Saturday, March 17, 2018

オペラはいいな 9 カラス(callas)とカラヤン(karajan)。

マリア・カラス エヴァー! ロマンティック・カラス

カラス(callas)とカラヤン(karajan)。20世紀を代表するクラシック音楽界の2大スターである。人気を博する容姿に恵まれ、抜群の音楽的才能を開花し、非常な努力のすえに最高のディーヴァと帝王と呼ばれる指揮者になった。
その2人の音楽的な邂逅はそう多くはない。仲もあまり良くなかったとも。しかし、カラヤンはカラスの才能を見抜き、特にその驚異的なレパートリーに最大級の関心をもっていたと思われる。

プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」全曲

◆プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」
 ニコライ・ゲッダ(テノール)
 ルチア・ダニエリ(メゾ・ソプラノ)他
 ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団 
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
 録音:1955年8月1-6日(モノラル)

カラヤンは、「蝶々夫人」でのドラマティックすぎるカラスにやや違和感をもっていたかも知れない。カラヤン好みのマダム・バタフライでは可憐さで一世を風靡したフレーニ(freni)を起用した。以下は「ラ・ボーエム」を含めた感想。

プッチーニ:歌劇「蝶々夫人」
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➡ フレーニはいかにもカラヤン好みの歌手である。磨きぬかれた長いレガートと子気味よい切れ味のフレーズの絶妙なバランス。1970年代、カラヤン流儀にあうソプラノ歌手の最右翼がフレーニで、持ち前の勘の良さに加えて、ステージ映えする可憐さも魅力であった。その精華の一つがこのマダム・バタフライである。ピンカートン役のパヴァロッティはフレーニ同郷の友人でピタリと息があっており、それにクリスタ・ルートヴィヒなど脇固めも万全。バックはウィーン・フィルで蕩けるような美演。録音は古くなったが、いまも本曲のベスト盤の一角をしめる。

プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」

プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」


プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」
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➡ 1988年9月25日、東京でのミラノスカラ座の引っ越し公演があり、この日、クライバー&フレーニで「ラ・ボエーム」を聴いた。さすが25年歌い続けた「はまり役」、フレーニは絶品であったが、当年53才のミミはやや貫禄がつきすぎているようにも思った。本盤は1972年10月の録音。最盛期のフレーニの記録である。これぞフレーニのミミの可憐さに惑溺する。
その後、フレーニの連れ合いになるギャウロフのコルリーネ、盟友といってよいパヴァロッティのロドルフォ、パネライのマルチェルロほかスーパー豪華な布陣。オペラ・サウンドを超越し、全編、最高の管弦楽曲を聴くような隙のないベルリン・フィルと圧倒的迫力のベルリン・ドイツ・オペラ合唱団。本曲の金字塔的名演である。


マダム・バタフライもラ・ボエームも、カラスの音質や自己主張の強い声よりもフレーニの方が向いていると思う。カラスにとってもメインの演目ではなかった。一方、カラヤン盤は、いまも燦然と輝く記録となっている。

ヴェルディ:歌劇「イル・トロヴァトーレ」全曲

◆ヴェルディ:歌劇『トロヴァトーレ』(2CD)
 ジュゼッペ・ディ・ステファノ(テノール)
 ローランド・パネライ(バリトン)
 フェードラ・バルビエリ(メゾ・ソプラノ)他
 ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)
 録音:1956年8月3-9日(モノラル)


ヴェルディ:歌劇《イル・トロヴァトーレ》[DVD]

プッチーニに続きヴェルディではどうか。「トロヴァトーレ」のカラス&カラヤン盤は録音こそよくないが、いまもベンチマーク盤の地位を失っていない。しかし、その後のカラヤンの本曲の取り上げ方はいささか異なる。以下は引用。

「1978年、ウィーン国立歌劇場で上演されたカラヤン指揮、演出による《トロヴァトーレ》。/この年の《トロヴァトーレ》上演は、1956年、1962年に続く3回目にあたるもので、1964年にウィーン国立歌劇場の音楽監督を退いて以来のカラヤンの登場は、聴衆を熱狂させたことでも知られています。/主役マンリーコには当時絶頂を誇るプラシド・ドミンゴ、レオノーラ役に演技派としても知られた美貌のソプラノ、カバイヴァンスカ、ルーナ伯爵には名バリトン、カプッチッリ、このオペラの要とされる重要なアズチェーナ役には、驚異的な集中力で怖ろしいほどの没入をみせたコッソットという、まさにドリーム・キャストを実現、この上演はテレビ中継を通じてヨーロッパ全土の音楽ファンも魅了した貴重な記録です。その映像収録は、カラヤンのオペラ上演で舞台装置を手掛けることが多いシュナイダー=ジームセンが担当。カラヤンの意図を的確に反映したカメラアングルも高く評価されています。 」

ヴェルディ:歌劇《イル・トロヴァトーレ》[DVD]

Donizetti;Lucia Di Lammermoor
 

カラヤンの膨大なオペラ録音のなかで、「トスカ」はさほど目立つ存在ではないかも知れない。しかし、カラスにとっては持ち駒中の飛車角にあたる重要な演目。カラス自身が多く歌ったことで、人口に膾炙したと言ってもよいように思う。カラヤンはここでは新進気鋭の黒人歌手を取り上げて、スターダムに乗せた。カラスは心中、穏やかならぬものがあったろう。以下は感想。


プッチーニ:歌劇「トスカ」

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➡ トスカといえばカラス盤 ベスト・オブ・オペラ 【メンブラン10CDセット】 プッチーニ:歌劇「トスカ」全曲(1964-65年録音) があまりにも有名。カラヤンはこれを十分に意識しつつ、ソプラノに新進気鋭のレオンティーン・プライスを登用し、新たなフローリア・トスカ像を描いてみせた。早くも1958年カラヤンは「アイーダ」でウィーン国立歌劇場に彼女を招きその才能を見抜き、「トスカ」では異例の抜擢を行った。
また、本曲では、心理描写などでタイトルロール以上に重要な相手役、カヴァラドッシには、カラス1953年盤同様、大物ベテラン、ジュゼッペ・ディ・ステーファノを起用、ほかの脇固めもジュゼッペ・タッデイ、カルロ・カーヴァ、フェルナンド・コレナの3人の深い響きのバス歌手を当てている。
カラス盤に替わるカラヤンの「新トスカ」を成功ならしめたのは、ウィーン・フィルのなんとも馥郁たる響き。メロディだけに耳を傾けても実に心地良い。


さて、次に「ルチア」。これぞ、2人の「競演」のもっとも主要なものだろう。ここでは、以下のようなエピソードが有名。以下はレコード会社および他のブログからの引用。参考になります。

「ファンの間では “ベルリン・ルチア"の愛称で名高い、カラスとカラヤン、2人の有名な共演記録です。カラヤンがスカラ座で初めて指揮と演出を受け持ったイタリア・オペラ「ルチア」は、センセーショナルな成功をおさめたことで有名ですが、これはその同じキャストによるベルリン音楽祭への引っ越し公演の録音です。絶頂期にあったカラスの超人的な名演は、2種のスタジオ録音とは異なる感動を呼び起こさずにはおりません。録音も奇蹟的に良好です。
(キングレコード)」

http://tower.jp/article/feature_item/2017/09/20/1103

「あるとき『ランメルモールのルチア』でフォン=カラヤンと共演したとき、カラスの意に反してフォン=カラヤンが有名な6重唱のアンコールを行いました。カラスは激怒。その後『ルチア』最大の見せ場“狂乱の場”をカラスはフォン=カラヤンからは見えづらい舞台の後ろの方の位置で、しかも客席に背を向けて歌ったそうで…ソプラノのソロがかなり暴れる曲ですから指揮者側としてはたまったもんじゃないですね(^^;
ちなみにこのときフォン=カラヤンはそれでもバッチリカラスに合わせたそうで後日和解したときにカラスがこのことを尋ねると、彼は「簡単だよ、息継ぎで肩が動くのを見て合わせたんだ」と答えたとか。プロの演奏家の世界は怖いですね… 」

http://basilio1929.blog.fc2.com/blog-entry-25.html

「カラスが「ルチア」を歌った最初は、1952年メキシコでディ・ステファノと組んだ3回の公演である。それから1959年11月のダラスにおける2度の公演まで、16回のべ43(or 46)度歌っている。」

EMI。1955年9月、ベルリン市立歌劇場におけるライヴ録音。モノラル。
カラヤンはカラスと録音では結構共演しているが、舞台では1954年スカラ座(1~2月)、1955年のこのベルリン、1956年のウィーン国立歌劇場での「ルチア」のみである。54年の共演の時には、その前年まで太っていたカラスがダイエットして別人のような美しさで素晴らしい歌唱・演技をみせたため大評判となった。 」

http://classic.music.coocan.jp/opera/italia/lucia.htm



◆ドニゼッティ:歌劇『ランメルモールのルチア』全曲

 マリア・カラス(ソプラノ)
 ジュゼッペ・ディ・ステーファノ(テノール)
 ロランド・パネライ(バリトン)
 ニコラ・ザッカリア(バス)、他

 ミラノ・スカラ座合唱団
 ベルリンRIAS交響楽団
 ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)

 録音:1955年9月29日、ベルリン(ライヴ、モノラル)



http://shokkou.blog53.fc2.com/blog-entry-343.html

「ルチア」でもカラス盤は多くあり、カラヤンよりもセラフィンのほうがカラスは歌いやすかったようだ。カラスにあわせてその良さを最大限引き出すという意味において、セラフィンは老練な名オペラ指揮者であった。見方をかえれば、観客をふくめて、プリマドンナ至上主義の最後を飾るのがカラスであり、歌手はもとよりプロデューサーといえども、指揮者の完全支配下にあるべきというのが、トスカニーニが導き、カラヤンが自ら実践したオペラにおける指揮者至上主義であった、とも言えよう。両者の考え方が異なる以上、別の道を歩むのは当然であったし、カラスの最盛期とカラヤンが自らの意思で、ウィーン国立歌劇場、ベルリン・フィルを駆使してオペラを差配できるようになった時期にはズレもある。一好事家としては、もっと両巨匠の「競演」を聴きたかった気もするが、1950年代中葉のこの歴史的「出会い」は、いまも語り草であることにはかわりない。



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