1965年 トロント響の音楽監督に就任(~69)。
1969年 トロント響と日本公演を行う。
【トロント管弦楽団との主要な録音】
・ベルリオーズ:幻想交響曲(1966)
・メシアン:トゥーランガリラ交響曲(1967)
・武満 徹:ノヴェンバー・ステップス~鶴田錦史(琵琶),横山勝也(尺八)(1967)、アステリズム~ピアノと管弦楽のための 高橋悠治(ピアノ)、地平線のドーリア、グリーン、弦楽のためのレクィエム(1969)
小澤征爾は27才にして日本初演指揮者(オケはN響だった)、そしてその後、果敢にもトロント響と本録音に挑んだ。多くの前衛的な作品に接してきた現在、曲はさほど聴きにくさは感じないが、リリース当時の受けとめ方はちがっていた。まず、名前からして意味がよくわからない。トロント響も日本の一般リスナーには馴染みがなかった。
メシアンは、喜怒哀楽といったわれわれの日常の感情表現を超越し、実存主義的な“存在”の不安と希望をここで表現せんとしているようだ。ベルクソン的な“笑い”は「不安」と「希望」の有力な『媒介項』である。そうした観点から耳を傾けると何かが見えてくる気がする。明敏な小澤は、直観的にそれを見抜いているかのようなクリアな解釈。作曲家が感謝の意を表したのも頷ける、いまも揺るがぬ歴史的名盤である。
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