(ジャケットは別です)
マエストロ小澤が、ウィーンのニューイヤー・コンサートに登壇してはや20年を迎えようとしている。日本人初の快挙、そのときの衝撃とこみあげる嬉しさはいまでも忘れていない。いま聴いてもその感動がよみがえる。しかし、ここではドヴォルザーク≪新世界から≫を以下、取り上げよう。
溌剌とし、音楽が生き生きと躍動する。第2楽章ラルゴがとても良い。ゆったりとした落ち着きのなか、心理の綾の奥まで表現しようとするかのような演奏で、メロディが心に浸潤してくる。けっして昏くはならず、遠くへの淡い憧憬を感じさせながらも細かい起伏をつけた表現ぶりは緻密である。ウィーン・フィルは指揮者の要求に応えつつも伸び伸びと臨場している。こうした流儀でウィーン・フィルから充実した響きを引き出すことができる小澤の技量はたいしたものである。この息遣いあればこそ、小澤がウィーン国立歌劇場の音楽監督に就任したのもさもありなんと思う。
第1楽章、第3楽章の解釈はオーソドックスで、控えめな印象もあるが、終楽章は小澤らしいメリハリを利かせたリズミックな演奏。哀愁はあまり感じさせないが、その分、未来への希望のような思いが込められているようにも感じ、気持ちのよい聴後感がある。
<収録情報>
【ドヴォルザーク】
・交響曲第8番(1992年4月)、 第9番(1991年5月)
・交響詩《真昼の魔女》序曲(1992年4月)、《自然の中で》(1991年5月)
【R=コルサコフ】
・交響組曲《シェエラザード》、序曲《ロシアの復活祭》(1993年4月)
【R.シュトラウス】
・アルプス交響曲
・ヨハネ騎士修道会の荘重な入場 AV103
・ウィーン・フィルハーモニーのためのファンファーレ AV109(1996年3月)
【J.シュトラウスII世ほか】
・ニューイヤー・コンサート2002 (2002年1月1日 ウィーン/ライヴ)
小澤征爾/小澤征爾&ウィーン・フィル コンプリート・レコーディングス<期間生産限定盤> (tower.jp)
➡ 小澤征爾の名演
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