第5番では、まずシノーポリを取り上げたい。
◇シノーポリ
「奔流」と「理詰め」の絶妙なマッチング (amazon.co.jp)
ジュゼッペ・シノーポリ(Giuseppe Sinopoli)は、存命していれば21世紀のクラシック音楽界の風景を大きく変えたであろう逸材です。戦後の1946年イタリアのヴェネチア生まれ。ユダヤ系移民と言われますが、天才肌の音楽家です。2001年4月20日に演奏中、心筋梗塞で倒れ不帰の人となりました。
本盤は1985年1月ロンドンの教会での録音ですが、残響が豊かでマーラー特有の音の「奔流」が存分に味わえます。1904年のマーラー自身による初演もケルンの会堂でしたから残響はもしかすると当時も意識されていたかも知れません。
演奏そのものはシノーポリらしい分析癖、「理詰め」が随所で感じられ、あらゆる音が明瞭に再現されますが、それをうるさく感じさせないのは、この残響効果との絶妙なマッチングゆえかも知れません。激しいダイナミズムと腺病質なリリシズムが常に交錯しますが、見事な統一感は保たれ堂々とした名演です。シノーポリの抜群の才覚を知るうえでも必須の1枚だと思います。
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次は、やはりテンシュテットである。これはテンシュテットのなかでも際だった名演と思う。
◇テンシュテット
テンシュテット、<プロ・ドイツ的>なマーラー演奏 (amazon.co.jp)
それとの比較では、本盤(NDR交響楽団との1980年ライヴ)はいかにも高価に映るがその内容に注目。NDRはかつてのハンブルク・北ドイツ放送交響楽団であり、本演奏は当地ムジークハレでの収録。マーラーは若き日、カッセル王立劇場の楽長やハンブルク歌劇場の第一楽長をしており、当地での足跡も知られている。響きはいかにも北ドイツのオケらしく重厚だが、ライヴ演奏のスピード感ある乗りの良さと壮烈さは1988年盤を凌いでいるかも知れない。激しいダイナミズムと腺病質なリリシズムが交錯し、終楽章では次々にめまぐるしく展開する第1、第2、コデッタ主題との掛け合いの部分は圧巻。旧東独出身のテンシュテットの<プロ・ドイツ的>なマーラー像を聴きたいというファン向けと言えよう。
→ GUSTAV MAHLER EDITION も参照
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◇ショルティ
◇インバル
◇バーンスタイン
(参考)
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