土曜日, 7月 19, 2008

コンヴィチュニー ブルックナー 5番

ブルックナー 交響曲第5番 変ロ長調 コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 録音:1960年DENON(国内盤 COCO-75402/3)  コンヴィチュニーのブルックナーの交響曲は、 第2番(1951年モノラル) ベルリン放送交響楽団 第4番(1961年ステレオ) ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団          他に、ウイーン・フィル、チェコ・フィルの録音もあり 第5番(1960年ステレオ) ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 第7番(1958年モノラル) ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 第8番(1959年モノラル) ベルリン放送交響楽団 第9番(1962年ステレオ) ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 などが知られている。 でも、この人は地味だから発売されていないだけで、ライヴを含め、優れた音源はもっとありそうにも思う。 http://shokkou3.blogspot.com/2008_05_01_archive.html

 ぼくは、コンヴィチュニーでは8番はよく聴くが、今日は最近入手した5番をかける。どっしりとした厚みある音響が満ちていく。テンポは第3楽章を除き、全般に鷹揚としており、ゲヴァントハウスの弦楽器のとても自然で滑らかなれど、どことなく淡くくすんだ音色が実に魅力的である。管楽器の音色も8番とは違ってけっして出すぎず、刺激的でなく安定しており、そして両者の融合は見事である。

 全体に、8番同様、意外性のないオーソドックスな解釈で、誰が演奏しているかを当てることは難しいような運行なのだが、個々の響きが重畳的に厚みをもって、徐々に迫ってきてだんだん感動へのエネルギーにこれが変換されていくように感じる。音楽の進行とともに、思わず引きこまれていく不思議な感興が湧いてくる。

 コンヴィチュニーのほかの演奏をあまり聴いていないので、その「流儀」について触れることはできないが、ことブルックナーに関する限り、(ほかの人の優れた演奏でも書いてきたとおり)「原曲のもつ良さを作為なく、あくまで自然に表現さえすれば、感動は自ずと随伴する」という確信に満ちているような演奏。そして、それを可能ならしめているのは、質量ともに「名器」と言うべき、歴史と伝統に培われた固有の音響をもったこの古きオーケストラを守り、育ててきた指揮者自らの強い自信があるからなのだろう。


👉  忘れられない名指揮者

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