土曜日, 4月 28, 2012

ケンペ



 ケンペの演奏にぐっときたのは、近くの名曲喫茶で偶然、アルプス交響曲を聴いたのがきっかけである。「いい演奏だな」と感じ「誰の演奏かな」と思案しいくつか候補をしばし考えてプレーヤーの近く、レコードの置いてあるところに足をはこんで確認した。
 ケンペ/ロイヤル・フィル(上のジャケット)だった。想定はまったくはずれており、その分、印象に強くのこった。

ブラームス:交響曲全集


 次にブラームスの交響曲全集を中古屋で買って聴いた。気にいった。以下はかつて書いたものの再録。
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 3枚組のブラームス交響曲全集を購入、聴いている。

① 交響曲第1番ハ短調op.681960/録音年、以下同じ)、 交響曲第3番ヘ長調op.901961年)

② 交響曲第2番ニ長調(1958年)、悲劇的序曲op.811961年)

③ 交響曲第4番ホ短調op.98 1958年)、ハイドンの主題による変奏曲op.56a 1957年)で、全てベルリン・フィルとの演奏である。

 ベルリン・フィルを基準にとれば、1、2番については、意志力の強さが前面にで、また低弦が、ここまで分厚いかと感嘆する迫力のあるベーム盤が、また、3、4番では、録音は正直悪いが、それがゆえに想像力を喚起してやまないフルトヴェングラーのデモーニッシュなこれも歴史的な名盤がある。

 それらに比べるとケンペの演奏はとても地味に聞こえる。また、オーケストラをぐいぐいと引っぱり緊張感をいやがうえにも高めていくような部分に乏しい。一聽、ともすれば、特色のない平板な演奏とも言われかねない。

 しかし、良く耳を澄ますと、アンサンブルが見事にあっていて、丁寧なスコアの読みを感じさせるし、ベルリン・フィルからまことに伸びやかな音楽を最大限引きだしている。自然な、素直な演奏であるとともに、ブラームスの「憂愁」が時にそこはかとなく伝わってくる。

 「凄い」演奏ではないかも知れないがとても「佳い」演奏であり、また、テンポの動きは実にしなやかで、オケの自らのもつ運動能力が存分に発揮されているようにも思われる。

 今日は、特定の指揮者ではなく、地肌の「ブラームス」の音楽を聴きたいという気分のときには得難い演奏である。しかも各曲の質が均一で、通番で聴いていて安定感がある。全集としてこれは大切な特質であるだろう。

Homage to Rudolf Kempe

 リストマニアをつくったのは06/08/29だから、もうだいぶ時がすぎた。それ以来、見直していないので古くなったがライン・ナップにはそう大きな変化はないだろう。 

次にブルックナーである。これもかつて書いたものの再録。



2006528日 ブルックナー/メモランダムⅣ⑨ー R.ケンペ
 ブルックナーで地味ながら味わい深い名演を残したのが、ルドルフ・ケンペ(Rudolf Kempe19101976年)です。ケンペは、古都ドレスデン近くに生まれ、地元の音楽学校で専門的な教育をうけたのち、1929年ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団にオーボエ奏者として入団します。当時の首席指揮者はブルーノ・ワルターでした。指揮者に転じたのち1950年にはドレスデン国立歌劇場の音楽監督として帰省します。
 冷戦下、1952年には「西側」のバイエルン国立歌劇場の音楽監督に就任します。一時米国でも活躍しますが、196063年のシーズンには、バイロイト音楽祭で『ニーベルングの指輪』を振っています。
 東独で専門的な教育をうけ実力で地位を築いたのち、「西側」に転じたキャリアはテンシュテットと共通します。また、その後、イギリス(ロイヤル・フィル、BBC交響楽団)でも高く評価され長きにわたり活躍しますが、1965-1972年チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団首席、1967年ミュンヘン・フィルの首席と、スイスをふくめ広くドイツ圏にもしっかりと軸足をおいて活動した指揮者です。1976年、チューリッヒにて逝去しますが、円熟の境地をもっと示して欲しかったと惜しまれました。ベイヌム同様、いささか蒲柳の質であったのでしょうか。
 イギリスでは巨匠トーマス・ビーチャムの跡目をつぎ、またミュンヘン・フィルではクナッパーツブッシュ時代とチェリビダッケ時代の中間に位置します。メインの活動の時期は、カラヤンやベームらの全盛期であり、ほかにもミュンシュ(ミュンシュがゲヴァントハウスのコンサート・マスター時代にケンペはオーボエ奏者として仕えています)、バルビローリ、アンセルメはじめそれこそキラ星の如く、国別にスペシャリティの高い領域では大家がいまだ各所で健在でしたから、ケンペの活動は相対的には地味に見えます。しかし、今日、振りかえってみると、ケンペは堂々のドイツ正統派の実力を有し、レコードでもドイツ古典派・ロマン派を中心に多くの成果を残しています。
 ブルックナーでは、4番、5番のシンフォニーをミュンヘン・フィルで、8番をトーンハレで聴くことができます。 5番が特に良い演奏だと思います。ブルックナーのこの曲への複雑な感情表出が、陰影を感じさせる深い響きから浮かび上がってきます。全体にデューラーの少し暗い色調の絵を観賞するような趣きがあります。また、ミュンヘン・フィルの重量感のある低弦が美しい第2楽章のアダージョは、これぞドイツ的な音の渋さ、くすみ、幾分の暗さが微妙にブレンドされていて、全くぶれず程良い一定のテうンポで持続していきます。聴いていてケンペならではの独自の音づくりには静かな感銘を受けます。

http://mituhirousui.wordpress.com/2006/05/28/%e3%83%96%e3%83%ab%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%8a%e3%83%bc%e3%83%a1%e3%83%a2%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%80%e3%83%a0%e2%85%a3%e2%91%a8%e3%83%bc%e3%80%80%ef%bd%92%ef%bc%8e%e3%82%b1%e3%83%b3%e3%83%9a/

(参考)
http://shokkou.blog53.fc2.com/blog-entry-331.html

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