金曜日, 4月 02, 2010

ブルックナー vs フルトヴェングラー 交響曲第7番

交響曲 第7番 ホ長調(改訂版) ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー(指揮) 録音:1949年10月18日、ベルリン・ダーレム、ゲマインデハウス

 ブルックナーの後期3交響曲は、その楽想の共通性も強いが、各楽章の「構成」にこそ特色がある。特に、7番は前半に頂点があり、第1楽章の終結部は強く締めくくられ、第2楽章の有名はアダージョのあと、第3楽章はワーグナー的な躍動感にあふれ、終楽章はブルックナーの他の交響曲のフィナーレに比べて軽量、快活そしてなにより短い。8番は逆に圧倒的な重量感のある第4楽章にむけて、高い山を登攀していくような感じであり、第3楽章までには一定の忍耐がいる。未完の9番は、よりベートーヴェンの9番を意識して書かれているように思うが第4楽章を欠いているので、作曲家の最終的な意図は闇の中である(もっとも、作曲家が希望したテ・デウムに代替すれば、ベートーヴェン同様、「合唱」が付加される)。

 フルトヴェングラーの7番を聴く。第1楽章の再現部からコーダへの盛り上げ方は圧倒的でこの楽章だけで完結感、充足感が強い。アダージョの沈潜もフルトヴェングラーらしく深い味わいを湛えている。第3楽章はワーグナーのワルキューレの騎行を連想させる。振幅があり実にスケールの大きい構えである。第4楽章は一転、速度を早め軽快に締めくくる。全般に堂々とした演奏であり、この時点(1949年)での指揮者(そしてリスナー)へ強烈な示唆を与える規準盤であったろう。

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