土曜日, 5月 20, 2023

Piano Music: Essential Classics Satie











5つ星のうち5.0

サティのピアノ曲。誰しもが様々な場で耳にしているのだが、そのイメージを語ることはたやすくない。受ける印象のひとつは、時間の交錯である。陽光差し込む早朝と沈思にふける深夜。これが時間の経過とともにあるのではなく、曲によって交錯する。ゆえに時間の観念に戸惑い、いまがいつか「行方不明」になるような錯覚がある。もう一つは弱音と高音の綾なす不思議な交錯である(逆に言えば強音と低音の抑制と言っていいかも知れない)。そこから玲瓏とした独特の音楽美が表現される。

なにげなく聴けばとても心地よく、集中して耳を澄ませば思索的な世界に引き込まれる。ダニエル・ヴァルサーノとフィリップ・アントルモンの演奏は深く美しい。また、一瞬吹き上げるパッションもある。2人のピアニストは思索的な世界にリスナーを寄せる名手であると思った。

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 Various: Un Siecle De Musique  にて聴取

 サティの思索的世界への誘い (amazon.co.jp)



1969~1986年の収録されたサティのCD6枚組ピアノ曲集。第一人者によるほぼ全曲に近いカヴァー集をこの価格で入集できるのは幸い。以下は便宜的な収録情報を参考まで。

<収録情報(作曲年)>
『アレグロ』
『ワルツ=バレエ』 - 1885年
『幻想曲=ワルツ』 - 1885年
『オジーヴ』(尖弓形)- 1886年
『1886年の3つの歌曲』
『3つのサラバンド』 - 1887年
『3つのジムノペディ』 - 1888年
『6つのグノシェンヌ』- 1890年
『薔薇十字教団最初の思想』 - 1891年
『星の息子への前奏曲』 - 1891年
『薔薇十字会』『薔薇十字会の鐘』 - 1892年
『ナザレ人の前奏曲I&II』 - 1892年
『エジナールの前奏曲』 - 1892年?
『祈り』 - 1893年から1895年(断片)
『ヴェクサシオン(嫌がらせ)部分演奏』- 1893年から1895年
『ゴシック舞曲』(副題「我が魂の大いなる静けさと堅固な平安のための9日間の祈祷崇拝と聖歌隊的協賛」)- 1893年
『天国の英雄的な門への前奏曲』 - 1894年
『冷たい小品集』 - 1897年
『舞踊への小序曲』 - 1900年
『貧しき者の夢想』(Robert Cabyによる校訂)- 1900年
『世俗的で豪華な唱句』 - 1900年
『愛撫』 - 1897年
『あなたが欲しい(ジュ・トゥ・ヴ:女声版)』『あなたが欲しい(ジュ・トゥ・ヴ:男声版)』『あなたが欲しい(ジュ・トゥ・ヴ)』 - 1900年
『エンパイヤ劇場の歌姫(アメリカ風間奏曲)』
『金の粉』
『ピカデリー』
『夢みる魚』
『びっくり箱』 - 1899年
『1906-1913年の6つの小品』
『パッサカリア』 - 1906年
『12の小コラール』 - 1906年
『2つの夜の夢』 - 1911年
『新・冷たい小品集』 - 1906年?
『犬のためのぶよぶよした前奏曲』 - 1912年
『犬のための本当にぶよぶよした前奏曲』 - 1912年
『自動記述法』 - 1913年
『ひからびた胎児』 - 1913年
『あらゆる意味で、でっちあげられた数章』 - 1913年
『でぶっちょ木製人形へのスケッチとからかい』 - 1913年
『古い金貨と古いよろい』 - 1913年
『童話音楽のメニュー』
『絵のような子供らしさ』
『メデューサの罠のための7つの小舞曲』
『操り人形は踊っている』
『世紀ごとの時間と瞬間的な時間』 - 1914年
『嫌らしい気取り屋の3つの高雅なワルツ』 - 1914年
『最後から2番目の思想』 - 1915年
『スポーツと気晴らし』- 1914年
『官僚的なソナチネ』(全3楽章)- 1917年
『3つの夜想曲』『第4と第5の夜想曲』- 1919年
『梨の形をした3つの小品(4手連弾)』- 1903年
『不愉快な概要(4手連弾)』- 1908年から1912年
『馬の装具で(4手連弾)』- 1911年
『3つの組み立てられた小品(4手連弾と小管弦楽団)』
『風変わりな美女(管弦楽曲、または4手連弾)) - 1920年
『若い令嬢のためにノルマンの騎士によって催された祝宴』
『ゆがんだ踊り』
『悲しい道化師の小曲』
『第1のメヌエット』
『スケッチとクロッキーの手帖』
『モンマルトルの素描とスケッチ』
『あやなすプレリュード』
『心にふれる秘密の音楽』
『うるさいいたずら』
『新・3つの童話音楽』
『潜水人形』
『ブロンズの彫像』
『3つの恋愛詩』
『やさしく』
『4つのささやかな歌曲』
『別の3つの歌曲』
『伊達男』
『軍旗敬礼への賛歌』
『言葉の無い3つの歌曲』
『帽子屋』
『乗合バス』
『医者のところで』
『いいとも、ショショット』、

【演奏】
アルド・チッコリーニ(ピアノ)、
ガブリエル・タッキーノ(ピアノ:4手作品)、マディ・メスプレ(ソプラノ)、ニコライ・ゲッダ(テノール)、ガブリエル・バキエ(バリトン)

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