ショパン:ピアノ協奏曲 第1番、第2番 ルイ・フレモー/モンテカルロ国立歌劇場管(1965)
第1番は、ジョルジュ・ツィピーヌ/パリ音楽院管(1954)、第2番はパウル・クレツキ/フランス国立放送管(1958)の旧録音もあるが、本集はフレモーのステレオ録音盤(1965)である。
フランソワならでは、とでもいうべき大胆に自由で、詩情あふれる演奏で、両番ともに第2楽章が充実している。オーケストラのバックの弱さがよく指摘されるが、たしかにアルゲリッチ盤、アシュケナージ盤などとの比較ではその点は否めないが、ショパンに関する限り、こうした軽く柔らかな追走もひとつの選択肢とも思う。フランソワの好みを反映しているのかもしれない。
1970年代、レコードを集中して聴きはじめた頃、サンソン・フランソワ(1924-1970年)はすでに活動を終えており当初は親近感がなかった。その後、ショパンを聴くようになって、ルビンシュタインとフランソワの演奏には深く心動かされた。当時、ショパンではこの2人が、一方、ドイツ系ではバックハウスとケンプがそれぞれ2大巨匠というのが通り相場だった。
神童中の神童であり、19才でロン・ティボー国際音楽祭で優勝するが、これでもあまりに遅すぎるデビューと言われた天才肌のピアニスト。46才での逝去は普通なら「これから円熟期」と惜しまれるところだが、この人に限っては、23才のSP録音から20年にわたってすでに下記の膨大なディスコグラフィを残していたのだから驚愕を禁じえない。抜群のテクニックを軽く超越したような奔放、華麗な演奏スタイルはこの時代でしか聴けない大家の風貌である。ショパンはもとよりラヴェル、ドビュッシー、フォーレなどはいまに語り継がれる歴史的名演。
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