土曜日, 10月 23, 2021

クーベリックのシカゴ響時代 Rafael Kubelík












【以下は上記音源の引用】

ラファエル・クーベリック/マーキュリー・マスターズ<限定盤> (tower.jp)

《CD 1》
ムソルグスキー/ラヴェル編:展覧会の絵
[録音]1951年4月

《CD 2》
1) バルトーク:弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽Sz.106
2) ブロッホ:弦楽合奏とピアノ・オブリガードのためのコンチェルト・グロッソ第1番*
[演奏]
アーウィン・フィッシャー(チェレスタ)(1)
エドワード・メッツェンガー(ティンパニ)(1)
アラン・グラハム、ライオネル・セイヤーズ、トーマス・グレネッケ(打楽器)(1)
ジョージ・シック(ピアノ)(2)
[録音]1951年4月

《CD 3》
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調Op.95『新世界より』
[録音]1951年11月

《CD 4》
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調Op.36*
[録音]1951年11月

《CD 5》
チャイコフスキー:交響曲第6番ロ短調Op.74『悲愴』*
[録音]1952年4月

《CD 6》
ブラームス:交響曲第1番ハ短調Op.68*
[録音]1952年4月

《CD 7》
スメタナ:わが祖国
(第1曲:ヴィシェフラド/第2曲:ヴルタヴァ/第3曲:シャールカ/第4曲ボヘミアの森と草原から/第5曲:ターボル/第6曲:ブラニーク)
[録音]1952年12月

《CD 8》
モーツァルト:
1) 交響曲第38番ニ長調K.504『プラハ』
2) 交響曲第34番ハ長調K.338*
[録音]1953年4月(1)、1952年12月(2)

《CD 9》
1) ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容
2) シェーンベルク:5つの管弦楽曲
[録音]1953年4月

《CD 10》
1) ウィルマ・コザート・ファイン(レコード・プロデューサー)へのインタビュー
2) ブロッホ:コンチェルト・グロッソ第1番(Take 1)**
3) スメタナ:『わが祖国』より第5曲:ターボル(stereo)***
4) モーツァルト:交響曲第38番ニ長調K.504『プラハ』(抜粋)(stereo)***
[録音]1996年(1)、1951年4月(2)、1952年12月(3)、1953年4月(4)

*世界初CD化
**未発表録音
***Mercury Living Presence初発売

【演奏】
ラファエル・クーベリック(指揮)
シカゴ交響楽団

【録音地】
シカゴ(CD 10: 1を除く)

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◆クーベリック シカゴ響時代の成果

まず、クーベリック・ファンでなければ、録音が1950年代前半と古く手に取るのは控えたほうが無難だろう。次に、彼のファンでも、多くの曲で新録があり本盤を選ぶかどうかは固有の判断がいるだろう。しかし、彼のファンで、かつ辛酸をなめたシカゴ響時代(195053年まで音楽監督)に、いかに充実した音楽活動を行っていたかを知りたい向きには得がたき記録である。短い期間ではあったがオーケストラ・ビルダーとして良き貢献をしたといまは評価されている。

どれも大変、優れた演奏と思うが、『新世界から』は5年後の1956DECCAによるウィーン・フィル盤が音質・演奏からみて上位。『わが祖国』も後年の録音に軍配。しかし、『展覧会の絵』、『弦チェレ』、シェーンベルクはとても面白い。

これらの3曲に共通するのは“楽器の饗宴”ということである。シカゴ響は当時も一流の奏者を集めており、全米のなかでもその水準はきわめて高かったという。常任になったクーベリックはその点に着目して慎重に選曲をしていると思う。先駆的なプログラムだが、首席プレイヤー等の妙技を存分に聴くことができ楽しめる。一方、ヒンデミットはシカゴ響に彼を推戴してくれたフルトヴェングラーがナチに抵抗しつつ紹介した作曲家であり、クーベリック自身の思いもここに込められているのかも知れない。

<収録情報>(録音年月)

・ドヴォルザーク:交響曲第9『新世界から』195111月)

・スメタナ:わが祖国(1:ヴィシェフラド/2:ヴルタヴァ/3:シャールカ/4曲ボヘミアの森と草原から/5:ターボル/6:ブラニーク)

195212月)

・ムソルグスキー/ラヴェル編:組曲『展覧会の絵』(19514月)

・バルトーク:弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽 アーウィン・フィッシャー(チェレスタ)、エドワード・メッツェンガー(ティンパニ)、アラン・グラハム、ライオネル・セイヤーズ、トーマス・グレネッケ(打楽器)19514月)

ヒンデミット:ヴェーバーの主題による交響的変容(19534月)

・シェーンベルク:管弦楽のための5つの小品(19534月)

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◆シカゴ交響楽団

シカゴ交響楽団の古い演奏。以下はクーベリックによる2演目について。

録音の古さはこの際おくとして、この時代の演奏の先進性に驚く。ヒンデミットは古典的で聴きやすい曲だが、ウェーバーの「主題」以上に、第4楽章 行進曲ではマーラーの「管弦楽法」の駆使を感じさせる演奏。一方、シェーンベルクは自身が作曲家でもあるクーベリックの旺盛な関心が、その解釈にも投影されているように感じる。「予感」のめくるめく色彩感覚、「過去」の暗示的、黙示的な表現力、「色彩」での逆説的なモノトーンと弱音の美しさ、「急転」での大胆な音の重なりと分離、「オブリガート・レチタティーヴォ」の室内楽的静謐・・・と表題にとらわれない自由な発想が満ち満ちていて一瞬の弛緩もない。しかも、“楽器の饗宴”という視点からみると、シカゴ響の能力をフルスロットルで引き出している。曲の先駆性と楽器の最大能力を結合させた見事な演奏である。

<収録情報>

【クーベリック】

・ヒンデミット:ウェーバーの主題による交響的変容

・シェーンベルク:管弦楽曲のための5つの小品 作品16(以上19534月)

【ドラティ】

・コダーイ:ハンガリー民謡〈孔雀〉による変奏曲

・バルトーク:組曲『中国の不思議な役人』(以上19541




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