日曜日, 1月 03, 2021

シノーポリ マデルナ 管弦楽集

 

『クァドリヴィウム』、『アウラ』、『ビオグランマ』 シノーポリ&北ドイツ放送交響楽団


【以下は引用】
マデルナについて

1920年4月21日生まれ、伊・ヴェネツィア出身の作曲家/指揮者。ローマの音楽院でピアノ、ヴァイオリン、指揮、作曲を学び、地元のヴェネツィア音楽院でジャン・フランチェスコ・マリピエーロに作曲、ヘルマン・シェルヘンに指揮を師事。55年にルチアーノ・ベリオとともにイタリア国営放送に音響学スタジオを設置。以降、指揮者としての比重が高まり、シカゴ響の主任指揮者やマサチューセッツ州タングルウッドのバークシャー音楽センターの音楽監督などを歴任。主にオペラや伝統的な管弦楽曲を指揮し、アルバムや、放送録音を残す。73年3月に肺がんと診断され、同年11月13日に独・ダルムシュタットにて死去。53歳没。

2017/05/17 (2017/05/17更新) (CDジャーナル)


現代作品の優れた指揮者として、また電子音楽の先駆的存在として著名なマデルナ(1920~1973)であるが、作曲家としては意外に作品が知られていない。晩年の3大作が収められたこのCDは、彼の音色やフォームに対する優れた資質を伝える貴重な記録である。

駿河屋 -<中古>ジュゼッペ・シノーポリ(指揮) 北ドイツ放送交響楽団 / マデルナ:アウラ、ビオグラマ、クァドリヴィウム(クラシック) (suruga-ya.jp)




シノーポリ/マデルナ:管弦楽曲集

【収録情報】
マデルナ:
・クァドリヴィウム~4人の打楽器奏者と4つの管弦楽群のための (1969)
・アウラ(気)~管弦楽のための (1972)
・ビオグランマ~大管弦楽のための (1972)
 北ドイツ放送交響楽団
 ジュゼッペ・シノーポリ(指揮)

 録音時期:1979年8月31日-9月4日
 録音場所:ハンブルク、ラールシュテット音楽スタジオ1
 録音方式:ステレオ(セッション)
 原盤:DG

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現代音楽の洗礼をうけたのは、1970年大阪でのEXPO’70においてであった。『モーゼとアロン』の初演も経験した。半世紀以上も前になる。たしか、シュトックハウゼンの「3群のオーケストラのためのグルッペン」を聴いた気がするが判然としない。電子音楽、シンセサイザーが普及する以前であり、強い衝撃をうけたはずだが、高校生のなにもわからぬアモルフな感性ゆえに、わりと意外にスッと入ってきた気がした。シュトックハウゼンの絵はがきを買ったかもらったか、暫くは大事に保存していた。もしかするとマーラーの第9番をなんども聴いていたせいかも知れないが、時代感覚として拒絶感がなかった。

『クァドリヴィウム~4人の打楽器奏者と4つの管弦楽群のための』での面白さは、遠近感である、4つの打楽器が分散配置され、それがはじめは4極を形成して独自の方向から音響を響かせるが、おのおのの自己主張ののち、一種の掛け合いをはじめる。アイデアとしてはラヴェルの『ボレロ』、バルトークの『管弦楽のための・・・』や『弦チェレ』を連想させる部分もあるが、より大胆、かつ色彩的である。狭いオーケストラ空間から解放し、とてつもなき巨大な空間を竜がのたうち回るように、現代的なファンタジックな音束が浮遊するような試み。

『アウラ』では、空気ではなく水中を遊泳するような感覚がある。きらめく音が水の波動を意識させる。瞑目して耳を澄ませば、それは深海へ入り込む鋭い光線や、逆に水中から海面の輝きを仰ぎ見るときに感じる透明感にむすびつき、感性を鋭く刺激する。水中にはいつ生命を奪われるかわからない名状しがたい恐怖がある。トランペットの亀裂的な響きやホルンの低音がそれを倍加させる。

『ビオグランマ~大管弦楽のための』は前衛的ピアノ協奏曲とも、打楽器のための、といった役割の意識とマデルナ得意のオーボエの深い、思索的な音質との「融合」と「競合」が交錯する摩訶不思議な作品。

シノーポリの演奏には、対象をつき詰めて表現することで、その師マデルナへの敬慕を感じる。
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