アンドレ・クリュイタンス(1905〜67年)。フランスものでは、この時代の第一人者である。一方、ドイツものでも定評があり、稀有なバイロイト指揮者、かつ、ベートーヴェン交響曲全集 Beethoven: Les 9 Symphonies にはいまも根強いファンがいる。
フォーレの『レクイエム』、あまりに有名なのだが、その良さに本当に気づくには相応な時間もかかるように思う。嫋々とした音楽は朝の出勤時には向いていない。朝に元気をもらう(というのもレクイエムでは変だが・・・)ということだと、ヴェルディの『レクイエム』がいい。
しかし、夜の帳が降りてから、じっくりと耳を傾けるなら、この美しく、思索的な音楽は高ぶった神経を鎮静化する効果がある。フォーレのしっとりとした、しなやかで、品位のある響きをクリュイタンスほど見事に表現した演奏をいまだ知らない。
【収録情報】
・フォーレ:レクィエム
ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
アンリエット・ピュイグ=ロジェ(オルガン)
エリザベート・ブラッスール合唱団
パリ音楽院管弦楽団
アンドレ・クリュイタンス(指揮)
録音時期:1962年2月14-15日、5月25-26日
録音場所:パリ、サン=ロシュ教会
録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)
2012年リマスタリング
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