土曜日, 8月 16, 2008

西本智実 ショスタコーヴィッチ 交響曲第5番


交響曲第5番ニ短調 作曲: ショスタコーヴィチ
ロシア・ボリショイ交響楽団“ミレニウム” 指揮: 西本智実
1812年*祝典序曲 作曲: チャイコフスキー
ロシア・ボリショイ交響楽団“ミレニウム”, ユルロフ合唱団 指揮: 西本智実

 3つの「臆断」(バリア)を意識しないようにしようと思って聴く。
第1に、女性指揮者であること。第2に、オーケストラの力量についての予断。第3に、ショスタコーヴィッチ解釈の最近の動向。とは言っても、あらかじめ、そうした過剰な潜在意識があるからこそ、それを排そうとしているわけだから、所詮は無理なのかも知れないが。

 第1の感想として、テンポに厳格、あくまでも沈着冷静で研ぎ澄まされた上質の感性が光る良い演奏であると思う。色調はどちらかというと全体に暗めであり、オーケストラの集中度は一定程度は感じ取れるけれど、かつてのムラヴィンスキー/レニングラードフィルに親しんできた自分などからすると、集中の強度はいまひとつで、その響きはいかにも薄く、かつ軽く感じる(第2の予断に抵触しているかな・・・)。

 第2に、2曲ともに解釈が「楷書」的にキチンとした印象で、紡がれる響きも清んでおり、それが印象に残る。弦楽器の響きは十分に美しく、管楽器は鳴らせすぎない(音が軽い)、打楽器は逆に強調しすぎのきらいの部分もあるが、指揮者の意図は十分に伝わっていて、全般には「制御」された演奏。

 西村は、おそらくスコアを読み尽くすタイプの相当な分析癖のある現代的な指揮者であり、このアプローチ法であれば、今後多くのレパートリーを無難にこなしていくだろう。その意味でちょっとシノーポリを連想させる部分もある。反面で、シノーポリほど天才肌ではない(もちろん、シノーポリのような大物指揮者は空前絶後だ)から、この「分析的」な演奏が好きでない向きからは、「解釈に面白みに欠ける」、「線が細い」といった批判も予測されうる。自分はシノーポリ、ポリーニ好みなので、この点の違和感はない。


 この演奏を聴く限り、いまの人気からみても、早晩、超一流のオーケストラとの録音もでるだろうが、技術的に優れたオーケストラとの共演を是非、聴いてみたいと思う。

(参考)公式サイトから引用
西本 智実 (指揮)
大阪に生まれる。

1994年 大阪音楽大学音楽学部作曲学科作曲専攻卒業。
1996年 ロシア国立サンクトペテルブルク音楽院に留学し、V.フェドートフ、I.ムーシンに学ぶ。 
1998年 文化庁芸術インターンシップ奨学金研修生に選ばれる。
1998年 京都市交響楽団を指揮し日本デビュー。
1999年 「出光音楽賞」を受賞。同年、ショスタコーヴィチ記念サンクトペテルブルクフィルハーモニアホールにてサンクトペテルブルク・フィル(旧レニングラードフィル)のメンバーによる室内管弦楽団を指揮した演奏会が絶賛を博す。
2000年 大阪市「咲くやこの花賞」受賞。
2002年 ABC音楽賞本賞、大阪21世紀協会特別賞受賞。
2002年 ロシア・ボリショイ交響楽団ミレニウムの首席指揮者に就任し(2002ー2004)その間、モスクワ音楽院大ホールにてニューイヤーコンサートを含む、多くの演奏会を行い、同楽団の来日公演を実現。更に、キーロフ(マリィンスキー)劇場の提携公演による関西歌劇団公演にてチャイコフスキー『エウゲニ・オネーギン』を指揮して大成功に導いた。


2003年 ハバロフスク・ダーンヌイ・ヴァストーク交響楽団に客演。サンクトペテルブルク放送交響楽団に客演。同交響楽団の日本公演を指揮した。更に、チャイコフスキー記念財団ロシア交響楽団の来日公演を指揮し、その的確な音楽性を認められ翌年同楽団の、芸術監督兼首席指揮者に就任した。10月にはムソルグスキー記念 サンクトペテルブルク国立アカデミックオペラ・バレエ劇場(旧レニングラード国立歌劇場)にてヴェルディの「椿姫」を指揮。その成果が認められ急遽シーズン内での指揮依頼を受け、「リゴレット」を指揮。その成功により首席客演指揮者に就任。

2004年5月 チャイコフスキー記念財団・ロシア交響楽団 芸術監督・首席指揮者に就任(2004-2007)。9月 ムソルグスキー記念 サンクトペテルブルク国立アカデミックオペラ・バレエ劇場(旧レニングラード国立歌劇場)首席客演指揮者に就任(2004-2006)。オペラ指揮者としての地位を確立している。

2005年8月「プラハ・プロムズ 2005 国際音楽祭」でチェコ・ナショナル交響楽団を指揮、11月には同交響楽団を率いて日本国内6都市で公演を行い、大成功を収めた。また11月6日国立チャイコフスキーの家博物館ホール(クリン市)にて、チャイコフスキー未完成交響曲「ジーズニ」第2楽章の初演を指揮。その模様はロシアや日本においてもニュース、新聞などでとりあげられた。

2006年5月7日 クリン市チャイコフスキーの家博物館記念ホールにて、チャイコフスキー未完成交響曲「ジーズニ」全楽章初演を指揮。その後チャイコフスキー記念財団ロシア交響楽団を率いて、日本国内7ケ所(8公演)来日公演。

2006年8月「第52回スプリット夏の音楽祭」「第57回ドゥブロヴニク夏の音楽祭」を指揮。10月にはハンガリー国立歌劇場来日公演で「トスカ」を指揮。

2007 年 2 月、モスクワ交響楽団ロシアフィルを指揮。 4 月にはオーストリアのリンツ、ブルックナーハウスにおいてブルックナー管弦楽団定期演奏会を好演、大成功をおさめ、ヨーロッパでの活躍の第一歩となった。 9 月 16 日モナコに於いてのモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団との公演では熱狂的な大成功を収め翌日の新聞では大きく取り上げられた。 10月プラハ国立歌劇場の来日公演で「椿姫」を指揮。聴衆に深い感動を与えた。

2008年4月、再びモスクワ交響楽団ロシアフィルを指揮し、好評を博す。6月昨年に続きモナコにおいてモンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団を指揮し、その後、来日公演11ヶ所(11公演)を行い、大成功を収める。10月20日、21日にはハンガリー国立歌劇場において、ブダペスト・フィルハーモニー管弦楽団を指揮する予定である。
 
国内においては1998年デビュー以来、新日本フィル、東京交響楽団、東京シティ・フィル、東京都交響楽団、東京フィル、日本フィル、読売日本交響楽団、神奈川フィル、オーケストラ・アンサンブル金沢、大阪フィル、大阪センチュリー交響楽団、大阪シンフォニカー交響楽団、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団、関西フィル、札幌交響楽団、名古屋フィル、広島交響楽団、九州交響楽団など国内の主要オーケストラを指揮し、好評のためチケットは完売になることが多い。

http://www.tomomi-n.com/profile.html

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