送響(&バイエルン放送合唱団)
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