土曜日, 5月 20, 2023

リスト・ソロ・レコーディングス  クラウディオ・アラウ



  1960年代の終わりから80年代はじめまで、アラウのリスト録音記録。50年代初頭からアラウはリストを得意としており(  Serious Wizard of Sound  )、彼にとっては晩年にいたるまで、ベートーヴェンやショパンとともに一貫してリストでも定評があった。

  「超絶技巧練習曲」のような技量を発揮する演目のほか、「巡礼の年」のようなポエティックな曲とも、アラウは豊富な経験からしかと手中にしている。前者ではことさらに技巧を誇示せず、むしろテンポをしっかりと保ち、後者では大向こうの受け狙いとは一線を画し、あえて過度な感情移入を抑制しているように感じる。これは、技巧的な曲は華麗に、詩的な曲は叙情たっぷりにという「のめり込み」タイプではなく、あくまでも沈着冷静な「中庸」型。抜群の安定度が持ち味であり、これぞ晩年までリストを十全に弾きえた大家アラウ流ともいえようか。

《収録情報》
【CD1】
・『ダンテを読んで』(録音:1982年4月 デジタル)
・ショパンによる6つのポーランドの歌 S.480(録音:1982年4月 デジタル)
 (おとめの願い/春/指環/バッカナール/私のいとしい人/家路)
・詩的で宗教的な調べ S.173〜『葬送』(録音:1982年4月 デジタル)
【CD2】
・超絶技巧練習曲 S.139(全12曲)(録音:1974年3月、11月、1976年11月 ステレオ)
【CD3】
ヴェルディのオペラの主題による演奏会用パラフレーズ(録音:1971年11月 ステレオ)
・『リゴレット』〜リゴレット・パラフレーズ S.434
・『エルナーニ』〜演奏会用パラフレーズ S.432
・『トロヴァトーレ』〜ミゼレーレ S.433
・『第1回十字軍のロンバルディア人』〜めでたし、マリア S.431
・『アイーダ』〜神前の踊りと終幕の二重唱 S.436
・『ドン・カルロ』〜祝典の合唱と葬送行進曲 S.435
・『シモン・ボッカネグラ』〜シモン・ボッカネグラの回想 S.438
【CD4】
・ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178(録音:1985年6月 デジタル)
・詩的で宗教的な調べ S.173より『孤独のなかの神の祝福』(録音:1970年3月 ステレオ)
・3つの演奏会用練習曲 S.144(録音:1974年5月、1976年11月 ステレオ)
 (悲しみ/軽やかさ/溜め息)
【CD5】
・『巡礼の年』第2年『イタリア』 S.161〜ペトラルカのソネット第104番(録音:1969年3月 ステレオ)
・バラード第2番ロ短調 S.171(録音:1969年3月 ステレオ)
・『巡礼の年』第2年『イタリア』 S.161〜ペトラルカのソネット第123番(録音:1969年3月 ステレオ)
・『巡礼の年』第1年『スイス』 S.160〜『オーベルマンの谷』(録音:1969年3月 ステレオ)
・忘れられたワルツ第1番 S.215(録音:1969年3月 ステレオ)
・『巡礼の年』第3年 S.163〜『エステ荘の噴水』(録音:1969年3月 ステレオ)
・2つの演奏会用練習曲 S.145(録音:1970年3月 ステレオ)
 (森のざわめき/小人の踊り)




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