(ジャケットは別です)
『トロヴァトーレ』はいわば男声の演目であり、テノールのマンリーコ、バリトンのルーナ伯爵の役割が大きい。ところが、マリア・カラスのレオノーラ役があまりに鮮烈かつ魅力的で、カラスが歌ったがゆえに、以降、女声へより注目が集まるようになった(こうした“カラス・シンドローム”の演目はほかにも多くある)。さらに、管弦楽による劇的な様相をどう表現するかについて、指揮者の力量も問われる。カラヤンは本曲を得意としていた。本盤は、カラス&カラヤンという組み合わせにより、歴史的な名盤の一角をしめ、「恋はバラ色の翼に乗って」などの聴かせどころはいまも燦然と輝く。一方、ステファノ、パネライら男声陣も堂々たる臨場で芸達者なところを見せている。そして、全体の抑揚を見事にコントロールし、ジプシー音楽などの通奏の部分ではなんといってもカラヤンの巧さが光る。
<収録情報>
【ヴェルディ】
・『トロヴァトーレ』
マリア・カラス(Sop)
ローランド・パネライ(Br)
フェドーラ・バルビエーリ(MSop)
ジュゼッペ・ディ・ステファノ(Ten)
ニコラ・ザッカーリア(Bs)
ルイザ・ヴィッラ(MSop)
レナート・エルコラーニ(Ten)
ジュリオ・マウリ(Bs)他
カラヤン/ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団
1956年8月3、4、6~9日、ミラノ、スカラ座セッション録音
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