水曜日, 2月 10, 2021

グールド パルティータ

 



バッハが楽譜扉に記した「心の憂いを晴らし、喜びをもたらさんことを願って」を余すところなく表現したグールドの代表盤。パルティータ(partita)は、part(部分)に通じ、さまざまな変奏曲の一部という原義があるようだが、自由な感性で、一瞬の即興的な変奏に魂を注力するのはグールドのいわば御家芸。しかし、全曲の録音は1956年2月(5番)から1963年4月(4番)まで足掛け7年にわたって慎重になされている。納得のいく成果を時間をかけて求めていくところに、グールドのもう一つの顔、真摯な完成度へのこだわりも感じる。

◆J.S.バッハ:パルティータ 全曲(録音時点)

 パルティータ第1番変ロ長調 BWV.825(1959年5月1日&8日、9月22日)
 パルティータ第2番ハ短調 BWV.826(1959年6月22日、23日)
 パルティータ第3番イ短調 BWV.827(1962年10月18日、19日)
 パルティータ第4番ニ長調 BWV.828(1962年4月11日〜12日、1963年3月19日〜20日、1963年4月8日)
 パルティータ第5番ト長調 BWV.829(1956年2月9日、13日〜17日、1957年7月29日〜31日、1957年8月1日)
 パルティータ第6番ホ短調 BWV.830(同上)

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Glenn Gould Plays Bach: 6 Partitas Bwv 8  の廉価盤もあります。 

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こころにぽっかりと穴があいたような日。その無聊をうめるべくなにか、きゅっとした音楽を聴きたいと感じた。”これは元気がでる”といった曲はきょうは敬遠したい。どうも、ついていけない気がする。ピアノかヴァイオリンのソロがいいかな。でも、”技巧の極致”といった類いに、いまは酔える気分ではない。落ち着いたブラームスかバッハにしようと思う。ブラームスのヴァイオリンソナタかバッハか。そして、なにげなくバッハ&グールドを手にとっている。ふと、まてよ。これって、いつか来た道と気がつく。ある周期で、こうした気分になり、そして無意識に、バッハ&グールドを選んでいる。きょうはパルティータにしよう。

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