木曜日, 9月 02, 2021

ヨハンナ・マルツィ 

 



2017年7月23日

ヨハンナ・マルツィを聴いたのはバッハの無伴奏であった。美しく清浄な響きに感心し、誰が弾いているかが気なり調べて、はじめて彼女の名前を知った。本集で聴くことのできる無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ、パルティータの6曲の録音は、ソナタ第3番(1954年5月1日、6月1-3日)、第1番(1955年3月26,27日)、第2番(1955年3月27日-4月2日)、パルティータ第2番(1954年7月24-26日)、第1番(1955年4月27-30日)、第3番(1955年5月15-18日)の順に、ロンドンのアビー・ロード・スタジオにて、以上記したとおり1年がかりで慎重に行われた。調性では、ソナタ第3番「ハ長調」から始まり、パルティータ第3番「ホ長調」で終えている。あたかも一気に録音したような一貫性があるのに、その実、時間をかけて記録を残したのには、いかなる決意と思いがあったのか、考えるのも楽しい。

協奏曲も名指揮者が名を連ねる。モーツァルトの第4番ではヨッフム、メンデルスゾーンとブラームスではクレツキ、ドヴァルザークではフリッチャイ、加えてハンス・ミュラー=クライとの共演も多い。
天才肌の技巧派ながら、一切それを感じさせず、清浄にして端正、彼女のヴァイオリンは、どの曲を聴いても曲想に自然に入っていける雰囲気がある。優れた感性をもって深く作品に親しんでいたことの表れだろう。

<収録情報>
【J.S.バッハ】
無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ全曲(1954、1955年)

【モーツァルト】
ヴァイオリンソナタK.376(1952年)※
ヴァイオリン協奏曲第3番:ハンス・ミュラー=クライ/シュトゥットガルト放送響(1962年)
ヴァイオリン協奏曲第4番
(1)ヨッフム/バイエルン放送室内管(1955年4月4日)
(2)ハンス・ミュラー=クライ/シュトゥットガルト放送響(1956年)

【ベートーヴェン】
ヴァイオリンソナタ第8番Op.30(1952年7月7-10日)
ロマンス第1番、第2番:クレツキ/フィルハーモニー管(1955年12月22,23日)

【シューベルト】
ヴァイオリンとピアノのためのロンドD.895※
ヴァイオリンとピアノのための幻想曲D.934※
ヴァイオリンソナタ、イ長調D.574※
ヴァイオリンソナタ第1番D.384、第2番D.385、第3番D.408(1955年11月7-13日)※

【メンデルスゾーン】
ヴァイオリン協奏曲Op.64 
(1)クレツキ/フィルハーモニー管(1955年12月20,21日)
(2)ハンス・ミュラー=クライ/シュトゥットガルト放送響(1959年)

【ブラームス】
ヴァイオリン協奏曲:クレツキ/フィルハーモニア管(1954年2月15-17日)

【ドヴァルザーク】
ヴァイオリン協奏曲:フリッチャイ/ベルリン・ドイツ響(1953年6月3-5日)

【シマノフスキ】
夜想曲とタランテラOp.28(1951年8月27-30日)※

【ラヴェル】
フォーレの名による子守歌、ハバネラ形式の小品(1951年8月27-30日)※

【ファリャ】
スペイン舞曲「はかなき人生」(1951年8月27-30日)※

【ミヨー】
ブラジルの郷愁「イパネマ」(1951年8月27-30日)※

※伴奏はジャン・アントニエッティ(pf)である。

0 件のコメント: