土曜日, 3月 08, 2014

ゲルギエフ チャイコフスキー 交響曲第6番

Symphony #6 / Romeo & Juliet
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ゲルギエフの音楽は、どの曲をとっても「明解」な解釈と「明確」な音づくりのアプローチがあるように思う。

まず、明確な音づくりに関してはこの6番(マリインスキー劇場管弦楽団)がその典型。弱音部は情感をもってゆっくりと奏で、強音部は速度を増してメカニックに疾走する。全体にリズミックで切れ味がよいが、前者ではフレージングをやや長めにとり、後者ではザックリと短く鋭く刻む。

そのコントラストにははじめは驚くが、一般に凡長に繰り返されると逆に興ざめとなる場合もある。しかし、彼の演奏でそれがマンネリ化せず鼻につかないのは、手兵たるこのオーケストラの各パートの使い方が絶妙だからだ。

 全体として低弦のぶ厚い音響(実に心地よい響きだ)を強調しつつ金管(音がクリアで巧い)が効果的にこれに被さる。その場合、意外にも金管をやたらと大きく前面に出すのではなく、よく切れるカッターのように亀裂的に用いる。弦楽器と木管楽器のハーモニーも文句なく美しい。そこが真骨頂といえるだろう。

 顔が<濃厚>系(失礼!)なので、音楽もそうかと言うと、実は別の感想を抱く。明解な頭脳的解釈とでも言うべきか、全体構成がくっきりとしており、リスナーの期待を裏切らない。シャイーなどに共通する感度の良さが身上。そのうえで、音のテクスチャーがよくわかり、局面局面での語りかけてくる音楽のボキャブラリーが豊か。だからリスナーに安心感をあたえ、かつ飽きさせない。

はっきり言えば、原曲が多少退屈で、中だるみがあったとしても、それをカヴァーするようなテクニックをもっている(ロシア管弦楽集などで遺憾なく発揮)。カラヤンがそうであったように。

チャイコフスキーの6番は、彼が自信をもって高く評価しこよなく好きなのだろう。その相乗効果ゆえか、こんなに良い曲だったのかと久しぶりに聴いて心動いた。6番ではジュリーニ以来の驚きである。推薦します。

(小生の試聴廉価盤)
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