土曜日, 12月 13, 2008

諏訪内晶子 ブラームス





















ウイークエンドシアター 諏訪内晶子&ニコラ・アンゲリッシュ デュオ・リサイタル
BShi 2008年12月13日(土) 0:18~2:00(102分) 

                       
「バイオリン・ソナタ 変ロ長調 K.454から第1楽章、第3楽章」モーツァルト作曲                              「バイオリン・ソナタ」ドビュッシー作曲
「バイオリン・ソナタ 第2番 イ長調 作品100」ブラームス                              「バイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 作品108」ブラームス                              「ハンガリー舞曲 第2番 ニ短調」ブラームス
「バイオリンとピアノのための5つのメロディー作品35b から 第1曲」プロコフィエフ

(バイオリン)諏訪内晶子
(ピアノ)ニコラ・アンゲリッシュ                                           ~収録: 2008年4月10日東京・サントリーホール~
 
 毎年NHKが企画・主催しているクラシック音楽の祭典「NHK音楽祭」。 今回のテーマは「魅惑のバイオリン 魂のコンチェルト」。 NHKホールを舞台に世界一流のバイオリニスト、指揮者、そしてオーケストラによる夢の共演が実現する 「NHK音楽祭 2008」の第四夜を放送する。

 1. 交響詩「フィンランディア」 作品26   ( シベリウス作曲 ) 2. バイオリン協奏曲 ニ短調 作品47 ( シベリウス作曲 ) [ アンコール ]   無伴奏バイオリン・ソナタ 第3番 からラルゴ( バッハ作曲 ) 3. 交響曲 第2番 ニ長調 作品43( シベリウス作曲 ) [ アンコール ]   悲しいワルツ ( シベリウス作曲 ) 

バイオリン:諏訪内 晶子 管弦楽:フィルハーモニア管弦楽団 指 揮 :ウラディーミル・アシュケナージ        
収録: 2008年12月8日, NHKホール

 
CDで聴いた特には高音は美しいが、もう一歩迫力には欠けると感じたシベリウスが、アシュケナージの熱っぽい名サポートで生き生きと奏でられ、コンチェルトも良かった。
 しかし今日、しみじみと聴いたのは(掲載順序とは逆だが、その後演じられた)ブラームスである。写真は「営業用」に微笑を浮かべているが、諏訪内がコンサートではほとんど笑わないのが映像で見ていて良くわかる。演目終了後の挨拶もあっさり、さっぱりしていてベタつくところが全くない。
 名器「ドルフィン」からの連想で、そういえば前の持ち主ハイフェッツの苦みばしった恬淡とした対応が思い出されるが、表情を抑えるのは諏訪内自身のポリシーなのかも知れない。
 だが、演奏は少しく違う。ぼくはブラームスのバイオリン・ソナタは結構聴いているつもりだが、年寄りの枯れた演奏でなく、壮年期のヴァイオリストでこのように美しくも<感興>あるブラームスはなかなか耳にできないと思った。
 どの曲でも「笑わない」、冷静で沈着で、もしかすると感性がいつも「醒めている」ような諏訪内のブラームスは、けっして乾いてはいないし無機質的でもない。ハイフェッツで感じたことと同じく、大仰ではない仄かな悲しみ、それを表現する暖かみ、ぬくもりは確かにあるように思う。
 抑えに抑えても(あるいはそうすることによってこそ逆に自然に)発散する、その曲に確固と内在し聴衆に伝播していく作曲家の深い<感興>が今日の演奏では見事に引き出されていたという気がした。

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