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・交響曲第9番について
ブラームスはドヴォルザークの感性豊かなメロディ創造力を高く評価しており、チェロ協奏曲など、その音作りに賛辞を惜しまなかった。一方、ドヴォルザークは民族音楽へのあくなき関心を有しており、それを咀嚼、内在化して自作品に結実している。そうした要素が最高度に表現された作品が第9番である。
ノイマンの演奏は、この2つの特質、感性豊かなメロディと民族音楽の咀嚼力を冷静かつ見事に浮かび上がらせている。過度に感傷的になることなく、テキストの細部を丹念に表現しながら、全体の仕上がりは均整がとれている。
その反面、激烈な表現ぶりからは「禁欲」の構えで、テンポを大きく動かすこともしない。よって、リスナーによっては大人しい、ドライブ感の不足した演奏と思われるかも知れない。しかし、還暦をこえたノイマンが、デジタル録音で再録(1981年10月)したのは、自らの解釈への秘めたる自信となにより手塩にかけてきたチェコ・フィルの実力への強き信認あればこそであろう。
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