月曜日, 10月 11, 2021

アメリカ 5大オケ 名盤探訪 ボストン交響楽団


 









ミュンシュ 豪放なれど見事なバランス感覚

ミュンシュのRCA音源の86枚のCD集。ミュンシュのレパートリーの広さと有名録音の多さに改めて大家の仕事を感じる。彼の書いた  指揮者という仕事  (福田達夫訳) を読むと一見、豪放磊落なミュンシュの演奏スタイルの陰に、どんなに真面目に音楽を考えぬき、いかに弛まぬ努力を重ねてきたかを知ることができる。以下、2つのグループに分けて若干のコメントを。

<収録情報>

◆第一グループは、ドイツロマン派を主軸に、いわばクラシック音楽のメインロード。シャルル・ミュンシュは、ドイツ語読みではカール・ミュンヒ (Karl Münch)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団で、フルトヴェングラーやワルターの下でコンサートマスターを務めていたことはよく知られている。弦楽器の使い方の巧みさ、その音色の澄んだ響きは、この時の自らの豊富な経験からか。
すでに、シューベルトからR.シュトラウスをカヴァーした2つの廉価盤BOX(メンデルスゾーン、ブラームス、シューベルト、シューマン集  
Charles Munch Conducts Romantic Masterwo 、(ワーグナー、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、マーラー他集) Charles Munch: Late Romantic Masterpiece  がでているので、ここに絞って聴きたいのであれば有力な選択肢である。

【J.S.バッハ】
・ブランデンブルク協奏曲(全6曲)(1957年7月8-9日)
・ヴァイオリン協奏曲第1番(1960年12月24,26日)

【ヘンデル】
・水上の音楽(ハーティー版)(1950年12月26-27日)

【ハイドン】
・交響曲第103番「太鼓連打」(1950年12月27日)
・交響曲第104番「ロンドン」(1950年4月10-11日)

【モーツァルト】
・ピアノ協奏曲第21番K.467(1948年12月20日)※
・歌劇『フィガロの結婚』序曲(1951年4月25日)
・クラリネット協奏曲K.622(1956年7月9日)
・クラリネット五重奏曲K.581(1956年7月12日)

【ベートーヴェン】
・交響曲第1番(1950年12月27日)
・交響曲第3番「英雄」(1957年12月2日)
・交響曲第5番「運命」(1955年5月2日)
・交響曲第6番「田園」(1955年8月16日)
・交響曲第7番(1949年12月19日)
・交響曲第8番(1958年11月30日)
・交響曲第9番「合唱」(1958年12月21-22日)
・レオノーレ序曲第1番~第3番(1956年2月26-27日)
・フィデリオ序曲(1955年11月9日)
・コリオラン序曲(1955年2月26-27日)
・『プロメテウスの創造物』より「序曲」「第5曲:アダージョ」「第16曲:フィ ナーレ」(1960年3月7日)
・祝賀メヌエット 変ホ長調(1949年12月20日)※
・ヴァイオリン協奏曲(1955年11月月27-28日)
・ピアノ協奏曲第1番(1960年11月2-3日)
・ピアノ・ソナタ第22番(1960年11月29-30日)

【シューベルト】
・交響曲第2番(1949年12月20日※)(1960年3月7日)
・交響曲第8番「未完成」(1955年5月2日)
・交響曲第9番「ザ・グレイト」(1958年11月19日)

【シューマン】
・交響曲第1番「春」(1951年4月25日※)(1959年10月5日)
・歌劇『ゲノフェーファ』序曲(1951年1月18日)
・マンフレッド序曲(1959年10月5日)

【メンデルスゾーン】
・交響曲第3番「スコットランド」(1959年12月7日)
・交響曲第4番「イタリア」(1958年2月18日)
・交響曲第5番「宗教改革」(1957年10月28日)
・華麗なカプリッチョ(1960年3月14日)
・ヴァイオリン協奏曲(1959年2月23-25日)(1960年12月24,26日※)
・八重奏曲p.20より「スケルツォ」

【ブラームス】
・交響曲第1番(1956年11月19日)
・交響曲第2番(1955年12月5日)
・交響曲第4番(1950年4月10-11日)(1958年10月27日)
・悲劇的序曲(1955年12月5日)
・ピアノ協奏曲第1番(1958年4月9日)
・ピアノ協奏曲第2番(1952年8月11日)

【ワーグナー】
・歌劇『タンホイザー』より「序曲とヴェーヌスベルクの音楽」
・楽劇『ワルキューレ』より「魔の炎の音楽」
・楽劇『神々の黄昏』より「ジークフリートのラインへの旅」(1957年4月1日)
・楽劇『神々の黄昏』より「ブリュンヒルデの自己犠牲」
・楽劇『トリスタンとイゾルデ』より「前奏曲と愛の死」(1957年11月25日)

【チャイコフスキー】
・交響曲第4番(1955年11月7日)
・交響曲第6番「悲愴」(1962年3月12日)
・ヴァイオリン協奏曲(1953年3月29日)(1959年2月9日)
・幻想序曲『ロメオとジュリエット』(1956年3月12日)(1961年4月3,20日)
・フラン チェスカ・ダ・リミニ(1956年4月23日)
・弦楽セレナード(1957年3月13日)

【ドヴォルザーク】
・交響曲第8番(1961年3月13日)
・チェロ協奏曲(1960年2月22日)

【マーラー】
・さすらう若人の歌、亡き子をしのぶ歌(1958年12月28-29日)

【R.シュトラウス】
・交響詩『ドン・キホーテ』(1953年8月17日)
・交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』(1961年4月3,20日)

【ショパン】
・ピアノ協奏曲第1番(1960年3月14日)
・ピアノ協奏曲第2番(1954年11月24,29日)

【プロコフィエフ】
・バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲Op.64bis/Op.64ter/Op.101』より(1957年2月11,13日)
・ピアノ協奏曲第2番(1957年2月13日)
・ヴァイオリン協奏曲第2番(1959年2月23-25日)

【ラフマニノフ】
・交響曲第3番(1957年12月29日)
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◆第二グループは、ミュンシュがもっとも得意としたフランス音楽から現代音楽にかけてのラインナップである。以下のうち、ベルリオーズからミヨーまでは、2つの廉価盤BOX (ベルリオーズの廉価盤集) 
Berlioz: The Great Classical Collection 、(フランス音楽の一世紀) Various: Un Siecle De Musique (両者ともにミュンシュの他にフランス音楽のエキスパートが登壇)を組み合わせるとかなりカヴァーできるので、そうしたチョイスもお薦めである。

【ベルリオーズ】
・幻想交響曲(1954年11月14-15日)(1962年4月7日)
・劇的交響曲『ロメオとジュリエット』(1953年2月22-23日)(1961年4月23-24日)
~「キャピュレット家の大宴会」「愛の場面」「愛の情景」(1953年2月22-23日)
・宗教的三部作『キリストの幼時』(1956年12月23-24日)
・交響曲『イタリアのハロルド』(1958年3月31日)
・劇的物語『ファウストの劫罰』(1954年2月21-22日)
~「鬼火のメヌエット」「妖精の踊り」「ラコッツィ行進曲」(1963年3月14日)
・『レクイエム』(1959年4月26-27日)
・歌劇『ベアトリスとベネディクト』序曲(1949-1950年)(1958年12月1日)(1959年4月6日)
・序曲『ローマの謝肉祭』(1958年12月1日)
・序曲『海賊』Op.21(1958年12月1日)
・歌劇『トロイ人』より「王の狩りと嵐」(1959年4月6日)
・歌曲集『夏の夜』(1955年4月12-13日)

【サン=サーンス】
・交響曲第3番「オルガン付」(1947年11月10日)(1959年4月5-6日)
・交響詩『オンファールの糸車』(1957年11月4日)
・序奏とロンド・カプリチオーソ(1953年2月22-23日)
・歌劇『黄色の王女』序曲(1949-1950年)
・ピアノ協奏曲第4番(1954年11月24,29日)

【イベール】
・交響組曲『寄港地』(1956年12月9-10日)

【オネゲル】
・交響曲第2番(1953年3月29日)
・交響曲第5番「3つのレ」(1952年10月27日)

【ルーセル】
・バレエ組曲『バッカスとアリアーヌ』(1952年10月27日)

【ダンディ】
・フランス山人の歌による交響曲(1948年12月20日※)(1957年11月25日)

【デュカス】
・交響詩『魔法使いの弟子』(1957年11月4日)

【プーランク】
・オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲(1960年10月9日)

【ミヨー】
・プロヴァンス組曲 Op.152b(1960年11月21日)
・バレエ音楽『世界の 創造』(1961年3月13日)

【ラヴェル】
・スペイン狂詩曲(1949-1950年※)(1956年1月23日)
・ラ・ヴァルス(1949-1950年※)(1955年12月5日)(1962年3月26日)
・ダフニスとクロエ(全曲)(1955年1月23-24日)(1961年2月26-27日)
・ボレロ(1956年1月23日)(1962年3月26日)
・ピアノ協奏曲ト長調(1957年11月25日)
・組曲『マ・メール・ロワ』(1958年2月19日)
・亡き王女のためのパヴァーヌ(1956年1月23日)(1962年3月26日)
・高雅で感傷的なワルツ(1963年3月14日)

【ドビュッシー】
・カンタータ『選ばれた乙女』(1955年4月11日)
・神秘劇『聖セバスティアンの殉教』(1956年1月29日)
・交響詩『海』(1956年12月9-10日)
・管弦楽のための映像(1957年12月16日)
・牧神の午後への前奏曲(1962年3月13日)
・『夜想曲』より「雲」「祭」
・交響組曲『春』(1962年3月13日)  
La Mer

【ストラヴィンスキー】
・カルタ遊び (1960年11月7日)

【ショーソン】
・詩曲(1955年12月14日)
・交響曲変ロ長調(1962年2月26日)

【フォーレ】
・組曲『ペレアスとメリザンド』(1963年3月14日)

【フランク】
・交響的変奏曲(1949年10月21日)
・交響曲ニ短調(1957年3月11日)
・交響詩『呪われた狩人』(1962年2月26日)

【ラロ】
・歌劇『イスの女王』序曲(1949-1950年)

【メノッティ】
・ヴァイオリン協奏曲イ短調(1954年11月8日)

【ピストン】
・交響曲第6番(1956年3月12,14日)

【マルティヌー】
・交響的幻想曲(1956年4月23日)

【バーバー】
・弦楽のためのアダージョ(1957年4月3日)
・メデアの瞑想と復讐の踊り(1957年4月10日)

【エルガー】
・序奏とアレグロ Op.47(1957年4月3日)

【ブルッフ】
・ヴァイオリン協奏曲第1番(1951年1月18日)

【ブロッホ】
・シェロモ(1957年1月28,30日)※

【ウォルトン】
・チェロ協奏曲(1957年1月28,30日)

【イーズリー・ブラックウッド】
・交響曲第1番(1958年11月9,30日)※

【アレクセイ・ハイエフ】
・交響曲第2番(1958年11月9,30日)※

【スミス】
・星条旗(1957年10月28日)
※は今回初CD化(HMV参照)

👉 ミュンシュ ふたたび

👉 リヴィング・ステレオ60CDコレクション VOL.2 Living Stereo 60 CD Collection

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多彩な作曲家&作品群、シェフ小澤征爾の活動の軌跡に瞠目

ボストン響の魅力は、名馬や性能の良いクルマのように、名ジョッキーや腕自慢のドライバーによって安定的に優秀さを発揮するところにあるように思う。アメリカのオケらしく、レパートリーの広さも特色。以下の作曲家群の多彩さは、欧州のオケではなかなか見られないだろう。

そうした中で、われらが巨匠、小澤征爾の一貫した活動の足跡には瞠目する。ミュンシュから結果的に手兵ボストン響を引き継ぎ、バーンスタインからアメリカ音楽の伝統を学び、カラヤン的な柔らかな洒脱さも併せ持つ。3人の巨匠を師と仰ぐ小澤征爾ならではの個性はここボストンで開花した。
聴きどころは多いが、ネルソンスのショスタコーヴィチ交響曲群の最新録音は、この手のボックス・セットでは出色、なかなかに剛毅なプレゼントだろう。

(収録情報)
<あ>
【アイヴズ】
・ニュー・イングランドの3つの場所、トーマス(1970年)
・ヴァイオリン、クラリネットとピアノのためのラルゴ、ボストン響室内アンサンブル(1970年)
・交響曲第4番、宵闇のセントラル・パーク、小澤征爾(1976年)
【ウィリアムズ(ジョン)】
・木の歌、ヴァイオリン協奏曲、『シンドラーのリスト』より3つの小品、ギル・シャハム(ヴァイオリン)、ジョン・ウィリアムズ(2000年、1999年)
【オッフェンバック/ロザンタール編】
・バレエ音楽『パリの喜び』(抜粋)、小澤征爾(1987年)

<か>
【カーター】
・フルート、オーボエ、チェロとチェンバロのためのソナタ、ボストン響室内アンサンブル(1970年)
【グノー】
・歌劇『ファウスト』よりバレエ音楽、小澤征爾(1986年)
【グバイドゥーリナ】
・オッフェルトリウム、クレーメル(ヴァイオリン)、デュトワ(1988年)
【グラズノフ】
・吟遊詩人の歌、ロストロポーヴィチ(チェロ)、小澤征爾(1975年)

<さ>
【シェーンベルク】
・室内交響曲第1番、組曲 Op.29、ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 Op.47、ボストン響アンサンブル(1978年、1979年)
【シャブリエ】
・狂詩曲『スペイン』、小澤征爾(1986年)
【シューベルト】
・交響曲第8番『未完成』、ヨッフム(1973年)
【W.シューマン】
・ヴァイオリン協奏曲、ポール・ズーコフスキー(ヴァイオリン)、トーマス(1970年)
【J.シュトラウス2世】
・ワルツ集、ボストン響室内アンサンブル(1977年、1974年)
【R.シュトラウス】
・ツァラトゥストラはかく語りき、スタインバーグ(1971年)
【ショスタコーヴィチ】
・交響曲:第5番『革命』、第6番、第8番、第9番、第10番、ネルソンス(2016年、2017年(ライヴ)
・歌劇『ムツェンスク郡のマクベス夫人』より『パッサカリア』、組曲『ハムレット』(抜粋)、ネルソンス(2016年(ライヴ)
・チェロ協奏曲第2番、ロストロポーヴィチ(チェロ)、小澤征爾(1975年)
【スクリャービン】
・法悦の詩、アバド(1971年)
【ストラヴィンスキー】
・春の祭典、星の王、トーマス(1972年)
・兵士の物語、七重奏曲、ボストン響室内アンサンブル(1975年、1974年)
・ヴァイオリン協奏曲ニ調、パールマン(ヴァイオリン)、小澤征爾(1978年)
【スメタナ】
・わが祖国、クーベリック(1971年)

<た>
【武満 徹】
・カトレーン、鳥は星形の庭に降りる、小澤征爾(1977年、1978年)
【チャイコフスキー】
・交響曲:第1番『冬の日の幻想』、トーマス(1970年)、第5番、小澤征爾(1977年)
・幻想序曲『ロメオとジュリエット』、アバド(1971年)
・白鳥の湖(全曲)、小澤征爾(1978年)
・くるみ割り人形 (全曲)、小澤征爾(1990年)
【ドヴォルザーク】
・弦楽五重奏曲第2番、ボストン響室内アンサンブル(1971年)
【ドビュッシー】
・夜想曲、アバド(1970年)
・管弦楽のための映像、牧神の午後への前奏曲、トーマス(1971年)
・牧神の午後への前奏曲、ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト短調、チェロとピアノのためのソナタ ニ短調、フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ、ソロ・フルートのためのシランクス、ボストン響室内アンサンブル(1970年、1977年)
【トマ】
・歌劇『ミニョン』序曲、小澤征爾(1987年)

<は>
【パガニーニ】
・常動曲 Op.11、小澤征爾(1978年)
【バルトーク】
・『中国の不思議な役人』組曲、小澤征爾(1975年)
・管弦楽のための協奏曲、クーベリック(1973年)
・弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽、小澤征爾(1976年)
・ヴァイオリン協奏曲第2番(モレ:夢に)、ムター(ヴァイオリン)、小澤征爾(1991年)
【ピストン】
・交響曲第2番、トーマス(1970年)
【ヒンデミット】
・交響曲『画家マティス』、弦楽と金管のための協奏音楽、スタインバーグ(1971年)
【ファリャ】
・『三角帽子』、ベルガンサ(メゾ・ソプラノ)、小澤征爾(1976年)
【フォーレ】
・『ペレアスとメリザンド』、夢のあとに 、パヴァーヌ Op.50、 エレジー Op.24、組曲『ドリー』、小澤征爾(1986年)
【ブラームス】
・交響曲:第1番、第2番、小澤征爾(1977年、1975年)
【プーランク】
・グローリア、マーテル、バトル(ソプラノ)、小澤征爾(1987年)
・協奏曲ト短調、サイモン・プレストル(オルガン)、田園のコンセール、トレヴァー・ピノック(チェンバロ)、小澤征爾(1991年)
【ブリテン】
・歌劇『ピーター・グライムズ』より『4つの海の間奏曲』、バーンスタイン(1990年(ライヴ)
【プレヴィン】
・ヴァイオリン協奏曲『アンネ=ゾフィー』、二重協奏曲、ムター(ヴァイオリン)、ロマン・パトコロ(コントラバス)、プレヴィン
【プロコフィエフ】
・ロメオとジュリエット(全曲)、小澤征爾(1986年)
【ベートーヴェン】
・交響曲:第5番『運命』、クーベリック(1973年)、第7番、バーンスタイン(1990年(ライヴ)
・ピアノ協奏曲第5番『皇帝』、エッシェンバッハ(ピアノ)、小澤征爾(1973年)
【ベルク】
・ヴァイオリン協奏曲『ある天使の思い出に』、パールマン(ヴァイオリン)、小澤征爾(1978年)
・室内協奏曲よりアダージョ、ボストン響アンサンブル(1978年)
【ベルリオーズ】
・幻想交響曲、ファウストの劫罰、小澤征爾(1973年)
・ロメオとジュリエット、小澤征爾(1975年)
【Q.ポーター】
・オーボエと弦楽のための五重奏曲、ボストン響室内アンサンブル(1970年)
【ホルスト】
・惑星、スタインバーグ(1970年)

<ま>
【マーラー】
・交響曲第1番『巨人』、小澤征爾(1977年)
【メンデルスゾーン】
・真夏の夜の夢 Op.21 & Op.61、小澤征爾(1992年)
【モーツァルト】
・交響曲第41番『ジュピター』、ヨッフム(1973年)
・クラリネット協奏曲、ファゴット協奏曲、小澤征爾(1978年)

<ら>
【ラヴェル】
・『ダフニスとクロエ』第2組曲、亡き王女のためのパヴァーヌ、アバド(1970年)
・ボレロ、海原の小舟、古風なメヌエット、道化師の朝の歌、亡き王女のためのパヴァーヌ、ラ・ヴァルス、クープランの墓、『マ・メール・ロワ』全曲、スペイン狂詩曲、『ダフニスとクロエ』全曲、高雅で感傷的なワルツ、小澤征爾(1974~75年)
【ラッグルズ】
・太陽を踏む者、トーマス(1970年)
【ラフマニノフ】
・ピアノ協奏曲第1番、第2番、ツィマーマン(ピアノ)、小澤征爾(1997年、2000年)
【リスト】
・ファウスト交響曲、バーンスタイン(1976年)
・ピアノ協奏曲:第1番、第2番、死の舞踏、ツィマーマン(ピアノ)、小澤征爾(1987年)
【リムスキー=コルサコフ】
・シェエラザード、小澤征爾(1977年)
【レスピーギ】
・ローマの松、ローマの祭り、ローマの噴水、小澤征爾(1977年)
・リュートのための古風な舞曲とアリア(第1~第3組曲)、小澤征爾(1975年、1978年)
【ロッシーニ】
・『セミラーミデ』序曲、小澤征爾(1976年)

👉 小澤征爾の名演

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現在の常任は、アンドリス・ネルソンス(Andris Nelsons, 1978年

以下も参照(ただし、お相手はボストン交響楽団ではありませんが・・・)











静謐な内面世界を表現、独特の演奏スタイル

静謐ななか、歌劇『ローエングリン』第1幕への前奏曲が奏され、その消え入るエンディングからなんの違和感なく、ブルックナー第4番の第1楽章冒頭の「原始霧」が立ちこめてくる。ここには密かな技法があると感じる。テンポをいじらず、落ち着き払った、そして弱音が美しくクリアな広がりをみせる独特の演奏スタイルである。強奏をきらい、あくまでも静謐な内面世界にとどまろうとするかのようである。
それは第2楽章でも変わらない。弦楽器のハーモニーが一層磨かれ、主題の合奏は一糸乱れぬ統一感とともにある。その一方で色調の濃淡づけも控えめで、上質な水墨画をみているような錯覚すらいだく。しかしこの嫋嫋たる雰囲気になじむと次第に心地よくなってくる。リズムの刻み方のうまさが隠し味になっているからだろう。
第3楽章はそのリズム感が強調され全体としては躍動的だが、管楽器は厳しく抑制されて、ファナティックさを回避して淡々とすすむ。終楽章、リズムはより生き生きと、テンポはやや可変的に、音量も次第に増していくが、音のバランスはけっして崩さず、格調の高さが保たれている。聴き終わって、深淵なるメロディ・メーカーとしてのブルックナー像を実に丹念に浮かび上がらせた若きネルソンスの腕と老練なゲヴァントハウスの実力に感心した。

👉 ネルソンス&コンセルトヘボウ「ルツェルン音楽祭2011」

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