日曜日, 11月 21, 2021

小澤征爾 その若き偉業3 <パリ管弦楽団> Seiji Ozawa


 










シカゴで大活躍だった小澤は、次にバリに降り立つ。師・ミュンシュの十八番のフランスもので”真っ向勝負”といった風情だが、シカゴでは全米でとくに注目されたピーター・ゼルキンと共演した小澤は、パリではカラヤン・ファミリーの一人ワイセンベルクとの録音に臨む。シカゴでは、チャイコフスキー:交響曲第51968)を取り上げた小澤は、パリでは第4番を録音する。また、シカゴ、パリに共通してストラヴィンスキーは重要な演目であった。以下はランバムに拾ったものなので、あくまでも参考まで。

【パリ管弦楽団】 

・プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3~ワイセンベルク(P)1970

・ラヴェル:ピアノ協奏曲~ワイセンベルク(P)1970

・チャイコフスキー:交響曲第4番(1970

ストラヴィンスキー:ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ、ピアノと管楽器のための協奏曲、ピアノと管弦楽のための楽章~ミシェル・ベロフ(P) 1971

・ストラヴィンスキー:火の鳥(1972


 【以下は引用】



● プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番
● ラヴェル:ピアノ協奏曲

アレクシス・ワイセンベルク(P)
パリ管弦楽団
小澤征爾(指揮)

録音時期:1970年
録音場所:パリ、サル・ワグラム
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
制作レーベル:EMI

隠遁から復帰して4年目のワイセンベルクが、若き小澤征爾指揮するパリ管弦楽団と組んだ録音。ラヴェルもプロコフィエフも作品の雰囲気を大切にした表現をおこなっており、どちらも頽廃感のような味わいが魅力たっぷりに示されるのが印象的。両作品共にバリバリ派の演奏も多いですが、意外にもここでのワイセンベルクは味わい派。パリ管弦楽団のかなり個性的なサウンドもそうしたアプローチにはふさわしいと思います。



● チャイコフスキー:交響曲第4番

パリ管弦楽団
小澤征爾(指揮)

録音時期:1970年
録音場所:パリ、サル・ワグラム
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
制作レーベル:EMI

サル・ワグラムで録音された当時のパリ管弦楽団の特徴でもある中間色豊かなサウンドが、第2楽章など抒情的な部分にユニークな彩りを添えています。若いだけに快速部分も率直でエネルギッシュ、持って回った表現など皆無の心地良さも印象的。



● ストラヴィンスキー:ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ

● ストラヴィンスキー:ピアノと管楽器のための協奏曲
● ストラヴィンスキー:ピアノと管弦楽のための楽章

ミシェル・ベロフ(P)
パリ管弦楽団
小澤征爾(指揮)

録音時期:1971年
録音場所:パリ、サル・ワグラム
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
制作レーベル:EMI

ベロフは10代の頃からEMIと契約を結び、華々しいレコーディング活動を行っていますが、これはまさにその時期、20代前半の頃の演奏です。やはりまだ若々しさを多分に残していた小澤征爾との共演もまた魅力的で、いかにもベロフ、いかにもストラヴィンスキーという、切れ込み鋭い、痛快な演奏を展開しています。



● ストラヴィンスキー:『火の鳥』全曲
パリ管弦楽団
小澤征爾(指揮)

録音時期:1972年
録音場所:パリ、サル・ワグラム
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
制作レーベル:EMI

サル・ワグラムでのセッション録音ならではの色彩豊かなパリ管サウンドを堪能できるアルバム。全曲ヴァージョンの魅力は細部にあるとよく言われますが、この演奏で聴く細部の表情の多彩さには見事なものがあります。

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小澤征爾&ベロフの管弦楽集について (amazon.co.jp)

当代第一のドビュッシー弾きとして知られるベロフの若き日のストラヴィンスキーの協奏曲集。1971年小澤征爾/パリ管との記念すべき共演記録である。
「ピアノと管弦楽のためのカプリッチョ」はピアノの技巧が際だった曲だが、管弦楽が酒場の喧噪のなかで掛け合いをするような場面もあり古典的な装いもほどこされている。小澤の独自の音づくりは、各楽器をフルスロットルで演奏させつつ、全体の均衡に最大限、配意しているように感じる。
「ピアノと管楽器のための協奏曲」では第2楽章ラルゴが内省的で深みのある響き、とても26才頃とは思えないベロフの表現ぶりに将来の大器を思わせる。
「ピアノと管弦楽のためのムーヴメンツ」は作曲家後期のもっとも前衛的な作品とされる。セリエル音楽がベースにあるようだが、より非定型的な現代音楽に接している、いまのリスナーからはむしろ保守的にすら思える。雅楽の影響も指摘されるが、そう思って聴くとなるほどとうなずくところもある。
全体のバランスからは、あえて言えば「カプリッチョ」はピアノとオケがイーブン、「協奏曲」はピアノ優位、「ムーヴメンツ」はオケ主体といった力点の置き方も感じる。

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小澤は、その後、フランス国立管弦楽団とも重要な録音を残すが、それは改めて取り上げよう。

👉 小澤征爾 初期音源集(2002)  Seiji Ozawa

織工Ⅲ 拾遺集 小澤征爾の芸術1~25  目次 (fc2.com)

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