Friday, August 25, 2017

リヒテル プロコフィエフはお任せ  Sviatoslav Richter

プロコフィエフ:交響曲第1番 ニ長調「古典」 他
プロコフィエフ:交響曲第1番 ニ長調「古典」 他

Prokofiev: Piano Concerto No. 1 - Myaskovsky: Piano Sonata No. 3 - Scriabin: 12 Études

プロコフィエフの5曲のピアノコンチェルトの劈頭を飾るのみならず、作曲家、ピアニストとしてデビューを果たした記念すべき作品。曲想はゆたかでさまざまなメロディが盛り込まれているが、不協和音の挿入によって、それらは中断され、リズミックなピアノ(高い鍵が亀裂的な効果)が激しく乱舞する。
わずかに15分にも満たない曲ながら小作品といった感じはなく、プロコフィエフの天才的な感性と今後の展開を予測させるにたる充実感がある。

リヒテルの演奏が凄まじい。強靭な打鍵は彼の特徴だが、弱音のニュアンスづけすべてに説得力があり、ゆえに叙情性にぐらりと惹きつけられ、されど次の強音で突き放されといった具合にリスナーは思うさま翻弄される。そこにスリリングな醍醐味を感じる。名人アンチェルはここでは控えめな受け手に終始している。

→ Sergej Prokofiew - Chaming Eccentric にて聴取


プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第5番、ピアノ・ソナタ第8番、他
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第5番、ピアノ・ソナタ第8番、他

ピアノ協奏曲第5番(1932年初演)は面白い作品である。リズムの躍動がメロディを上回り、戦争ソナタ(リヒテルによる1943年初演)の原型、その先行オーケストレーション版といった感じすらある(特に第3楽章)。
そうした成り立ちからは、リヒテルが本曲を積極的に取り上げ、秀抜な録音(音もこの時代としては意外に良い鮮度)を残していることも首肯できるだろう。

作品の密度が高く、リヒテルの迫力あるピアノの威力も十分。第4楽章ラルゲットはロシアの血であろうか、ラフマニノフと共通するようなリリシズムを感じる。終楽章は気忙しい展開ながら、前衛音楽的な冴えを随所でみせて、プロコフィエフの創造性の高さを実証している。リヒテルの集中力も凄い。

→ The Russian Masters of Great Emotions in Music にて聴取


Sonata for Piano 6 7 & 9
Sonata for Piano 6 7 & 9

ピアノ・ソナタ、6番までは作曲家自身によって、7番、9番はリヒテルによって初演された。つまりこれは作曲家公認の初演ピアニストによる曲集といえる。以下はもっとも有名な7番について。
本曲にはじめて接したのは、アルゲリッチ来日時のライヴにおいてであった。このパワー全開の難曲は女性には不向きと言われつつ、これをあっけらかんと弾ききった彼女には当時「女リヒテル」の異名があった。裏をかえせば、ご本家リヒテルの威令が行きとどいていたというエピソードでもある。

第1楽章、リズムが律動し、そこに深い闇をしめすようなメロディが絡みついてくる。「動」のリズムと「静」のメロディが拮抗するが、前者が後者を圧倒しつつも、暗い無機質的なメロディはけっして消えることなく繰り返される。
第2楽章、時の歯車を逆回転させたように、古典的な美しい旋律が追憶される。しかし、それは明朗なものではなく、暗く病的なものを抱えている。
第3楽章、両楽章で提示されたさまざまなテーマや心象が一気に否定され、激しいリズムが全体を支配する。しかもそれは一切の曖昧さを残さず、強烈なパワーをもって、他の要素を一掃する。
原曲の「暗喩」をリヒテルはすべて見切っているかのように深く弾き込んでいる。凝縮感、緊張感、そして正確に打ち下ろされるハンマーの如き打鍵の力に圧倒される演奏。

Classical Piano Giants にて聴取


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