Tuesday, August 11, 2015

ストラヴィンスキー Stravinsky 古き名盤を探る

Igor Stravinsky: Orchestral Works, Violin Concerto, Oedipus Rex, The Rake's Progress
http://www.amazon.co.jp/Igor-Stravinsky-Orchestral-Concerto-Progress/dp/B003BF8V3O/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1439356298&sr=1-1&keywords=stravinsky+membran

自作自演集をふくむ興味深い編集

ストラヴィンスキーの古い録音だが、なかなか興味深い編集である。全体を4つに分けると、【第1グループ】は3大バレエで、マルケヴィッチ、アンセルメ、モントゥーと3人の鬼才、大御所が振っている。【第2グループ】はバーンスタインとカラヤンの聴きくらべで、組曲「兵士の物語」と歌劇「エディプス王」を引っさげている。【第3グループ】は自作自演集。ピアノと指揮で1930〜51年の録音。最後の【第4グループ】はそれ以外のアラカルトで、イゴール、ソウリマ2人のピアノ・デュオも収録されている。
さて、作曲家の自作自演が、聴くうえでのベスト盤かというと必ずしもそうではない。ラフマニノフなども餅は餅屋で、優れた演奏家の方が聴いていて感興をうける場合も多い。ストラヴィンスキーも結構、演奏(家)に好みがあって煩型だったようだが、自作自演集は「素」(つまり作曲家の耳の奥で鳴っている音楽)を忠実に再現していようが、聴衆をまえにした再現芸術としては、やや面白みに欠けるところもあるように思う。
なお、音源が古いので、より音質のよい演奏を楽しみたければ Ballets & Symphonies が小生のお奨めである。

(収録情報)
【3大バレエ】
◆春の祭典:マルケヴィッチ/フィルハーモニア管(1951)
◆ペトルーシュカ:アンセルメ/スイス・ロマンド管(1949)
◆「火の鳥」組曲:モントゥー/コンセルトヘボウ(1950)

【バーンスタインVSカラヤン】
(バーンスタイン)
◆組曲「兵士の物語」:オン・ザ・タウン・オーケストラ(1947)
◆管楽八重奏曲:ボストン交響楽団(1947)
(カラヤン)
◆歌劇「エディプス王」:ニコライ・ゲッダ(T)、マグダ・ラースロー(M.S)、マリオ・ペトリ(Br)、ネストーレ・カタラーニ(Bs/Br)、アルド・ベルトッチ(T) ローマRAI管(1952)
◆カルタ遊び:フィルハーモニア管(1952)

【自作自演集】
◆カプリッチョ:イゴール・ストラヴィンスキー(P)、アンセルメ/ストラーラム・コンサート管(1930)
◆詩篇交響曲:ワルター・ストラーラム・コンサート管、アレクシス・ヴラソフ合唱団(1931)
◆協奏曲「ダンバートン・オークス」:ダンバートン・オークス祝祭管(1947)
◆ミューズをつかさどるアポロ:RCAビクター管(1950)
◆歌劇「放蕩者のなりゆき」:エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)、ロバート・ランスヴィル(T)、ラファエル・アリエ(Bs)、オタカール・クラウス(Br)、ネル・タンジェマン(A)、ジェニー・トゥーレル(M.S)、ユグ・キュエノー(T)他 ミラノ・スカラ座管(1951)

【その他】
◆ナイチンゲールの歌:サバタ/ストックホルム・フィル(1947)
◆ディヴェルティメント(バレエ「妖精の口づけ」より):フリッチャイ/RIAS交響楽団(1957)
◆ヴァイオリン協奏曲:アルトゥール・グリュミオー(Vn)、フリッチャイ/ケルン放送響(1951)
◆2台のピアノのための協奏曲:イゴール、ソウリマ・ストラヴィンスキー(P)(1938)
◆モーツァルト:2台のピアノのためのフーガ K.426:同上
◆ペトルーシュカからの3章:アルフレッド・ブレンデル(P)(1955)

フランク:交響曲二短調&ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ(期間生産限定盤)
 

「ペトルーシュカ」の真髄にふれる

The Great Conductors からの1枚、「ペトルーシュカ」をなにげなく聴き、本当に驚愕した。たっぷりと原色の油絵具をとり、これを思うさまカンヴァスに叩きつけるような演奏。リズムがあたかも自立的な意思をもって動き出すような躍動感に、めくるめく繰り出されるメロディが乱舞する。最近の整いすぎた大人しい演奏とは全く異質な、トリッキーで自由な動態の面白さ、もろものの抑圧から一気に解き放たれたようなスカット感―はじめて「ペトルーシュカ」の真髄にふれた気がした。初演指揮者モントゥーの面目躍如。

Petrouschka
 

アンセルメの芸術  もの狂い一歩手前の危ない平衡感覚

The Great Conductors からの1枚、「春の祭典」(第1部)を聴く。凄まじいまでの凝縮感、たくまざる深き心理描写、そして、もの狂い一歩手前の危ない平衡感覚、こうしたものが矢を射るように迫ってくる。アンセルメのストラヴィンスキーのライヴが伝説の語り草になっていたことが実感できる気がした。良く言われるスイス・ロマンド管は二流オケをいう評価はアンセルメ時代にはなかった。当時は名手も揃っており見事な演奏。1959年のステレオ録音。

20th-Century Portraits-Falla Bartok Stravinsky by MAAZEL / BERLIN PHIL ORCH (2014-07-08) 【並行輸入品】
 

若きマゼール 才気煥発たる「火の鳥」

The Great Conductors からの1枚、「火の鳥」組曲、「三角帽子」ほかを27才の若きマゼールで聴く。「火の鳥」は、ストラヴィンスキー:作品集 でのカラヤン他とのカップリングでも良く聴かれているもの。1957年のドイツ・グラモフォンの初期ステレオ録音だが、クリアなサウンドで古さをあまり感じさせない。細部まで目配りのゆきとどいた慎重な解釈の一方、音の強弱のアクセントの付け方とテンポの振幅は大胆でメリハリの利いた演奏。鋭利な刃物のような切れ味に才気煥発ぶりが感じられる。「三角帽子」の4曲も生気の満ちている。

Stravinsky: Le Sacre Du Printemps
 

春の祭典、先駆的なオーマンディの快挙

 「春の祭典」は1955年の録音。同曲の名盤といえば、マルケヴィッチ盤 ストラヴィンスキー:春の祭典/スキタイ組曲 がでたのが1959年、カラヤン盤 ムソルグスキー:展覧会の絵/ストラヴィンスキー:春の祭典 が1963年、ブーレーズの旧盤 ストラヴィンスキー:春の祭典/ペトルーシュカ が1969年である。マルケヴィッチ盤よりも4年もはやくオーマンディがこの曲を録音していたその先駆性にまず驚く。

  次にその演奏だがなんとも見事なもの。このオーマンディの解釈をストラヴィンスキーは気にいらず酷評したらしい。また、1959年、オーマンディからストラヴィンスキーへ直接作品を委嘱するも返事すら来なかったというエピソードがあるとのことだが、実は作曲家がもっとも手厳しく批判したのはカラヤンの演奏だったという。そうした意味では、原曲を素朴に演奏することを最善とした作曲家の意図に反して、オーケストラの技巧がまさり、とても色彩的でかつリズミックな迫力に富むという点で、オーマンディ、カラヤン両者に共通するものがあるのかも知れない。

  あらゆる音が明確に浮かび上がり、全体のバランスも崩れることなく、テンポ設定も恣意性を感じさせず、かつ音質が明るく弦楽器の響きがとりわけ美しい、いま聴けばこれはオーマンディの快挙といってよい名録音であると思う。

→ Eugene Ormandy Conducts 20th Century Classics での購入も一案

The Russian Masters of Great Emotions in Music
 
The Russian Masters of Great Emotions in Music (10CD)  ボーナス盤を聴く
 

重厚な内容、この価格で堀り出し物の名盤も・・・

 
◆ストラヴィンスキー:
・『ペトルーシュカ』〜ロシアの踊り(抜粋);ストコフスキー/ベルリン・フィル(1957年)
・『マヴラ』〜パラシャのアリア、『妖精の口付け』〜パ・ドゥ・ドゥ:ロストロポーヴィチ(チェロ)、アレクサンドル・テデューヒン(ピアノ)(1960年)
・サーカスポルカ:アンドール・フォルデス(ピアノ)(1951年)
 
Ballets & Symphonies
 

ストラヴィンスキー/バレエ、管弦楽曲を手堅くカヴァー

 3大バレエはシャイー、デュトワの定評ある演奏で固めている(特にデュトワは秀逸)。それ以外は、下記のとおりシャイー、アシュケナージが中心でいずれもストラヴィンスキーは得意の演目。奇を衒わず、しかしオーケストラ・コントロール抜群のシャイーとマザー・ランドのロシアもので燃焼度の高いアシュケナージ、両者の演奏スタイルこそ異なるが、どちらも楽しめる。あとの3曲はハイティンク、ビシュコフが振っている(1984-95年にかけてのデジタル録音)。
 このセットのもうひとつの楽しみ方はオケの競演。コンセルトへボウ、クリーヴランド、ベルリン・ドイツ、モントリオール、サンクト・ペテルブルク、ベルリン・フィル、パリ管弦楽団の7大オケの聴き比べも一興。この廉価で、ストラヴィンスキーのバレエ、管弦楽曲をここまでカヴァーできるのは有難い。

(指揮者別収録内容)

◆シャイー:
『ペトルーシュカ』(1947年版),『プルチネッラ』、『ミューズを司るアポロ』/ コンセルトへボウ
『春の祭典』/ クリーヴランド管弦楽団
『うぐいすの歌』、『詩篇交響曲』/ ベルリン放送交響楽団

◆デュトワ:
『火の鳥』全曲 / モントリオール交響楽団
 
◆アシュケナージ:
『結婚』、『ムーヴメンツ』、『カルタ遊び』、『オルフェウス』、『アゴン』、『カプリッチョ』、『交響曲ハ長調』、『3楽章の交響曲』、『管楽器の交響曲』/ ベルリン・ドイツ交響楽団
『花火』、『交響曲変ホ長調』、『幻想的スケルツォ』/ サンクト・ペテルブルク・フィル

◆ハイティンク:
『バレエの情景』、『ロシア風スケルツォ』/ ベルリン・フィル

◆セミヨン・ビシュコフ:
『妖精の口づけ』/ パリ管弦楽団

 

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