土曜日, 9月 25, 2021

マリア・カラス 廉価盤でなにを選ぶか(アップデート)Maria Callas











いまもそうだが、ときたまカラスのエッセンスを聴きたければ、Inspiration Callas を取り出す。ほかにも多くのCDがラックにあるが、これが一番しっくりとくる。選曲もさることながら、組みたての順番もわるくはない。

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実は、はじめに以下の安いBOXセットを買って大失敗した。慎重なチェイスは必要である。

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(これは、Hommage Recordsレーベルの5枚組だが音質悪く、完全にお蔵入りである。)









(ジャケットは別です)


次に、membranレーベルの安価なBOXセットを買ったが、音はやや平板ながら聴くうえでの痛痒はない。 カラスの魅力は、共演者との関係で一歩もひかない堂々たる存在感にあるので、できれば細切れではなく、全曲盤での息づかいをじっくりと味わいたい。本集はカラスの主要な5演目の全曲盤であるところがミソである。

◆ドニゼッティ:歌劇『ランメルモールのルチア』全曲

◆ベルリーニ:歌劇『ノルマ』全曲

◆ヴェルディ:歌劇『椿姫』全曲

◆プッチーニ:歌劇『トスカ』全曲

◆マスカーニ:歌劇『カヴァレリア・ルスティカーナ』全曲 

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(ジャケットは別です)


しかし、次第にもっと多くの演目を聴きたくなる。とくに、メジャーな領域のヴェルディとプッチーニの諸作品はそうだ。そこで、以下の Maria Callas 30 Complete Operas を購入した。ただし、全部の演目でカラスが最高ということはない。レナータ・テバルディもミレッラ・フレーニも録音のよい素晴らしい名盤を残している。 

◆ヴェルディ

①『アイーダ』全曲★(1955年S)、②『仮面舞踏会』全曲(1956年S)、③『運命の力』全曲(1954年S)★、④『マクベス』全曲/サーバタ(1952年L)、⑤『ナブッコ』全曲(1949年L)、⑥『リゴレット』全曲★(1955年S)、⑦『椿姫』/ジュリーニ全曲(1955年L)、⑧『トロヴァトーレ』全曲/カラヤン(1956年S)、⑨『シチリア島の夕べの祈り』全曲/エーリヒ・クライバー(1951年L)

プッチーニ

①『ボエーム』全曲(1956年S)、②『蝶々夫人』全曲/カラヤン(1955年S)、③『マノン・レスコー』全曲★(1957年S)、④『トスカ』全曲/サーバタ(1953年S)、⑤『トゥーランドット』全曲★(1957年S)

<摘要> 括弧内録音年、S:セッション録音、L:ライブ録音、★はセラフィン指揮、/は他の特色ある指揮者を記載

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さて、以上の2つのBOXセットは現役盤ではないので、最近の注目セットを以下、若干掲げておこう。














(ジャケットは別です)

カラス、初動期の実力を知ることができる廉価盤

マリア・カラスのデビューから最盛期にあたる1949~55年の名唱集2枚組みである。主力のヴェルディ6、プッチーニ5演目にくわえて、彼女の名声を不動のものとしたベッリーニ、ドニゼッティ、ポンキエッリなど8名の作曲家による18演目が収録されている。
指揮者に注目すると、エーリヒ・クライバー(『シチリア島の夕べの祈り』)、サバータ(『マクベス』)、カラヤン(『蝶々夫人』)なども“競演”している。古い音源であることを自覚してカラス、初動期の実力を知ることができる廉価盤である。
<収録情報>
【ヴェルディ】
1『ナブッコ』(抜粋)グイ/サン・カルロ劇場管(1949)
2『リゴレット』第1幕~慕わしい人の名は ムニャーイ/ベラスアルテス劇場管(1950)
3『シチリア島の夕べの祈り』 第5幕~ありがとう、愛する友よ(ボレロ)エーリヒ・クライバー/フィオレンティーノ・マッジオ・ムジカーレ管(1951)
4『マクベス』第2幕~日の光が薄らいで サバータ/ミラノ・スカラ座管(1952)
5『運命の力』第2幕~ようやく着いたわ!感謝します神様!…聖母さま、敬虔なる乙女よ
セラフィン/ミラノ・スカラ座管(1954)
6『椿姫』 第3幕~さようなら、過ぎ去った日々よ 同上(1955)

【プッチーニ】
1『トスカ』第2幕~歌に生き、恋に生き ガヴァッツェーニ/ミラノ・スカラ座管(1953)
2『マノン・レスコー』第2幕~この柔らかなレースの中で セラフィン/フィルハーモニア管(1954)
3『トゥーランドット』第3幕~氷のような姫君の心も 同上
4『ラ・ボエーム』第1幕~私の名はミミ セラフィン/ミラノ・スカラ座管(1954)
5『蝶々夫人』(抜粋)カラヤン/ミラノ・スカラ座管(1955)

【ベッリーニ】
・『清教徒』第2幕~わたしに希望を返して...あなたの優しい声が バジーレ/ RAIトリノ響(1949)
・同~いらっしゃい、いとしい方、月が空にかかっています セラフィン/ミラノ・スカラ座管(1953)
・『ノルマ』(抜粋)同上(1954)

【ドニゼッティ】
・『ランメルモールのルチア』 第1幕~あたりは沈黙に閉ざされ…このうえない情熱に心奪われた時 セラフィン/フィオレンティーノ・マッジオ・ムジカーレ管(1953)

【ポンキエッリ】
・『ラ・ジョコンダ』 第4幕~自殺!…この恐ろしい時に ヴォットー/RAIトリノ響(1952)
【マスカーニ】
・『カヴァレリア・ルスティカーナ』~ママも知るとおり セラフィン/ミラノ・スカラ座管(1953)
【ロッシーニ】
・『イタリアのトルコ人』第1幕~これ以上に馬鹿げたことはないわ ガヴァッツェーニ/ミラノ・スカラ座管(1954)
【レオンカヴァッロ】
・『道化師』第1幕から セラフィン/ミラノ・スカラ座管(1954)









(ジャケットは別です)

歴史を塗りかえたディーヴァの記録

マリア・カラスの実力は歴史を大きく塗りかえるものであった。メゾの低音域からソプラノの最高音域までカヴァーするだけではなく、軽快なリリックものから“おどろおどろしい”ドラマティックなものまで豊かな声量と屈指の幅広いレパートリーを誇り、さらに役作りでも、それまで長らく上演されなかった演目をプリマドンナとして牽引し世に問うた。本集では①~⑬の作曲家による全25(うちプッチーニ、ヴェルディは各6)演目を取り上げている(これとて彼女のレパートリーの全部ではない)が、単に有名アリアを歌うのでなく、その多くは全曲演奏での貴重な記録を残している。しかもセッション録音では完璧性を追求し、一方、ライヴ音源では圧倒的な存在感で聴衆を魅了し続けた。
けっして美声ではないが、女声としての余すところなき表現力、ときにその抉り出すような深い詠唱に感嘆してきた。録音は古くその点留意が必要ながら、本集は廉価なエッセンス集である。
<収録情報>
【①プッチーニ】
1『トスカ』~歌に生き、恋に生き/待つということは サーバタ/※(1953)
2『トゥーランドット』~氷のような姫君の心も セラフィン/☆(1954)
・同~この宮殿の中で セラフィン/※(1957)
3『修道女アンジェリカ』~母さんもなしに坊やは 同上
4『蝶々夫人』~ある晴れた日に/操に死ぬるは カラヤン/※(1955)
5『ラ・ボエーム』~私の名はミミ/あなたの愛の呼ぶ声に ヴォット/※(1956)
6『マノン・レスコー』~この柔らかなレースの中で セラフィン/※(1957)

【②ヴェルディ】
7『運命の力』~神よ平和を与えたまえ セラフィン/※(1954)
8『シチリア島の夕べの祈り』~ありがとう、愛する友よ セラフィン/☆(1954)
9『アイーダ』~勝ちて帰れ セラフィン/※(1955)
10『リゴレット』~グアルティエール・マルデ 同上
11『イル・トロヴァトーレ』~静かな夜だった/恋はバラ色の翼に乗って カラヤン/※(1956)
12『仮面舞踏会』~ここが罪の報いに/死にましょう、しかし・・・ ヴォット/※(1956)

【③ベッリーニ】
13『ノルマ』~聖らかな女神よ セラフィン/※(1954)
14『夢遊病の女』~おお花よ、お前に会えると思わなかった ヴォット/※(1956)
【④ドニゼッティ】
15『ランメルモールのルチア』~あたりは沈黙にとざされ セラフィン/☆(1959)
【⑤スポンティーニ】
16『ヴェスタの巫女』~おお、不幸な人々を守る女神/いとしいお方 セラフィン/※(1955)
【⑥ケルビーニ】
17『メデア』~あなたの子の母親は セラフィン/※(1957)
【⑦レオンカヴァッロ】
18『道化師』~鳥の歌 セラフィン/※(1954)
【⑧ロッシーニ】
19『イタリアのトルコ人』~フィオリッラのカヴァティーナ カヴァッツェーニ/※(1954)
20『セビリアの理髪師」~今の歌声は心に響く セラフィン/※(1954)
【⑨ジョルダーノ】
21『アンドレア・シェニエ』~私の亡くなった母が セラフィン/☆(1954)
【⑩チレア】
22『アドリアーナ・ルクヴルール』~私は神の卑しいしもべです/哀れな花 セラフィン/☆(1954)
【⑪カタラーニ】
23『ワリー』~遠くへ行かないで セラフィン/☆(1954)
【⑫マイヤベーア】
24『ディノラ』~軽い影よ セラフィン/☆(1954)
【⑬ポンキエッリ】
25『ジョコンダ』~自殺!  ヴォット/※(1959)

※ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団
☆フィルハーモニア管、合唱団









(ジャケットは別です)

カラス全盛期、そしてスカラ座黄金期の記録

マリア・カラスによるヴェルディ5演目。1954~56年にかけて集中的に録音されたもので、カラスの全盛期、そしてそれは即ち、スカラ座の黄金期でもあった。全曲盤4とハイライト盤1なので、ここではカラスとの主要な共演者の力量が問われる。バリトンでは、ティート・ゴッビは3、テノールでは、ジュゼッペ・ディ・ステファノが3、リチャード・タッカーとレナート・エルコラーニが各2、バスでは、ニコラ・ザッカーリアは4、メゾソプラノでは、フェドーラ・バルビエーリが3演目に共演している。いわばカラスを支える当代一流の“スカラ座ファミリー”である。指揮者はカラスの才能を高く評価していたセラフィンが3演目、カラヤン、ヴォットーが各1演目を振っている。演奏は折り紙付だが録音の古さは如何ともしがたい。そこは覚悟のうえで、カラスの実力を心ゆくまで堪能されたい。
<収録情報>
・『リゴレット』
マリア・カラス(Sop)、ティート・ゴッビ(Br)(1)、ジュゼッペ・ディ・ステファノ(Ten)(1)、
ニコラ・ザッカーリア(Bs)(1)、アドアナーナ・ラッツァリーニ(MSop)、ジューゼ・ジェルビーノ(MSop)、プリニオ・クラバッシ(Bs)、ウィリアム・ディッキー(Br)、レナート・エルコラーニ(Ten)(1)、カルロ・フォルティ(Bs)、エルヴィラ・ガラッシ(MSop)、ルイザ・マンデッリ(MSop)、ヴィットリオ・タトッツィ(Bs)、他
セラフィン/ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団(1955)

・『トロヴァトーレ』
マリア・カラス(Sop)、ローランド・パネライ(Br)、フェドーラ・バルビエーリ(MSop)(1)、ジュゼッペ・ディ・ステファノ(Ten)(2)、ニコラ・ザッカーリア(Bs)(2)、ルイザ・ヴィッラ(MSop)、レナート・エルコラーニ(Ten)(2)、ジュリオ・マウリ(Bs)、他
カラヤン/ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団(1956)

・『仮面舞踏会』
マリア・カラス(Sop)、ジュゼッペ・ディ・ステファノ(Ten)(3)、ティート・ゴッビ(Br)(2)、フェドーラ・バルビエーリ(MSop)(2)、ユージェニア・ラティ(Sop)、エンツォ・ジョルダーノ(Br)、シルヴィオ・マイオニカ(Bs)、ニコラ・ザッカーリア(Bs)(3)、レナート・エルコラーニ(Ten)(3)他
ヴォットー/ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団(1956)

・『運命の力』
マリア・カラス(Sop)、リチャード・タッカー(Ten)(1)、カルロ・タリアブーエ (Br)、ニコラ・ロッシ=レメーニ(Bs)、エレーナ・ニコライ(MSop)、レナート・カペッキ(Br)、プリニオ・クラバッシ(Bs)、リーナ・カヴァッラーリ(MSop)、ジーノ・デル・シニョーレ(Ten)、ダリオ・カゼッリ(Bs)、ジュリオ・スカリンチ(Ten)、オットリーノ・バガッリ(Ten)他
セラフィン/ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団(1954)

・『アイーダ』(ハイライト)
マリア・カラス(Sop)、リチャード・タッカー(Ten)(2)、フェドーラ・バルビエーリ(MSop)(3)、ティート・ゴッビ(Br)(3)、ジュゼッペ・モデスティ(Bs)、ニコラ・ザッカーリア(Bs)(4)、エルヴィラ・ガラッシ(Sop)、フランコ・リッチャルディ(Ten)他
セラフィン/ミラノ・スカラ座管弦楽団、合唱団(1955)

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