ベートーヴェンの9曲の交響曲はすべて卓越した作品だが、第3番「英雄」、第5番「運命」、第6番「田園」、第7番、第9番「合唱」は俗称をふくめ有名な一方、初期の第1番、第2番、中期の第4番や後期の第8番はいささか地味な存在に映る。しかし、優れた構想力をもって作曲された各曲はそれぞれの魅力をたたえている。
第1番ではマルケヴィッチを取り上げよう。
ベートーヴェン:交響曲第1番
ベートーヴェンの総譜研究家としての著作もあるマルケヴィッチの第1番。
後の交響曲の素材がここにある、処女作はその作曲家の特色をもっとも端的に示しているといわんばかりの解釈で、力感と抒情性が一切の曖昧さなく提示される。もちろん初期作品らしい若き熱情や覇気もあるけれど、それ以上に、ハイドン、モーツアルトの交響曲の継承者は自分なのだと名乗りをあげているような堂々とした構えと内実を意識させる迫力ある演奏。
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