日曜日, 7月 15, 2018

サイモン・ラトルとベルリン・フィル~16年の軌跡~ フェアウェル・コンサートほか


サイモン・ラトル (C)Peter Adamik

<番組情報>
チャンネル:[BSプレミアム]
2018年7月16日(月) 午前0:00~午前4:40 [日曜深夜](280分)            

ジャンル:音楽 > クラシック・オペラ > ライブ・コンサート
番組内容:ラトル退任特集!ドキュメンタリー「ラトルとベルリン・フィル」▽1:11~マーラー6番フェアウェル・コンサート▽2:49~ワルトビューネ2018 夫妻で登場!
出演者ほか:【出演】サイモン・ラトル,ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
楽曲:マーラー「交響曲 第6番 イ短調「悲劇的」」
(管弦楽)ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、(指揮)サイモン・ラトル
(1時間21分07秒)
~2018年6月19・20日 フィルハーモニー(ベルリン)~
http://www4.nhk.or.jp/premium/
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◇ドキュメンタリー
「サイモン・ラトルとベルリン・フィル~16年の軌跡~」(2017年 ドイツ)(0:02:30~1:10:00)
<出 演>
サイモン・ラトル & ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団   ほか

 
面白かった!ラトルの「自由」な音楽的発想、ベルリン・フィルの「自由」の気風を求める運営体制。前者の「自由」と後者の「自由」は質的にはまったく異なり、ときに相和し、ときに拮抗する。

カラヤンは圧倒的な実力によって、後者を統治したと思う。一方で、ベルリン・フィルを世界一スキルフルで、そして儲かる楽団としたことでそれは可能となった。
アバドは、カラヤンにくらべて、はるかに自己抑制のできるタイプで後者の要求をうまく制御した。さて、番組をみているかぎり、ラトルはフラットな関係のなかで、自己抑制もせず、楽員の自主性も尊重するといった、いわば二兎を追う対応であったようだ。

しかし、ラトルは相和が次第に拮抗一辺倒に変じ、やがて破綻にならない前に、思慮深く処世し、惜しまれて芸術監督の座をあとにした。これは、男女関係に譬えれば、結婚はせずに、ながい間の恋愛関係ののち、愛情がさめないうちに、友人関係になるような感じかも。家族は引き続きベルリンに住み、国立歌劇場の仕事がふえ、そしてベルリン・フィルにも客演すると言っていた。賢い生き方だなあ、と思った。
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ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (C)Berliner Philharmoniker
 

◇サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
フェアウェル・コンサート(1:11:00~2:46:30)
<曲 目>
交響曲 第6番 イ短調  マーラー 作曲

<出 演>
<管弦楽>ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮>サイモン・ラトル

収録:2018年6月19・20日 フィルハーモニー(ベルリン)

 
そして、いまはマーラーを聴きながらキーボードを叩いている。演奏については、セッション録音盤の以下を参照。
 
 
第6番は1989年12月の録音。第2番を1986年4月~6月に収録して以降、十分な時間をかけて次に取り上げたのが本曲である。第1楽章を聴けば、ラトルの意気込みが伝わってくる。中期マーラーにどう挑戦すべきかを3年余にわたって考えて抜いてのうえでの挑戦であろう。

明るい基調を維持しつつ、マーラーの昏い精神面からあえて距離をおく。かつ、没入型の演奏とは一線を画し、あくまでも丁寧に緻密に音楽を紡いでいく。順番を入れ替えての第2楽章の囁くような哀愁の旋律の美しさは格別。

しかし、そのアプローチが後半も成功しているかどうかはリスナーの判断如何だろう。特に第4楽章は斬新でマーラーのなかでももっとも現代音楽的である。ラトルの演奏は明快だが、現代音楽的というよりも伝統的、古典的に響く。楽器を前面に出しての「音の万華鏡」は面白いけれど精神の深みに落ちていくような感覚はない。小生は、ここではテンシュテットのような凄みに惹かれる。

➡ Mahler: the Complete Symphonie も参照
 
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ワルトビューネ野外音楽堂(ベルリン)
 

◇ベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサート2018(2:49:30~4:40:00)
<曲 目>
キューバ序曲  ガーシュウィン 作曲
パヴァーヌ  フォーレ 作曲
オーベルニュの歌(抜粋)  カントルーブ 作曲
バレエ組曲「ガイーヌ」(抜粋)  ハチャトゥリヤン 作曲
交響詩「ローマの松」  レスピーギ 作曲    ほか

<出 演>
メゾ・ソプラノ:マグダレーナ・コジェナー

<管弦楽>ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮>サイモン・ラトル

収録:2018年6月24日 ワルトビューネ野外音楽堂(ベルリン)

 
マグダレーナ・コジェナーは、ラトルの奥さん。2008年に結婚しお子さんは3人。ラトルは「音楽がすべてだと思っていたが、いまは自分の生活こそ大切」といったインタビューを前の番組で行っていた。夫唱婦随ならぬ「婦唱夫随」のオーベルニュの歌がなんといっても楽しめた。国際都市ベルリンにふさわしく、英国人指揮者とチェコ出身のソプラノ、曲目もアメリカの作曲家によるキューバ音楽ではじまり、フランスものから、ロシア、イタリアの民族派音楽へ。よく練られたプログラムである。

(参考)
アバド 追悼 
https://shokkou3.blogspot.com/2014/01/blog-post_668.html

 

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