土曜日, 10月 09, 2021

モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』他4演目抜粋 ロスバウト 名盤探訪


 










隠れた巨匠、ロスバウトのモーツァルト4大オペラ集(抜粋)

モーツァルトの4大オペラの抜粋盤。いずれもエクサン・プロヴァンス音楽祭ライヴである。モノラルの古い録音で音は良くないが、歌手の力量は十分に看取できる。ハンス・ロスバウトの指揮、パリ音楽院管弦楽団、エクサン・プロヴァンス音楽祭合唱団というメンバーだが、その歌手陣が充実している。

まず、女声ではリタ・シュトライヒ。世界的コロラトゥーラ・ソプラノとして活躍した彼女で『フィガロの結婚』のスザンナが聴けるのは有り難いし、ピラール・ローレンガー(ケルビーノ)も初々しい。本曲ではリタ・シュトライヒのよく通る美声に心底酔える。
『コシ・ファン・トゥッテ』では、若きテレサ・ベルガンサ(ドラベッラ)にテレサ・シュティッヒ=ランダル(フィオルディリージ)の「2人のテレサ」のキュートな魅力が満載。
『ドン・ジョヴァンニ』では、ランダル(ドンナ・アンナ)とともに、美形アンナ・モッフォ(ツェルリーナ)が登壇している。『後宮からの逃走』でもランダルが主力である。モーツァルトのリリックな役柄を得意としたランダルは、トスカニーニからその才能を高く評価され、その後欧州で活躍して、アメリカ人として初めてオーストリアの宮廷歌手に選ばれた逸材。全体のまとめ役ともいえよう。

一方、男声も重厚な布陣。イタリアの著名なバリトン歌手、ロランド・パネライはフィガロのタイトル・ロールのほか『コシ・ファン・トゥッテ』ではグリエルモ役、『ドン・ジョヴァンニ』ではマゼット役と本音楽祭の常連。後に「大物」となるニコライ・ゲッダは、『後宮からの逃走』に登壇。また、ハインツ・レーフス(アルマヴィーヴァ伯爵)、テノールのルイジ・アルヴァ(フェッランド)らの脇固めも聴きもの。

さて、指揮者のロスバウトである。小生はブルックナー  
ブルックナー:交響曲選集[8枚組 ] およびマーラー  Mahler:Symphony No.7   Symphony 9  を聴いて、この隠れた巨匠に刮目した。そして、モーツァルトである。この演奏もなんとも優れモノである。録音を気にする向きは手を出さないほうが無難だが、モーツァルトのオペラ・ファンの「聴き比べ」用であれば、お試しに聴いて損なしと思う。

<収録情報>
◆歌劇『フィガロの結婚』抜粋
 

 ロランド・パネライ、リタ・シュトライヒ、ハインツ・レーフス、
 テレサ・シュティヒ=ランダル、ピラール・ローレンガー、
 マルチェッロ・コルティス、クリスティアーヌ・ゲロー、
 アンドレ・ヴェシエール、マデレイン・イグナール、ユーグ・キュエノー
 録音時期:1955年

◆歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』抜粋


 テレサ・シュティヒ=ランダル、コンスエロ・ルビオ、
 マリエッラ・アダーニ、ルイジ・アルヴァ、
 ロランド・パネライ、マルチェッロ・コルティス
 録音時期:1957年

◆歌劇『ドン・ジョヴァンニ』抜粋


 テレサ・シュティヒ=ランダル、コンスエロ・ルビオ、
 アントニオ・カンポ、ロランド・パネライ、
 マリオ・スピーナ、マリエッラ・アダーニ、
 ジョルジョ・タデオ、エルンスト・ヴィーマン
 録音時期:1958年

◆歌劇『後宮からの逃走』抜粋


 テレサ・シュティヒ=ランダル、ニコライ・ゲッダ
 カルメン・プリエット、ミシェル・セネシャル、ラファエル・アリエ
 録音時期:1954年

★☆★☆★☆★☆

モーツァルト指揮者としてのロスバウト。以下は別のBOXセット。ご参考まで

【以下は引用】

ハンス・ロスバウト/モーツァルト: 協奏曲・交響曲・セレナード (tower.jp)

ハンス・ロスバウト:モーツァルト(1756-1791)作品集 1951-1962年
バーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団
[CD1]
1-3.ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調「ジュノーム」K271
4-6.ピアノ協奏曲 第17番 ト長調 K453
マリア・ベルクマン(ピアノ)…1-3
ゲザ・アンダ(ピアノ)…4-6

[CD2]
1-3.ピアノ協奏曲 第14番 変ホ長調 K449
4-6.ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K467
7-9.ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K488
フリードリヒ・グルダ(ピアノ)…1-3
モニク・アース(ピアノ)…4-6
ロベール・カサドシュ(ピアノ)…7-9

[CD3]
1-3.ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K488
4-6.ホルン協奏曲 第2番 変ホ長調 K417
7-9.ホルン協奏曲 第3番 変ホ長調 K447
10-12.ホルン協奏曲 第2番 変ホ長調 K417
フリードリヒ・グルダ(ピアノ)…1-3
デニス・ブレイン(ホルン)…4-6.7-9
ドメニコ・チェッカロッシ(ホルン)…10-12

[CD4]
1-3.ファゴット協奏曲 変ロ長調 K186e(K191)
4-6.オーボエ協奏曲 ハ長調 K314
7-9.フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K299(K297c)
ヘルムート・ミュラー(ファゴット)…1-3
ホルスト・シュナイダー(オーボエ)…4-6
エルンスト・ボーデンゾーン(フルート)…7-9
アンネマリー・シュマイサー(ハープ)…7-9

[CD5]
1-3.ヴァイオリン、ヴィオラとオーケストラのための 協奏交響曲 変ホ長調 K364(K320d)
4-6.交響曲 第31番 ニ長調「パリ」 K297(K300a)
7-10.交響曲 第36番 ハ長調「リンツ」K425
ルートヴィヒ・ブース(ヴァイオリン)
ウルリヒ・コッホ(ヴィオラ)

[CD6]
1-3.交響曲 第38番 ニ長調「プラハ」K504
4-7.交響曲 第40番 ト短調 K550
8-11.交響曲 第40番 ト短調 K550

[CD7]
1-3.4つのオーケストラのためのセレナード (ノットゥルノ) ニ長調 K286(K269a)
4-7.セレナード 第13番 ト長調 K525
8-12.2本のオーボエ、2本のクラリネット、2台のホルン 2本のファゴットのためのセレナード 変ホ長調 K375

[CD8]
1-7.管楽器のためのセレナード 第13番 変ロ長調 K361
ホルスト・シュナイダー(オーボエ)/
フリッツ・ストロヴィツキ(オーボエ)
セプ・ファックラー(クラリネット)/
ヘルマン・ノプス(クラリネット)
ハンス・レムザー(バセットホルン)/
カール・マイザー(バセットホルン)
カール・アーノルト(ホルン)/
カールハインツ・バインケ(ホルン)
ハインリヒ・アイヒナー(ホルン)/
ハンス・ツター(ファゴット)
クルト・ブルケルト(ファゴット)/
アルフレート・シュタインミュラー(コントラファゴット)

[CD9]
1.歌劇《魔笛》-序曲 K620
2.歌劇《劇場支配人》-序曲 K486
3.レチタティーヴォとアリア 「どうしてあなたを忘れられようか」-「恐れないで、愛する人よ」 K505
4.アリア「もし私の唇を信じないなら」K2955.レチタティーヴォとアリア 「務めが私を強いる今こそ」-「ジギスムントの事蹟はかくも偉大にして」K36(K331)
6.アリア「行け、怒りにかられて」K21(K19c)
7.アリア「従いかしこみて」K210
8.アリア「このうるわしい御手と瞳のために」K612
9.アリア「おお、娘よ、お前と別れる今」K513
シュザンヌ・ダンコ(ソプラノ)…3
マリア・ベルクマン(ピアノ)…3
ヘルムート・クレープス(テノール)…4.5.6.7
キム・ボルイ(バス)…8.9

【録音】
SWR南西ドイツ放送 第5スタジオ(ハンス・ロスバウト・スタジオ) 全てMONO
[CD1]1956年3月28日…1-3/1952年3月15日…4-6
[CD2]1962年1月16日…1-3/1956年11月19日…4-6/1959年4月14日…7-9
[CD3]1962年1月15日…1-3/1953年5月6日…4-6.7-9/1955年12月21日…10-12
[CD4]1956年6月23日…1-3/1957年6月15日…4-6/1962年12月19日…7-9
[CD5]1960年2月22日…1-3/1956年6月28日…4-6/1956年12月29日…7-10
[CD6]1959年4月13日…1-3/1957年6月19日…4-7/1962年5月25日…8-11
[CD7]1956年1月27日…1-3 ライヴ/1955年5月12日…4-7/1951年11月16日…8-12
[CD8]1956年1月22日
[CD9]1961年1月31日…1/1961年1月12日…2/1953年11月13日…3/1955年1月12日…4.5/1955年2月12日…6.7/1955年7月12日…8.9

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