水曜日, 12月 11, 2024

ポリーニのブラームス ピアノ協奏曲 第2番



 





ポリーニ34才、アバド43才頃の1976年の録音である。ウィーン・フィルがその持ち味の馥郁たる響きで応じている。この盤がでる以前、ウィーン・フィルによる同曲では、バックハウス+ベームの歴史的な名盤があった。

ポリーニ+アバドを起用したプロデューサーはこれに変わる新風を求めたのだろう。バックハウス盤は1967年録音。当時、バックハウス83才、ベーム73才頃の収録で、枯淡を超えて神々しいまでの演奏に対して、ポリーニ、アバドにはいかにも若き獅子の挑戦といった緊迫感がある。

ポリーニの演奏はいつもどおり分析的で曖昧さのないクリアーな解釈である。音は美しく響くが柔なセンチメンタリズムとは無縁、無機質的では決してないけれど音の陰影の付け方はストイックで抑制的である。

一方、アバドの追走が見事。ポリーニの高質の一音、一音を大切に浮かび上がらせようと細心の注意を払っている。その神経質なまでの配意が演奏をキリリと締め、これがリスナーに伝わりとても好ましく思われる。ポリーニ+アバドのコンビは余程相性が良いのだろう。その後、ベルリン・フィルでも同曲をライヴで取り上げているほか全集も残した。しかし、76年盤の重みは、ウィーン・フィルが決定盤の名を欲しいままにしたバックハウス+ベームに対して、約10年振りに若き2人の見事な共同作業によって拮抗せんとしたことにあるだろう。その挑戦はいまも燦然と輝く見事な成果を生んでいる。 

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 ポリーニ70歳記念盤で1960〜2009年の録音。伝説の1960年ショパン国際コンクール優勝時のショパン/ピアノ協奏曲第1番も所収。自選集ということで、ポリーニの半世紀の活動の核心にふれることができる。演奏は現代ピアニズムの一つの頂点を極める高品位、最上等である。
装丁も立派。過去のディスコグラフィもジャケット写真付で年代別に見ることができとても便利。

【収録情報】(カッコ内総演奏時間)
◆CD1(76:44)
1. ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの3章
2. ショパン:12の練習曲Op.25
3. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番
4. ヴェーベルン:ピアノのための変奏曲Op.27

◆CD2(77:47)
1. ショパン:ポロネーズ嬰ヘ短調Op.44、同変イ長調Op.53『英雄』
2. ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』(ベーム指揮、ウィーン・フィル)
3. リスト:悲しみのゴンドラ第1稿、リヒャルト・ワーグナー−ヴェネツィア
4. ドビュッシー:雪の上の足跡、西風の見たもの、沈める寺

◆CD3(77:09)
1. モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番ハ長調K.491(ウィーン・フィル)
2. J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻〜前奏曲とフーガ嬰ハ短調、ト長調
3. ショパン:ピアノ協奏曲第1番(カトレヴィッツ指揮、ワルシャワ・フィル)

 マウリツィオ・ポリーニ(ピアノ、指揮:CD3-1)

⇒ 13人の偉大なるピアニストたち(協奏曲編)

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