土曜日, 11月 15, 2008

カラス・アッソルータ


ウイークエンドシアター ドキュメンタリー「カラス・アッソルータ 究極のカラス」

チャンネル:BShi
放送日:2008年11月15日(土)
放送時間:翌日午前0:15~翌日午前1:53(98分)
伝説的なソプラノ歌手、マリア・カラスの芸術と人生をよみがえらせたドキュメンタリー映画。歌手であり、一人の女性であったマリア・カラスの、ときにオペラそのものをしのぐドラマティックな人生を、過去の映像を交えて再現する。
[ 制作:2007年, フランス (Swan Productions / ARTE France) ]
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 上記の本は『マリア・カラス―ひとりの女の生涯 (単行本) ピエール=ジャン レミ (著), Pierre‐Jean R´emy (原著), 矢野 浩三郎 (翻訳)』 みすず書房
 プリマドンナとしてオペラ界に君臨し、一挙手一投足がマスコミの称賛と非難を呼んだマリア・カラス。その栄光の陰の苦悶、海運王オナシスとの恋、ひとりの孤独な女としての素顔を浮彫にする。84年刊の新装。
 「1947年イタリアのフェニーチェ座で『トゥーランドット』他の上演でデビューを飾ってから、1965年ロンドンのコヴェント・ガーデン王立歌劇場の舞台までの17年間がマリア・カラスの全盛時代だった。彼女の一挙手一投足はつねにマスコミの称賛と非難を呼び、時に「牝虎」「気紛れなプリマドンナ」と言われながらも、成功への階段を登りつめる。だが、その遍歴のなかにこそ栄光の輝きと共に苦悶の呻吟があったのである。夫でありマネージャーだったメネギーニとの二人三脚と突然の離婚、海運王オナシスとの恋は世間の注視を浴びることになった。しかし、あのカラスが彼女をとりまく男たちの奴隷となり、称賛をえ、それを持続させていくための代償として、己れの身をけずり命を縮めるひとりの孤独な女としての姿は、本書に初めて明らかにされるものである。オペラをオペラとして蘇らせ、聴衆を夢と発見と熱狂の渦に巻きこんだ、今世紀の最も魅力的な舞台女優の知られざる素顔・情熱・ドラマがここにある」。
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 寝るまえに、この本をいま読んでいる。なかなか面白い。その矢先、ドキュメンタリー番組をやるというので見ることにする。映像を見ていて、マリア・カラスが持って生まれた美貌と途轍もない才能の持ち主であることを改めて実感する。本で詳細の記述があるので、一応の背景は知ったうえで映像を追うと、その表情の陰にある深い喜怒哀楽が 思われて興味深い。
 シュワルツコップもそうだが、マリア・カラスも非常な努力の人である。途轍もない才能をもった芸術家が、若き日から刻苦勉励の努力を積み重ねて、大変な高みに登る。これは世紀のサクセス・ストーリーであり、また、オナシスという稀代の実業家との悲恋がこれを彩る。
 その一方、酷使しすぎた心身、そして声は栄光と反比例して失われていく。そのテンポは、本来の老化以上に急速にすすみ、マリア・カラスの最盛期は短かった。
 シュワルツコップがオペラから年とともに歌曲に転じて、新たな、そして未踏の境地に行きついたことと全く別の人生航路をカラスは歩むが、53才での孤独で不遇な死は、彼女らしい直線的な生き様を貫いたという意味で、それ自身、ドラマツルギー性をもっている。
 本も映像もフランス作成だが、パリで死した彼女への関心と憧憬はこの国の人々にいまも鮮烈に焼き付いている証だろう。

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