Saturday, April 28, 2018

最近聴いているもの10選 ~ブルックナー、ハイドン、シューベルト、そしてバッハ

待望のゴールデンウイーク!なにを集中的に聴こうかと愉しみにしてきたが、まずは年明け後、聴いてきた演目のおさらい。

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♫ 新年早々は、あいかわらずのブルックナー三昧。

Bruckner: The Symphonies
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ショルティのブルックナー、そのオーソドックスな解釈、均質で隙のない演奏は見事の一言に尽きる。小生は、特に、初期ブルックナーのショルティらしいすぐれた構築力は抜群の成果と思う。3番以降は他に名演も多いが0番から2番まではショルティ盤は座右のもの。

ブルックナー:交響曲第0番
ブルックナー:交響曲第1番
ブルックナー:交響曲第2番


ブルックナー:交響曲第8番「ハース版」 フランツ・コンヴィチュニー指揮ベルリン放送交響楽団(旧東)
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管が山脈の高度はあるが緩やかな稜線をトレースするように朗々と鳴り響く。実に雄々しく鳴らせている。解釈はオーソドックスでテンポは安定しており、多くの同番を聴いてきた者からすれば「重量感がある見事な演奏」というのが大方の感想ではないだろうか。弦楽器は録音の関係もあるかも知れないが控えめな印象をぬぐえないけれど、アンサンブルはけっして悪くはない。聴けば聴くほどに納得できる手堅くも堂々とした演奏である。ブルックナー名指揮者の間違いなく一角を占める証左と言えよう。

➡ コンヴィチュニー指揮 ブルックナー:交響曲名演集 も参照


ブルックナー:交響曲第9番
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第1楽章。遅く、重く、濃厚なトレモロの出だしである。はじめの頂点を迎えたあと、暗示的、悲哀にあふれた美しい主題のメロディに。その後繰り返されるこの主題こそジュリーニ円熟の感性と技法の結晶ともいえる聴かせどころ。

シューリヒト/ウィーン・フィルの恬淡として端麗な名演をもちろん意識しつつ、別の行き方を提示した1988年6月の収録。同年11月、ウィーン・フィルはこれも、シューリヒトとは解釈が異なり遅く、彫琢の極みをみせるカラヤンとの第8番を収録しているが、ウィーン・フィルにとっても、この年は両巨頭のブルックナーでの全力の臨場を受け止めた忘れえぬ年になったかも知れない。

しかし、ジュリーニにせよ、カラヤンにせよ、この「遅さ」が果たして妥当なものなのかどうかは、リスナーの判断如何。チェリビダッケは、あえて「遅さ」を武器にして、「遅くして破綻しない限界はどこか」をオケに突き付け、これを験しているような風情もあるが、ジュリーニにはそうした作為は感じない。

第2楽章スケルツォ。基本は重厚にしてインテンポ気味ながら、速度は少しあがり、リズムの切れとときに軽やかさが加わる。滑稽さの表現のちょっとしたスパイス加味などでは巧者ジュリーニらしさも感じさせる。
第3楽章も遅く荘厳な運行。ウィーン・フィルのような個々の名プレイヤーが揃っていないと粗が目立ってしまうほどの遅さである。カラヤンの第8番ほど、音を磨き込んではいかないが、全弦楽器のメンバーに「心のなかで存分に歌え、歌え!」と指示し表現の純度をあげようとしているかのようだ。後半になるにつれて遅さはあまり意識しなくなくなり、むしろ、この至福の時間が永劫につづいてほしいといった感興も湧いている。詠嘆的な終わりは管楽器の息切れまで長く延ばされる。

いつものことだが聴き終わっていささかの疲労を感じる。とともにリピートをかけることに逡巡する。ブルックナーの最後の交響曲の完成された終楽章である。実はこれぞ、ジュリーニの狙いどおりなのかも知れない。


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♫ ブルックナーのあと、最近はなぜかハイドンとシューベルトを聴きたくなる。

ハイドン:交響曲第99番 第100番「軍隊」 第103番「太鼓連打」
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Sym.99, 100, 101, 102, 103, 104を一気に聴く(本集では99, 100, 103を収録)。1958、1959年の収録の古い音源だが、ビーチャム閣下(1879~ 1961年)とロイヤル・フィルは、英国と所縁の演目として、愛情とプライドをもってハイドンの後期の精華を取り上げている。

ハイドンの交響曲というのは難物である。一定以上の演奏はできても、これぞ本領といった高みに達することのハードルは高い。ビーチャム翁、最晩年のハイドンは、大家の悟りの境地とでもいうべきか、珠玉のものであると感じた。

屈託や余分な作為が一切なく、音楽がほんとうにこよなく<音を楽しむ>営為になっているようだ。それが、ハイドンの一見大らかで、しかし、的をはずさない深い魅力を湛えた曲想に<ふわり>と重なっている。演奏スタイルは、ぎちぎちとしたところが全くない自由度の高いもので、明るくおっとりとしたハイドンのイメージが純化されており、春風駘蕩といった雰囲気がリスナーを包み込んでくる。得難い名演である。


シューベルト:ピアノ・ソナタ第17番&第13番 他
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シューベルトの17番のソナタ、疲れていなくとも第2楽章後半にくると睡魔に襲われ、そのまま終楽章の終わりまで微睡のなかでもっていかれることが多い。良く言えば固い精神を解きほぐすような効果があるとも言えるし、否、単純に凡長さゆえの弛緩効果かも知れないとも思う。しかし、アシュケナージ盤では、ちょっと異なる。アシュケナージの演奏が奇をてらった演出があるゆえではない。むしろ、シューベルトの世界にゆくりなくも入り込みつつ、そこに暖かな血のかよいを想像し、単調さが自然の鼓動のように感じるからかも知れない。シューベルト:即興曲全曲とともに座右の1枚である。

シューベルト:ピアノ名曲集 ピアノソナタ第18番D.894「幻想」/D.960/D.899-3/D.899-4/D-899-1/D.899-2
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シューベルトの18番のソナタは晩年の秀作である。美しい曲だが劇的な起伏には乏しい。シューベルトらしいほの明るさに満ちているが、そのなかに、いとおしむ生への言いしれぬ哀愁がよぎり、明暗のコントラストのつけ方が実に難しい難曲である。ベートーヴェン後期作品との対比でよく語られるが、むしろいかにもシューベルトらしい玲瓏さにこそ特色があると感じる。

1944年生まれのピリス(ピレシュ)はいまやシューベルト弾きの大家だが、彼女の1987年のデジタル録音。幻想曲 D.940とともに、この潔癖で優しい演奏は魅力的である。第2楽章の可憐さが特に胸に響く。第3楽章メヌエットでは子供がスキップ遊びをしているような愛すべき風情がある。終楽章はロンド。軽やかに、しかし細心の注意をもって、一音一音を生き生きを浮かび上がらせた演奏で音の響きが充実し美しい。

50CD レガシーボックスセット ERATO BOX にて聴取


Juilliard String Quartet - The Complete Epic Recordings
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定評のあるジュリアード弦楽四重奏団の古典派からロマン派をメインとする11枚の名曲集。ニューヨーク(コロンビア30丁目スタジオ)でのセッション録音。いずれも名曲名演だが、1960年代中盤の録音が中心。本団は19~20世紀音楽でも先駆的成果を残しているが、抜群の安定度とステレオ初期の丁寧な録音はいま聴いても好感度が高いだろう。主として下記のシューベルトを聴く。

【シューベルト】
・弦楽四重奏曲第9番ト短調 D.173、第13番イ短調 D.804『ロザムンデ』(1965年10月)、第15番ト長調 Op.161(1962年12月)

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♫ そしてバロックからバッハに。ここはなんども聴いているもののリピート。

入門!バロック 7 静かなリュート
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バロック・リュートの魅力満載。心のリラックスには実によきアルバム。ヴァイスはバッハと同時代人でリュート音楽の大家。疲れを癒してくれる曲集。

<収録情報>
(1) シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス:ソナタ第19番ヘ長調-プレリュード
(2) ヴァイス:ソナタ第19番ヘ長調-アルマンド
(3) ヴァイス:ソナタ第19番ヘ長調-ジーグ
(4) ロベール・ド・ヴィゼー:2つのテオルボのための組曲ト長調-シャコンヌ
(5) ヴァイス:ソナタ第35番ニ短調-プレリュード
(6) ヴァイス:ソナタ第35番ニ短調-アルマンド
(7) ヨアキム・ベルンハルト・ハーゲン:リュート・ソナタ変ロ長調-アンダンテ
(8) ハーゲン:ロカテッリ変奏曲
(9) ヴァイス:ソナタ第52番ハ短調-シチリアーナ
(10) ジョヴァンニ・ジローラモ・カプスペルガー:キタローネ曲集第4巻-カポナ
(11) カプスペルガー:キタローネ曲集第4巻-パッサカリア

演奏:ロバート・バルト(バロック・リュート) エリック・ベロック&マッシモ・ロスカルド,マイケル・レオポルド(テオルボ) ベッキー・バクスター(トリプルハープ)


KARL MUNCHINGER/ AND THE STUTTGART ORCHESTRA
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往年のファンにはとても懐かしいアルバム集。カール・ミュンヒンガーはドイツはもとより世界各国で尊敬をもって迎えられた名指揮者。手兵シュトゥットガルト室内管もこの時代は世界最高レヴェルにあった。ドイツでも、黒林のなかにあって、当時破竹の勢いの自動車産業の中心都市、シュトゥットガルトの豊かさも本楽団の支えになっていたろう。

当時、謹厳なるリヒター/ミュンヘンバッハ管&合唱団はバッハ演奏の金字塔をたてていたが、ミュンヒンガー&シュトゥットガルト室内管は、鷹揚さと洒脱さも持ち合わせており、バッハのほかヴィヴァルディやモーツァルトでも存分の演奏を披露した。
本集でもそのあたりは過不足なく収録されており、協奏曲などの組手はいずれも一流のプレイヤーである。但し、録音の古さは否めない。純粋にサウンドを愉しみたい向きにはお奨めできないが、ブランデンブルグ協奏曲と管弦楽組曲の「全曲」を優秀な演奏で最廉価で聴きたいリスナーにはいまも好適なBOXであると思う。

<収録情報>
【J.S.バッハ】
・カンタータ第51番「すべての地にて歓呼して神を迎えよ」BWV.51
 シュザンヌ・ダンコ(ソプラノ)、同第202番「いまぞ去れ、悲しみの影よ」 (結婚カンタータ)BWV.202(1953年)

【ヴィヴァルディ】
・「四季」:ヴェルナー・クロツィンガー(ヴァイオリン)(1957年)
・ヴィヴァルディ/ダンディ編:チェロ協奏曲ホ短調 ピエール・フルニエ(チェロ)
 (1952年)

【モーツァルト】
・セレナード第13番 K.525『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』(1951年)
・ディヴェルティメント K.136(1951年)
・モーツァルト:ピアノ協奏曲第9番 K.271「ジュノーム」、第15番 K.450  ヴィルヘルム・ケンプ(ピアノ)(1953年)
・ヴァイオリン協奏曲第3番 K.216、第7番 K.268 クリスチャン・フェラス(ヴァイオリン)(1954年)
・シェーナとロンド「もうよい、すべて分かった…恐るるな、愛する人よ」K.490
・レチタティーヴォとアリア「もうたくさんだ、お前は勝った…ああ、私を捨てないで」K.295a  エリザベート・グリュンマー(ソプラノ)(1956年ライヴ)
 
【その他】
・ボッケリーニ/グルツマッヒャー編:チェロ協奏曲第9番 G.482(1952年)
・F.クープラン/バズレール編:コンセールのための5つの小品(1952年)
・ハイドン:チェロ協奏曲第2番 (1953年)
以上 ピエール・フルニエ(チェロ)
・コレッリ:合奏協奏曲第8番「クリスマス協奏曲」(1960年)

➡ Various: Wiener Philharmoniker も参照


J.S.バッハ:ゴールドベルク変奏曲(55年モノラル録音)
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いまから60年以上も前に録音されたモノラル盤。曲は約40分のバッハ練習曲集のひとつ。それに22才の一人の若者が独自のアプローチで挑戦した。われわれが後に耳にする30の変奏曲をはじめに収録し、それを踏まえて冒頭の「アリア」を21回録りなおし最後のテイク(収録分)を採用したという(ミシェル・シュネデール『孤独のアリア』千葉文夫訳、筑摩書房1995年参照)。
1年前これに先立つ1954年6月21日のカナダCBC録音盤を手にとると、いわば本盤の「原型」を聴くことができる。その本質はかわらないが、これをいかに磨きに磨き、研ぎ澄まされた作品に仕上げているかには驚く。最高の録音芸術をめざし、そのエッセンスは2分にも満たない冒頭のアリアにすべて集約されているのである。
一音一音は切断されたような乾いた響きなのに、一曲一曲は思いきり心をこめて演奏されているので豊かな感情にあふれ、聴き終わるともう一度、はじめから聴きなおしたくなる。つまりずっと聴いていたくなる情動がはたらく。それは本当にすばらしい音楽芸術のみに存在する稀有な天啓といえるだろう。 

➡ Goldberg Variationen (の廉価盤や イマージュ も参照


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♫ これ以降は、オペラを聴きながら疲れて眠ってしまう日々が続いているが、以下のプログ(オペラはいいな!シリーズ)を参照されたい。さて、ゴールデンウイークは?オペラを続行して転寝を愉しむか、読書をしながらもう少し別の音源にいくか。

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