金曜日, 11月 19, 2021

小澤征爾 その若き偉業2 <シカゴ交響楽団> Seiji Ozawa



 








小澤征爾は1964年から69年(29才から34才にかけて)、シカゴ交響楽団の夏の本拠地であるラヴィニア音楽祭の音楽監督をつとめ、その時期に、RCA Red SealにLPにして15~16枚分の録音を残しているようだ。以下はランバムに拾ったものなので、あくまでも参考まで。

【シカゴ交響楽団】

・バルトーク:ピアノ協奏曲第1番、第3番~ピーター・ゼルキン(P)1965-1966

・シェーンベルク:ピアノ協奏曲、ピアノのための5つの小品op.23、幻想曲

~ピーター・ゼルキン(P) (1967)

・ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」(1967)はげ山の一夜(1968

・ブリテン:青少年のための管弦楽入門(1967

・ ベートーヴェン:交響曲第5番(1968

・シューベルト:交響曲第8番「未完成」(1968

・チャイコフスキー:交響曲第51968

・ストラヴィンスキー:幻想曲「花火」、バレエ「春の祭典」(1968

R=コルサコフ:シェエラザード(1969

・ボロディン:だったん人の踊り(1969

・バルトーク:管弦楽のための協奏曲(1969

・コダーイ:ガランタ舞曲(1969

ヤナーチェク:シンフォニエッタ(1969

ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲(1970

【以下は引用】


Disc1
● R=コルサコフ:『シェエラザード』
● ボロディン:『だったん人の踊り』

シカゴ交響楽団
小澤征爾(指揮)

録音時期:1969年
録音場所:メダイナ・テンプル、シカゴ
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
制作レーベル:EMI

『シェエラザード』、『だったん人の踊り』共に、小澤征爾若き日のイキの良いスタイルでシカゴ響から覇気に富むサウンドを引き出した快演。小澤征爾は1963年にシカゴのラヴィニア音楽祭に出演して以来、シカゴ交響楽団とは何度も共演しており、ここでもリムスキー=コルサコフの美しい和声などでその成果を聴かせています。


Disc2
● バルトーク:管弦楽のための協奏曲
● コダーイ:『ガランタ舞曲』

シカゴ交響楽団
小澤征爾(指揮)

録音時期:1969年
録音場所:メダイナ・テンプル、シカゴ
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
制作レーベル:EMI

小澤征爾がシカゴ交響楽団を相手に録音したバルトークの管弦楽のための協奏曲は、構えが大きめで細部の表現も大事にした演奏。25年後のボストン響との再録音(PHILIPS)では初演版エンディングを採用していましたが、ここでは通常ヴァージョンによっています。


Disc3
● ルトスワフスキ:管弦楽のための協奏曲
● ヤナーチェク:シンフォニエッタ

シカゴ交響楽団
小澤征爾(指揮)

録音時期:1969年(ヤナーチェク)、1970年(ルトスワフスキ)
録音場所:メダイナ・テンプル、シカゴ
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
制作レーベル:EMI

ヴィトルド・ルトスワフスキ[1913-1994]はさまざまなスタイルの作品を残していますが、オーケストラ作品で随一の人気を誇るのが「管弦楽のための協奏曲」です。この作品は、指揮者クーセヴィツキーからの委嘱によって書かれたバルトークの「管弦楽のための協奏曲」の成功を受けて、指揮者ロヴィツキが、ルトスワフスキに対して作曲を依頼、1950年から54年にかけて書かれたというものです。ルトスワフスキはここでポーランドの民俗的な旋律を用い、部分的に無調による対位法まで交えながら、パッサカリア、アリオーソ、コラールといったバロックを髣髴とさせる技法を導入、20世紀なかばの作品としては聴きやすく、しかもオーケストラのヴィルトゥオジティが存分に発揮される音楽に仕上げています。
若き小澤征爾によるこの録音は、作品の普及に一役買った高水準な演奏で、シカゴ交響楽団の優れた技術を示すという意味でも注目度の高い内容となっています。

★☆ ★☆ ★☆ ★☆ ★☆ ★☆ ★☆ ★☆




小澤征爾、「東欧音楽の粋」といったカップリング (amazon.co.jp)

ポーランドの作曲家、ルトスワフスキが1950~54年に作曲した管弦楽のための協奏曲。当時のポーランドは旧ソ連の重要な同盟国(というよりも統治下)であり、本作品もショスタコーヴィチなどと共通する雰囲気はあるが、ポーランドの民族主義的なメロディも盛られているとも言われる。バルトークの同名の曲とともに、小澤征爾はシカゴ響と本曲を取り上げた。野心的な取り組みである。思い切りリズムの躍動感を強調しつつ打楽器と管楽器を前面に立てたクリアで切れのよいサウンドを刻んでいく。左右のレンジを広くとった録音が表現の幅をひろげている。実演よりも録音技術によって曲想のコントラストがよりはっきりと出ているかも知れない。
ヤナーチェクのシンフォニエッタは故国モラヴィア民謡が盛られていると言われるが、小澤征爾は、ルトスワフスキと組み合わせていわば「東欧音楽の粋」といったカップリングで世に問うた。冒頭の「ファンファーレ」は金管が輝かしいが以降、「城塞(シュピルベルク城)」、「修道院(ブルノの王妃の修道院)」、「街路(古城に至る道)」では低弦の基調に、曲のイメージによって多彩な楽器が繰り出されて民族的メロディをのせていく。終曲「市庁(ブルノ旧市庁舎)」では哀愁をおびたフルートの響きがどこか懐かしく親しみを感じさせる。小澤のアプローチは純音楽的にリズムの躍動感(指揮台で奮戦しジャンプしている姿を連想させる)を大切にあらゆる楽節をバランスよく表現することに腐心しているようだ。その取り組みは見事に成功していると思う。

★☆ ★☆ ★☆ ★☆ ★☆ ★☆

この時期の小澤/シカゴ響との録音は、あまりオケとの練習時間がなく一気呵成の収録であったようで、その意味でも閃きとオケへの卓抜なる訴求力を感じさせる。

👉 小澤征爾 初期音源集(2002)  Seiji Ozawa

織工Ⅲ 拾遺集 小澤征爾の芸術1~25  目次 (fc2.com)

0 件のコメント: